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記念写真
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到着ロビーに戻ると
「あ! 一条!」
と叫ぶ声と共に、海の高校の友達が走り寄って来て
「この、裏切り者!」
と言われながら、確か永澤さんと言っていた子に胸倉を掴まれて身体を揺すられている。
他の2人にも、首を羽交い締めされて頭をグシャグシャにされたり、足を蹴られて死んだ魚のような目をしている海に吹き出すと
「あの!」
と、3人に声を掛けた。
海を含めた4人が僕に視線を向けると、僕は頭を下げて
「色々、ありがとうございました。その……海の事を、これからもよろしくお願いします」
そう伝えた。
すると海が嬉しそうに笑って僕に近付こうとするのを3人が強引に退かして
「もちろん! 浮気はさせませんから!」
って、チャラ……っもとい、大崎君だったかな?が、僕の手を握りそう叫ぶ。
そして大崎君の彼女の関川さんが、大崎君の手を僕から剥がして僕の手を握り
「ごめんなさい! 時々、一条の笑顔にときめいてました! でも、大丈夫です! 和哉さん以外、あいつ、全然、目に入っていないですから!」
そう話す彼女の言葉に思い出して
「あ! きみはもしかして、ブーゲンビリアの栞の子? ありがとう。大事にしているよ」
と微笑んで答えた。
すると彼女は僕の手から手を離して、フラフラと長身の女の子に抱き着き
「夏美、魔性の笑顔……」
そう言って、何故か女子2人が抱き合っている。
「あんたもやっと、牧野会長の魔性の笑顔の魅力が分かったのね!」
「それは分からないけど、和哉さんの魔性の笑顔は分かった!」
「なんでよ! どっちも分かれ!」
とやりとりをしている。
そんな彼女達を見ながら
「海、お前の学生生活は楽しそうだな」
そっと隣に並んで呟くと、海は呆れた笑顔を浮かべている。
すると永澤さんが
「和哉様、写真撮りませんか?」
と言い出した。
「え!」
「え!」
嬉しそうな海の声と、嫌がる僕の声が重なる。
「嫌なんですか?」
唇を尖らせる海に
「僕、写真が苦手なんだよ」
そう言って苦笑いすると
「大丈夫ですよ! どんな和哉様でも素敵です」
永澤さんの圧力に、思わず海に縋る視線を送ると、そんな僕を優しい笑顔で海が見下ろすした。
その瞬間、『カシャ』っとシャッター音が響いた。
「ほら、全然平気ですよ」
そう言って、永澤さんが見せてくれた画像の僕の顔に愕然とした。
海に甘える視線を送っていて、僕、海にこんな顔をしてたんだって恥ずかしくなる。
「それ、消して! 恥ずかしい!」
慌てる僕の肩を、海が突然抱き寄せて来たので
「え?」
と驚いた瞬間、全員が一斉に集まって『カシャ』とシャッター音が響いた。
すると
「ズルイ! 俺も先生と写真が撮りたい!」
遠目で見ていた渚君までもが叫び出した。
「あの……此処、観光地じゃ無いんで……」
慌てる僕を他所に、一条さんが苦笑いしながら海と渚君のスマホを預かって、写真を撮っていた。
(こ……高校生のペース、恐るべし)
そう思っていると、空港内に搭乗のアナウンスが鳴り響いた。
海達と会う前に搭乗手続きは済ませておいたので、僕は皆さんに頭を下げて
「こんなにお見送りに来て頂いて、ありがとうございます。」
そう言うと、海に視線を向ける。
「じゃあ、行ってくるね」
笑顔で告げた僕に
「行ってらっしゃい。俺もすぐ、追いかけます」
そう言って微笑んだ。
すると後の3人組が
「え! すぐ追い掛けるって、どういう事!」
そう言って、又、わちゃわちゃと始まった。
苦笑いする僕に、海は僕に視線を送って微笑む。
