異世界に行ったけど、早く地球に戻るんだ

電電世界

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第148話

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 「一つお尋ねしたい、サロパスタは試練を突破したのですか?」

 眠り込んだサロパスタを見てゴーレンさんが女神トライに尋ねると、女神は頷いた。

 「彼の者は私の試練に武の力を見せてくれました。残りの貴方達は私に何を見せてくれるのでしょうか」

そう言って女神トライは白い剣の刃を向けながら尋ねてくる。それを受けてホワイトやリーンにゴーレンさんにフィーレンさんにナセルさんデロックさんにアスカさんと次々に女神に対峙していく

 「何方も見事な答えです。界下の者でもこの場にくるだけの物を持っているのですね」

 女神トライだけが満足したように頷いているが残された優人達には、数度の剣戟の後にサロパスタと同じように白い剣で体を刺し抜かれて白い炎に包まれる仲間達だった。

 女神トライが言うには、ホワイトは知の力をゴーレンさんは仁の力をフィーレンさんは義の力とそれぞれが別の力を女神トライに示したらしいが、全員がサロパスタと違い白い炎から解放された後に倒れこんだので確認の取りようがない。


 「あとは3人ですね」

 現状、意識があるのは優人とスノウとレイアの3人だけで魔神の神様も女神トライとのやりとりを楽しく見ているようだった。

 「優人君、僕は今ね大変に驚き楽しいんだよ」

 突然、見ているだけだった神様が話しかけてきた。女神トライはキッと神様を睨むが、まあまあと少しだけと言ったジェスチャーをして話すのを止めなかった。

 「僕は君はいずれこの最後のダンジョンに絶対に来ると信じていたが、同時にこのダンジョンはクリア出来ないとも思っていた」

 「どうしてですか」

 「優人君にはチート能力を沢山与えたからね。その能力を目当てに強欲な人間が周囲を取り囲むものだと思っていたからね。そんな人間であればトライの試練を突破することは出来ないからね」

 魔神は満面の笑みでそう告げてくる。

 「でもサロパスタやゴーレンさんにアスカさんも全員が試練を突破していますよね」

 「そうだね、でも僕がこのタイミングでこんな事を言った理由を考えて欲しいな」

 そして神様がレイアを指差した。

 「僕が言っていること分かるよね」

 「やっぱり魔神様は意地悪なんですね」

 レイアがそう言うと女神トライに対峙した。

 「お願い致します」

 レイアが走り数度剣を交わしてから慈愛の女神トライに刺し抜かれた。しかし今までと違い最初は白い炎だったが徐々に黒い炎へと色が変わり、斑らな炎が長く続く。

 「成る程、この女は人間で言うところの間者だったのか」

 「間者ってスパイの事ですよね」

 「そうだよ、彼女はラカル教会の潜伏員だね。著名なギルドに潜り込み情報を収集するのが目的だね」

 「待ってください、本当にレイアがスパイなんですか?」

 「そうだね」

 斑らな炎に包まれたままのレイアが苦悶の声を上げ始める。スノウもどうすればいいのか分からず止まっている。

 「しかし魔神よ、この者も克服したぞ」

 女神トライが言うように黒い炎が段々白くなり、炎が消え去った。そしてレイアがその場に倒れこんだ。

 「この者は信の力を我に示した」

 「驚いたね、まさかまさかだよ」

 魔神が大層嬉しげな顔で手を叩きはしゃいでいる。

 
 「さあ魔神に招かれし者よ、精霊王に近しい少女よ。残るはお前達だ」

 「お父さん見ていて」

 スノウが前へと一歩ずつ歩みを進めて、女神トライに向き直った。
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