8 / 150
第8話
しおりを挟む
「ここだ。このワーラ宿場が、この町でただ一つの宿屋だ」
メラード達と一緒に来た宿屋は、木造2階建で窓らしきものの数からそこそこの大きさだと思った。
「ワーラ、戻ってきたぜ」
「遅かったな、まあ無事だと思っていたがな」
扉を開けて店主に挨拶をするメラードと同じくらいごつい体をしている店主
「そっちの彼は新しい仲間か?」
「こいつはついさっき冒険者になったユートだ」
「いや、メラードさん優人です。はじめまして今晩宿に泊めて欲しくて部屋は空いてますか?」
「部屋は空いてるよ。今この宿にはメラード達4人しか客はいないからな」
「じゃあ、とりあえず1泊おいくらですか?」
「うちは1泊5000ルクスで宿泊者は飯1食500ルクスだよ」
「それじゃあ、1泊と晩御飯をお願いします」
「あいよ、じゃあこの宿泊者名簿に名前を書いてくれ」
優人は、カタカナで名前を記帳した。
「カワイ ユートくんだね。苗字があるって貴族様かい?」
「いえ、ただの平民です」
グーキュルルー
優人の腹の音が鳴った。昼も食べずモンスターに襲われる心配もなくなり[飯]よいう単語を聞いて、急激に腹が空いた。
「ハッハッハッ、すぐ飯の準備をするから待ってな。泊まる部屋は2階の一番奥の左にある201号室だ。これは鍵な」
そう言ってワーラさんは、鍵を渡して奥に入っていった。
「ワーラ、俺たちも飯を食うぜ」
メラードさんが奥に行ったワーラさんに声をかけると奥から「分かってるよ」と聞こえた。
「さて、飯ができるまで部屋に戻っているとするか」
そして5人で上に上がりそれぞれの部屋に入っていった。
「真っ暗で何も見えね」
部屋は、真っ暗だったが携帯のライトを使って中に入るとテーブルの上にランプのようなものがあった。
「異世界物だと、こういうのは魔力を込めれば点いたりするけどなって、ビンゴ」
ランプの下の突起物に魔力を流すとランプが光った。
少し明るくなった室内は、以外と綺麗でシングルベットに1人用のテーブルと椅子が一脚ずつカラーボックスのような木の棚が一つあった。
「シングルベットも木で出来た枠と板の上に布団が敷いてあるだけだが、布団もそこそこ柔らかい」
椅子に座ると、自然と涙がこぼれた。
「なんで、俺こんなところにいるんだろう。今頃ゲームをずっとやってネットの実況を見たりしながら楽しんでいただろうにな」
そして《アイテムボックス》から今日買ったばかりのゲームソフトを取り出した。
「そうだよな、色々あったけどまだ1日も経っていないんだよな俺がこのゲームをプレイできるのは、いったい何時になるのかな。生殺しだよ」
「よし、とにかくダンジョンについての情報を集めないとな」
涙を拭い、ゲームソフトを見ながら決意をあらたにした。
「おーい、飯が出来たぞ」
廊下からワーラさんが飯が出来たと言ってきた。
「はい。今行きます」
廊下に出ると、ちょうど向かい部屋の魔法使いのクーロさんも出てきた。
「一緒に下に行こうか」
そうして、2人で下に降りて食堂に行くと
「君がユートくんか、可愛い顔してるじゃないか」
30後半のスレンダーな赤く長い髪をした美人さんがいた。
「私はベスカ、ワーラの妻でこの宿の女将さんだね」
「あっ、はい、あのよろしくおねがいします」
「好きな場所に座りなよ。うちのご飯は美味しいよ」
4人掛けテーブルが2つに、2人掛けテーブルが4つで優人は2人掛けのテーブルに座った。
そこにメラード達3人が合流した。
「ユートも一緒に食おうぜ」
1人で落ち着いて食べたかったが、情報収集も兼ねて一緒に食べることにした。
「さあ、これがうちの自慢の料理だ」
そう言って、ワーラさんとベスカさんは様々な料理を出してきた。
「まあレカルがとってきてくれた獲物だから美味いぞ」
一番のメインの鳥の姿焼きは、弓使いのレカルさんが仕留めた鳥らしい。
「優人、この鳥はクーヤミって鳥でな。ここいらの冒険者には一番のご馳走だ」
メインのクーヤミの姿焼きを食ってみると
「うまー、なんだこれめっちゃくちゃ美味い、肉汁自体が凄い旨味がある」
今までそこまで上等な食べ物を食したことがない優人でも、日本で食べたどの食べ物より美味いと感じた。
周りの冒険者のオッサン達はそれを見て、全員笑った。
