猫被りなきみと嘘吐きな僕

古紫汐桜

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悲しい過去③

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 翌朝、目が覚めると頭はスッキリしていた。
散々泣いたからなのか、気持ちも落ち着いている。
先生を失ってから、ずっと泣けない日々を過ごしていた。
悲しくて苦しくて悔しくて……、それでも先生がこの世に居ないという現実を受け入れたくなかったし、受け入れられなかったんだ。
先生のお兄さんに激しく抱かれて、喘がされて泣かされて……その後、僕は我を忘れて泣きじゃくった。
お兄さんは黙ったまま僕を抱き締めて、背中をずっと撫でていてくれていたっけ……。

「起きたのか?」
 ぼんやりとベッドで考えていると、咥えタバコをした小関さんがひょっこりと開けっぱなしドアから顔を出した。
「昨日はすみませんでした」
そう発した声がガラガラで、昨夜の行為の激しさを思い出して赤くなる。
すると小関さんは声を出して笑い
「お前、そういう顔は男を煽るだけだぞ」
と言うと、頭をくしゃくしゃっと乱暴に撫でて来た。
その大きな手は、小関先生と同じ温かくて大きな手だけど、小関先生じゃない。
分かっていたけど、縋り付きたかった。
僕が僕として前を向いて歩くには、あまりにも失った人が大き過ぎた。
「じゃあ……もっとして下さい……」
僕の頭を撫でた手に自分の手を重ね、誘うように小関さんを見上げる。
 小関さんは、小関先生とは違ってエリート風の雰囲気も顔立ちもキリッとした、いかにも「大人」という感じの人だ。
一方小関先生は、どちらかというと「ポヤポヤ」した感じのおっとりしたタイプだった。
小関先生に何処か似ていて、でも別人のこの人にめちゃくちゃにして欲しかった。
「ったく……。晃の奴、とんでもねぇガキを残しやがって…」
そう独りごちると、ベッドのサイドボードにあった灰皿でタバコを乱暴に揉み消し、僕の顎を掴むと
「又、失神するまで鳴かせてやる」
そう囁いて、荒々しいキスを落とした。
今は、人肌が恋しかった。
身体を這う舌や指が与える快楽に身を投じ、灼熱の楔を捩じ込まれ、荒々しく打ち付けられる度に身体の中を侵食されるような感覚。
汗でしっとりとした背中に爪を立て、喉を仰け反らせて喘ぐと、喉を甘噛みされて吸い上げられる。
「あっ……あっ……ぃぃっ!もっと…...もっと突いてぇ……っ!」
相手の腰に足を絡め、どんな些細な動きさえも逃さないようにピッタリと身体を合わせる。
すると円を描くように腰を動かされ、再び激しく突き上げられた。
「あっ……凄…...ぃ…...っ」
首を振りながら、自分も相手の動きに合わせて腰をくねらせる。
「くっ…...」
と、小関さんの口から息を噛み殺す声が聞こえると
「全部、持っていかれそうだ……」
荒い呼吸の合間に呟くと、僕の両足首を掴んで腰に枕を入れると、僕の足を高く上げて上からガンガンと腰を打ち付けて来た。
「ひっ……っ!深ぁ…...ぃ...…!」
仰け反って叫ぶ僕に、容赦なく小関さんは激しく腰を進める。
今まで入れられた事の無い場所を開かれる感覚と、身体を襲う快楽に我を忘れてヨガり狂った。
全身が痙攣して、目の前がチカチカとし始める。
「アァ…………っ!なにぃ……?怖い……いやぁぁぁぁぁぁ!」
感じた事の無い快楽に、全身の震えが止まらない。
ガクガクと全身が震え、僕は潮を吹きながら意識を手放した。
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