一条ご夫妻と渚君にも頭を下げ、僕は搭乗ゲートを潜った。
此処から、新しい未来が始まる。
「あ! 一条!」
と叫ぶ声と共に、海の高校の友達が走り寄って来て
「この、裏切り者!」
と言われながら、確か永澤さんと言っていた子に胸倉を掴まれて身体を揺すられている。
他の2人にも、首を羽交い締めされて頭をグシャグシャにされたり、足を蹴られて死んだ魚のような目をしている海に吹き出すと
「あの!」
と、3人に声を掛けた。
海を含めた4人が僕に視線を向けると、僕は頭を下げて
「色々、ありがとうございました。その……海の事を、これからもよろしくお願いします」
そう伝えた。
すると海が嬉しそうに笑って僕に近付こうとするのを3人が強引に退かして
「もちろん! 浮気はさせませんから!」
って、チャラ……っもとい、大崎君だったかな?が、僕の手を握りそう叫ぶ。
そして大崎君の彼女の関川さんが、大崎君の手を僕から剥がして僕の手を握り
「ごめんなさい! 時々、一条の笑顔にときめいてました! でも、大丈夫です! 和哉さん以外、あいつ、全然、目に入っていないですから!」
そう話す彼女の言葉に思い出して
「あ! きみはもしかして、ブーゲンビリアの栞の子? ありがとう。大事にしているよ」
と微笑んで答えた。
すると彼女は僕の手から手を離して、フラフラと長身の女の子に抱き着き
「夏美、魔性の笑顔……」
そう言って、何故か女子2人が抱き合っている。
「あんたもやっと、牧野会長の魔性の笑顔の魅力が分かったのね!」
「それは分からないけど、和哉さんの魔性の笑顔は分かった!」
「なんでよ! どっちも分かれ!」
とやりとりをしている。
そんな彼女達を見ながら
「海、お前の学生生活は楽しそうだな」
そっと隣に並んで呟くと、海は呆れた笑顔を浮かべている。
すると永澤さんが
「和哉様、写真撮りませんか?」
と言い出した。
「え!」
「え!」
嬉しそうな海の声と、嫌がる僕の声が重なる。
「嫌なんですか?」
唇を尖らせる海に
「僕、写真が苦手なんだよ」
そう言って苦笑いすると
「大丈夫ですよ! どんな和哉様でも素敵です」
永澤さんの圧力に、思わず海に縋る視線を送ると、そんな僕を優しい笑顔で海が見下ろすした。
その瞬間、『カシャ』っとシャッター音が響いた。
「ほら、全然平気ですよ」
そう言って、永澤さんが見せてくれた画像の僕の顔に愕然とした。
海に甘える視線を送っていて、僕、海にこんな顔をしてたんだって恥ずかしくなる。
「それ、消して! 恥ずかしい!」
慌てる僕の肩を、海が突然抱き寄せて来たので
「え?」
と驚いた瞬間、全員が一斉に集まって『カシャ』とシャッター音が響いた。
すると
「ズルイ! 俺も先生と写真が撮りたい!」
遠目で見ていた渚君までもが叫び出した。
「あの……此処、観光地じゃ無いんで……」
慌てる僕を他所に、一条さんが苦笑いしながら海と渚君のスマホを預かって、写真を撮っていた。
(こ……高校生のペース、恐るべし)
そう思っていると、空港内に搭乗のアナウンスが鳴り響いた。
海達と会う前に搭乗手続きは済ませておいたので、僕は皆さんに頭を下げて
「こんなにお見送りに来て頂いて、ありがとうございます。」
そう言うと、海に視線を向ける。
「じゃあ、行ってくるね」
笑顔で告げた僕に
「行ってらっしゃい。俺もすぐ、追いかけます」
そう言って微笑んだ。
すると後の3人組が
「え! すぐ追い掛けるって、どういう事!」
そう言って、又、わちゃわちゃと始まった。
苦笑いする僕に、海は僕に視線を送って微笑む。
一条ご夫妻と渚君にも頭を下げ、僕は搭乗ゲートを潜った。
此処から、新しい未来が始まる。
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