「美味いだろ。俺が取ったクーヤミは」
レカルさんがドヤ顔で聞いてきた。
「はい、凄く美味いです。今まで食べてきた物の中で一番です」
「じゃあ、乾杯だな」
全員ビールのジョッキを持った
「それじゃあ、俺たちの盗賊団壊滅成功とユートの冒険者になったことを祝して、乾杯」
「「「「乾杯」」」」
そうして酒も入り、いい感じに皆んなが酔っ払った時にメラードが聞いてきた。
「ユートはこれからどうすんだ。《アイテムボックス》のアビリティを使って荷運びのクエストとかをやっていくのか?」
「いえ、俺はレベル1~10までのダンジョンのダンジョンマスターを討伐するのが目標ですね」
「ほう、全レベルダンジョン攻略が目的か。でも今のままじゃ一生かかっても無理だな」
「俺たちは冒険者ランクが全員B+の冒険者チームだ。俺たちでも単独のチームじゃあレベル3までのダンジョンまでしか入れねえ。レベル1のダンジョンマスターも精一杯準備して、なんとか倒せるってところだな」
目の前のベテラン冒険者達のリーダーにそこまで言わせるのかと優人は内心驚愕した。
「現在、ダンジョン攻略に一番力を入れているSランクの冒険者ユニオン[竜の目覚め]も挑戦しているのはレベル7までだ。レベル8~10までのダンジョンはここ10年ほどは誰も挑戦してないな、12年前にずっと北の大国[ジランディア]が国の精鋭騎士団をレベル8のダンジョンに送り込んだが、生き残ったのは当時の騎士団の副団長と部下数名だけだった」
「まあ、そういうわけだ。冒険者になったんだから好きな夢や目標を持てばいい、だが現実を正しく認識しないと必ず死ぬことになる。俺たちがB+の冒険者になれたのも現実を師匠に教え込まされたからだと言っても過言ではない」
そう言って、メラードはジョッキの酒を一気に飲み干した。クーロさんやレカルさんウラムさんも頷いている。
「ちょっと説教くさくなったが、とにかくだ人生は命あってのことだ命を大事にな。おーい、ベスカ酒のお代わりをくれ」
こうして、優人は冒険者達との酒盛りをベスカさんに怒られるまで続けた。
メラード達と一緒に来た宿屋は、木造2階建で窓らしきものの数からそこそこの大きさだと思った。
「ワーラ、戻ってきたぜ」
「遅かったな、まあ無事だと思っていたがな」
扉を開けて店主に挨拶をするメラードと同じくらいごつい体をしている店主
「そっちの彼は新しい仲間か?」
「こいつはついさっき冒険者になったユートだ」
「いや、メラードさん優人です。はじめまして今晩宿に泊めて欲しくて部屋は空いてますか?」
「部屋は空いてるよ。今この宿にはメラード達4人しか客はいないからな」
「じゃあ、とりあえず1泊おいくらですか?」
「うちは1泊5000ルクスで宿泊者は飯1食500ルクスだよ」
「それじゃあ、1泊と晩御飯をお願いします」
「あいよ、じゃあこの宿泊者名簿に名前を書いてくれ」
優人は、カタカナで名前を記帳した。
「カワイ ユートくんだね。苗字があるって貴族様かい?」
「いえ、ただの平民です」
グーキュルルー
優人の腹の音が鳴った。昼も食べずモンスターに襲われる心配もなくなり[飯]よいう単語を聞いて、急激に腹が空いた。
「ハッハッハッ、すぐ飯の準備をするから待ってな。泊まる部屋は2階の一番奥の左にある201号室だ。これは鍵な」
そう言ってワーラさんは、鍵を渡して奥に入っていった。
「ワーラ、俺たちも飯を食うぜ」
メラードさんが奥に行ったワーラさんに声をかけると奥から「分かってるよ」と聞こえた。
「さて、飯ができるまで部屋に戻っているとするか」
そして5人で上に上がりそれぞれの部屋に入っていった。
「真っ暗で何も見えね」
部屋は、真っ暗だったが携帯のライトを使って中に入るとテーブルの上にランプのようなものがあった。
「異世界物だと、こういうのは魔力を込めれば点いたりするけどなって、ビンゴ」
ランプの下の突起物に魔力を流すとランプが光った。
少し明るくなった室内は、以外と綺麗でシングルベットに1人用のテーブルと椅子が一脚ずつカラーボックスのような木の棚が一つあった。
「シングルベットも木で出来た枠と板の上に布団が敷いてあるだけだが、布団もそこそこ柔らかい」
椅子に座ると、自然と涙がこぼれた。
