猫被りなきみと嘘吐きな僕

古紫汐桜

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海の誕生日

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 あの後、日付が変わるまではずっとキスだけで、肌と肌を重ねて抱き合っていた。
多分、僕が海に一番最初に「ハッピーバースデー」を言いたいって言ったからなんだろうと思う。
日付が変わり
「海、改めてお誕生日おめでとう」
とキスをすると、海は僕を押し倒して
「では、誕生日になったので、遠慮無くプレゼントをいただきますね」
そう言って微笑んだ。
その爽やかな笑顔は、油断しちゃいけない笑顔だった事を僕はすっかり忘れていたらしい。
唇を重ね、舌を絡めて唇を貪るようにキスをされた。舌を吸われ、海の前歯で僕の舌を甘噛みされながら、僕の身体を海の手が這う。
背中に這わされた手が、ゆっくりと上から下へと這わされて行く。
そして双丘を両手で掴むと、ゆっくりと確かめるように揉み始めた。
「う……ん……」
塞がれた唇から甘い吐息が漏れると、双丘を揉んでいた手が後孔へと伸びて指先でノックするように触れた。
「んんっ……ふぅ……ん……」
焦らすような触れ方に、思わず腰が揺れると、ゆっくりと唇が離れ
「久しぶりなので、ゆっくり解しますね」
そう言って、海はゆっくりと僕の身体を離して身体を起こした。
そして僕の背後に周り、腰を抱き上げた。
僕は慌てて
「待って! 僕も……海のを舐めたい……」
そう言うと、僕たちは身体を横にして反対に向き合った。
久し振りに見た海自身は、既に怒張しきってガチガチになっている。
先端を舐めて、裏筋から下へと舌を這わす。
すると海の手が僕の腰を抱き寄せ、普段は誰にも目に触れる事の無い場所へと舌を這わせた。
「あっ!」
思わず漏れた声を合図に、海の舌が円を描くように僕の中へと舌を差し込んだ。
唾液を流し込み、舌で出し入れする動きに腰が揺れる。
僕も負けじと、必死に海のモノに手を這わせて扱きながら下の袋を口に含んで舌で転がす。
片方が終わると、もう片方同じようにして、その後、僕を貫く楔にキスを落とした。舐めたり扱いたりしながら口の中へと咥えると、湿った水音が部屋に響き渡る。それは僕の発している音なのか?
海の発している音なのか?
舌で拡げられ、普段は舐められる事の無い場所に舌が這い回る。
「あっ……あっ……」
口に咥えていた海自身を零し、喘ぎ声が漏れると、指が差し込まれて唾液で濡れたその器官に、海の指を2本飲み込ませた。
「あぁっ!」
仰け反って声を上げると
「和哉さん、お口がお留守になっていますよ」
そう言われて、口の中に海自身を突っ込まれた。
「んぅ!」
喉奥に海の先端が当たり、生理的な涙が流れる。
「和哉さん、良い顔……」
指を抜き差ししながら、胸を撫でなれて
「んんっ!」
と思わず咥えたまま叫ぶと、海が激しく抜き差ししながら胸をを刺激する。
僕も負けじと必死に舌と口で口淫し続け、まるで勝負しているかのように、互いに刺激を与え合う。
どちらが先に果てるか……と。
 指が3本になり、僕の中を縦横無尽に動き回り、僕は海が与える快楽に溺れないように、必死に咥えている海自身を口で刺激し続けた。海の指の動きが早くなり
「んぅ!んんっ!……んっ…んんぅっ!」
僕が海を咥えたまま果てると、喉の奥に海の迸りを感じた。必死に飲み込み、ガックリと身体に力が抜けた。
荒くなった呼吸を整えながら、僕の唇の端に流れる飲み込めなかった残滓を舐めとると、海も呼吸を荒げながら、僕の中から指を引き抜いて
「挿れます、良いですね?」
と囁き、ゆっくりと僕の身体を抱き締めた。
僕は呼吸を整えながら頷き、海の先端がゆっくりと押し進められて行くのを感じていた。
「あっ……」
先端が後孔に触れ、グイっと中へと押し入ってくる。熱くて硬い灼熱の肉棒が、僕の中へと徐々に入るのを感じながら、海の背中に爪を立てた。
久し振りの圧迫感に、仰け反って海の背中にしがみつく。
でもそれは、不快感では無くて愛しくて堪らない……焦がれた存在の証。
「あっ……あぁ……」
ズズっと奥へと進む度、声が漏れる。
一番太い場所が入ると、後はすんなりと挿入された。
『ズン』っと、最奥を穿つ熱に
「はぁ……あぁ!……」
と、甲高い声が上がる。
「和哉さん、全部入りました。わかりますか?」
そう訊かれて、涙が浮かぶ瞳で海を見上げて頷いた。すると海はそっと頬に触れると、ゆっくりと僕の手を握り締めて掌にキスを落とした。
「凄い……。中がうねって……俺を飲み込んでます」
海の言葉に、僕は真っ赤になりながら首に手を回す。
僕の中で、海が脈を打っているのがわかる。
「海……もう、動いて……」
誘うように囁くと
「大丈夫ですか?久し振りだから、ゆっくりの方が……」
心配して訊いてくる海に
「もう、我慢出来ないから、早く!」
そう、益々真っ赤になって叫んだ。
海は一瞬、驚いた顔をした後、僕にキスをしてから
「仰せのままに……」
そう言って腰を動かし始めた。
『パンパン』と肉が当たる音が響き、奥を激しく突いたかと思うと、浅い場所を激しく刺激する。
「あぁ……あんっ……あっ、あっ、あっ、アア!海……もっと……もっと激しく……」
「和哉さん……和哉さん……」
海は僕の名前を呼び続け、激しく腰を動かす。
ガクガクと揺すられる身体は、海の与える快楽で気持ち良さしか感じない。
「海……いぃ……気持ち……ぃぃよぉ……。海……、もっと……してぇ……海、海……ぃ」
海の動きに合わせるように、僕も腰を動かすと、海の動きが激しくなり
「和哉さん……もぅ……」
っと、切羽詰まった声が聞こえた。
「来て……海、僕の……中に……ぁっ……全部……出してぇ……っ!」
海の激しい動きに合わせるように、僕も腰を揺らす。
「くそっ……持っていかれる……」
海はそう呟くと
「和哉さん……和哉さん……っ!」
苦しそうに僕の名前を呼び続け、強く腰を打ち付けてきた。
「あっ!アア!……っ」
僕の身体が震え、ガクガクと痙攣し始めると、海が僕を強く抱き締めて、僕の中で海の熱い迸りが弾けた。
「っ……はぁ……ぁ……」
全身を襲う浮遊感に、僕はグッタリと脱力した。海の背中を掴んでいた手がパタリとベッドに落ち、僕を強く抱き締めていた手がゆっくりと緩む。


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