猫被りなきみと嘘吐きな僕

古紫汐桜

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プレゼント

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「あのさ……もし僕が、明日、海の誕生日だから帰って来たって言ったら、どうする?」
ちょっと興味本位で聞いてみると、海は驚いた顔をして
「覚えてたんですか?」
と呟いた。
「当たり前だろう!その……恋人の誕生日なんだから……」
恥ずかしくてモゴモゴ呟くと、海は壊れるんじゃないかって程に強く抱き締めた。
「い……痛いよ! この馬鹿力!」
僕が怒って叫ぶと、海は
「だって……、和哉さんが俺の誕生日を覚えているなんて……奇跡ですよ」
そう言って、嬉しそうにクシャクシャな笑顔を浮かべる。
「まぁ……帰ってくるだけで、何もお土産とかプレゼントが用意出来なくて……」
僕はそう言うと、抱き締めている海の腕から離れて一度ベッドから降りると、鞄に突っ込んでいたブツを取り出す。
恥ずかしいが、仕方ないと覚悟を決めて
「良いか! 今から目を瞑れ!」
そう叫ぶ。
「はぁ?」
「良いから、黙って目を瞑って大人しくしてろ!」
不思議そうな顔をする海に目を瞑らせ、僕は必死になって作業をする。
通販で買ったアダルトグッズに、こんな物が売っているって事は、他に買う奴がいるのかと思うと、世の中は頭が沸いてる人間が多いな……と悪態を吐きながら、説明書通りに仕上げる。
「和哉さん、まだですか? もしかして、居なくなったりしていないですよね?」
と、海の奴は急に不安になったらしい。
僕の普段の行いが、いかに悪かったのかが分かる一言に焦りながら
「あと少しだから、もうちょっとだけ……」
最後の仕上げのリボン結びってやつが出来なくて、オタオタしていると
「もう、目を開けますよ!」
そう言われてしまう。
「あ! 待て! まだ用意が……!」
そう叫んだのも虚しく……赤いリボンが絡まった状態の僕を、海が目を点にして見ていた。
「えっと……和哉さん?」
「なんだよ! 僕は不器用なんだよ!」
真っ赤になって叫ぶ僕に
「もしかして……それ……」
そう言いながら、海が口元を手で隠して真っ赤な顔をする。
「お……お前が、やって欲しいって言ったから……」
リボンが絡まったままで呟くと、海はベッドから降りて近付くと、絡まったリボンを綺麗に手直ししてくれた。
「お前……手先も器用って、どんだけハイスペックなんだよ!」
口を尖らせて言うと、海は僕を抱き締めてベッドへと連れて行った。
「本当はさ、カッコ良くこれで登場したかったんだけどさ……」
ジッと僕を黙って見つめる海から視線を逸らし、言い訳をゴニョゴニョと呟く。
海の熱い眼差しが、痛い。
「な……何か言ってくれよ! 恥ずかしいじゃないか!」
ネタとして、まだ笑われた方がマシと叫ぶと、海が僕の身体を強く抱き締めた。

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