「なんで、俺こんなところにいるんだろう。今頃ゲームをずっとやってネットの実況を見たりしながら楽しんでいただろうにな」
そして《アイテムボックス》から今日買ったばかりのゲームソフトを取り出した。
「そうだよな、色々あったけどまだ1日も経っていないんだよな俺がこのゲームをプレイできるのは、いったい何時になるのかな。生殺しだよ」
「よし、とにかくダンジョンについての情報を集めないとな」
涙を拭い、ゲームソフトを見ながら決意をあらたにした。
「おーい、飯が出来たぞ」
廊下からワーラさんが飯が出来たと言ってきた。
「はい。今行きます」
廊下に出ると、ちょうど向かい部屋の魔法使いのクーロさんも出てきた。
「一緒に下に行こうか」
そうして、2人で下に降りて食堂に行くと
「君がユートくんか、可愛い顔してるじゃないか」
30後半のスレンダーな赤く長い髪をした美人さんがいた。
「私はベスカ、ワーラの妻でこの宿の女将さんだね」
「あっ、はい、あのよろしくおねがいします」
「好きな場所に座りなよ。うちのご飯は美味しいよ」
4人掛けテーブルが2つに、2人掛けテーブルが4つで優人は2人掛けのテーブルに座った。
そこにメラード達3人が合流した。
「ユートも一緒に食おうぜ」
1人で落ち着いて食べたかったが、情報収集も兼ねて一緒に食べることにした。
「さあ、これがうちの自慢の料理だ」
そう言って、ワーラさんとベスカさんは様々な料理を出してきた。
「まあレカルがとってきてくれた獲物だから美味いぞ」
一番のメインの鳥の姿焼きは、弓使いのレカルさんが仕留めた鳥らしい。
「優人、この鳥はクーヤミって鳥でな。ここいらの冒険者には一番のご馳走だ」
メインのクーヤミの姿焼きを食ってみると
「うまー、なんだこれめっちゃくちゃ美味い、肉汁自体が凄い旨味がある」
今までそこまで上等な食べ物を食したことがない優人でも、日本で食べたどの食べ物より美味いと感じた。
周りの冒険者のオッサン達はそれを見て、全員笑った。
「美味いだろ。俺が取ったクーヤミは」
レカルさんがドヤ顔で聞いてきた。
「はい、凄く美味いです。今まで食べてきた物の中で一番です」
「じゃあ、乾杯だな」
全員ビールのジョッキを持った
「それじゃあ、俺たちの盗賊団壊滅成功とユートの冒険者になったことを祝して、乾杯」
「「「「乾杯」」」」
そうして酒も入り、いい感じに皆んなが酔っ払った時にメラードが聞いてきた。
「ユートはこれからどうすんだ。《アイテムボックス》のアビリティを使って荷運びのクエストとかをやっていくのか?」
「いえ、俺はレベル1~10までのダンジョンのダンジョンマスターを討伐するのが目標ですね」
「ほう、全レベルダンジョン攻略が目的か。でも今のままじゃ一生かかっても無理だな」
「俺たちは冒険者ランクが全員B+の冒険者チームだ。俺たちでも単独のチームじゃあレベル3までのダンジョンまでしか入れねえ。レベル1のダンジョンマスターも精一杯準備して、なんとか倒せるってところだな」
目の前のベテラン冒険者達のリーダーにそこまで言わせるのかと優人は内心驚愕した。
「現在、ダンジョン攻略に一番力を入れているSランクの冒険者ユニオン[竜の目覚め]も挑戦しているのはレベル7までだ。レベル8~10までのダンジョンはここ10年ほどは誰も挑戦してないな、12年前にずっと北の大国[ジランディア]が国の精鋭騎士団をレベル8のダンジョンに送り込んだが、生き残ったのは当時の騎士団の副団長と部下数名だけだった」
「まあ、そういうわけだ。冒険者になったんだから好きな夢や目標を持てばいい、だが現実を正しく認識しないと必ず死ぬことになる。俺たちがB+の冒険者になれたのも現実を師匠に教え込まされたからだと言っても過言ではない」
そう言って、メラードはジョッキの酒を一気に飲み干した。クーロさんやレカルさんウラムさんも頷いている。
「ちょっと説教くさくなったが、とにかくだ人生は命あってのことだ命を大事にな。おーい、ベスカ酒のお代わりをくれ」
こうして、優人は冒険者達との酒盛りをベスカさんに怒られるまで続けた。
0
お気に入りに追加
467
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる