猫被りなきみと嘘吐きな僕

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
10 / 96

生意気なクソガキ②

しおりを挟む
そして、渚君の超絶イケメンなお兄様の顔を見て、僕は思い出したくもない事も思い出してしまった。
 そう、この超絶イケメンのお兄様と渚君の部屋で会った日は最悪だった。
カテキョのバイトが終わる時間に小関さんが渚君の家の最寄り駅まで車で迎えに来てくれて、僕はそのままラブホに行くのかと期待していた訳だよ!!
こちとら、ひと月間禁欲生活を強いられた訳だ。
そりゃあ~、ひと月を埋める位の濃厚な時間を期待するってもんだろう!!
それが、だ!!
何と、夕飯を一緒に食べた後、自宅まで真っ直ぐに送り届けられ、お土産を手渡されて終了。
「え?今日、久しぶりなのに?」
驚いた僕に
「悪いけど、もうお前のセフレにはなれない」
って言われた。
「え?」
驚く僕に、小関さんは
「俺は、お前の恋人になりたいんだよ」
そう真剣に見つめて呟いた。
僕が思わず俯くと
「晃が死んでまだ四年か……。でも俺はもう、お前と愛の無いセックスはしたくないんだよ」
そう言われてしまう。
何も答えられない僕に、小関さんは頭を優しく撫でると
「飯食ったりするのは、今まで通りするから」
そう言い残して去ってしまったのだ。
 そして今日、多分こいつは僕に、渚君の家庭教師を辞めろと言いに来たんだろう。
内容が内容なだけに、外で話す訳にもいかないので仕方ないから部屋に入れてやった。……のに、だ!
「いや、玄関で結構です」
とか言いやがって、玄関で直立不動で立っている姿にカチンと来た。
「何?ゲイの部屋は危なくて入れないって事?」
嫌味たっぷりに言うと、ムッとした顔をしてズカズカと中に入ってきた。
家で会うと爽やかな笑顔を浮かべて
「いつも渚がお世話になってます」
とかほざきながら、その目が笑っていないのに気付かない僕じゃないからな!
 心の中で悪態を吐きながら、取り敢えず冷蔵庫からペットボトルのお茶を出してそいつの前に置いた。
その時に近くでマジマジと顔を見たら、本当に綺麗な顔立ちをしていて驚いた。
下手なアイドルやモデル顔負けの容姿に、思わず僕も見蕩れてしまった程だ。
 確か渚君の話だと、学校の内外でもめちゃくちゃモテるらしい。
そして教師から先輩後輩、同級生にも人望が厚く、「あんなに猫を被って疲れないのが不思議」と渚君がボヤいていたのを思い出していた。
しかし、一向に話とやらをする気配が無い。
むしろ僕の部屋をキョロキョロ見て、それを僕に見られているのに気付いて慌てて俯いている。
初々しい高校生の反応で可愛いなぁ~と思って眺めていたが、時間ばかりが無駄に過ぎていくので、仕方なく
「それで、話ってなに?」
リビングの座布団に正座して座る彼に訊くと、それまでは初々しい高校生が緊張しています!って顔をしてたそいつは、ハッと我に返ったのか真顔になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

諦めようとした話。

みつば
BL
もう限界だった。僕がどうしても君に与えられない幸せに目を背けているのは。 どうか幸せになって 溺愛攻め(微執着)×ネガティブ受け(めんどくさい)

【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

琉海
BL
憧れを追って入学した学園にいたのは運命の番だった。 アルファがオメガをガブガブしてます。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

処理中です...