20 / 32
風太と美咲と……時々座敷童子②
しおりを挟む
美咲が戸惑うように頷くと
「そっか……。空が言ってるのは、本当だったんだな」
そう言って考え込んでしまった。
「え? 空さん、何か言っていたの?」
美咲がそう聞くと
「空が言うにはさ……オイラ達は本来、美咲達人間には見えない存在なんだって。此処は大龍神様が治める世界で、いわゆる神様の世界? らしいから、美咲達にもオイラ達が見えている。でも、座敷童子は人間界で傷付いて帰って来たから、たとえ此処に居ても、美咲達には声が聞こえないかもしれないって」
風太はそう言うと
「な! 座敷童子」
と、自分とは反対側の美咲の横に座る座敷童子に声を掛けた。
美咲はその言葉に
「それって、どう言う事?」
と真剣な顔をして風太に質問すると、風太は腕を組んで考え込むような仕草をしながら
「詳しい事は知らねえけどよ。人間が神様を信じなくなって、自然を大事にしなくなった。だから神様達の力も弱まって、この世界を守るのが難しくなっているんだって」
そこまで話すと、風太は縁側から飛び降りて
「座敷童子も、お願いばかりされて都合の良い時しかお参りしないからさ。力が弱まって動けなくなっているのを、空に助けられたって言っていたよ」
と言うと、足元の石を蹴って遊び始める。
「あのさ……風太君。空さんって……どんな人なの?」
美咲が質問すると
「空? 大龍神様に仕える龍神で、元々はオイラの母ちゃんに仕えていたらしいよ」
風太は普通に話をしているが、美咲は混乱した。
空が風太の母親では無いとして、その風太の母親に仕えていたとしたならば……今、この場所に居る美咲達の中で、風太の父親を知っている唯一の存在だということだ。
風太は、父親が人間だと言っていた。
その時、美咲の胸の中がザワザワと嫌な胸騒ぎを起こす。
「風太君……もしかして、風太君の父親って……」
「あれ? 美咲、此処に居たの?」
美咲が呟いた瞬間、呑気な顔をして修治が現れた。
「あ! 修治だ!」
風太と座敷童子は修治を囲むと
「遊ぼうぜ! 修治、遊ぼうぜ!」
そう叫んでいる。
「あ~れ~? 何? 俺って、ちび子達にも大人気?」
嬉しそうにしている修治に
「ちびっ子達にもって何? あんたがいつ、何処で、誰に人気があったのよ!」
と、美咲が呆れて呟く。
「美咲、妬くなって! 俺はいつだって、美咲が一番だよ」
修治が美咲の手を取ってそう言うと、手の甲にキスをしようとした。
美咲は慌てて手を離し
「気持ち悪い事すんな!」
そう叫んで修治の頭にチョップをした。
すると風太達も美咲の真似をして、修治の腕にジャンプしてチョップし始めたのだ。
「こ~ら~! 誰だ! 俺にチョップしてるのは!」
修治がそう叫ぶと
「やばい! 逃げろ~!」
と叫び、風太と座敷童子が走り出す。
その2人を修治が追いかけていると、恭介が裏山の方から帰って来た。
「そっか……。空が言ってるのは、本当だったんだな」
そう言って考え込んでしまった。
「え? 空さん、何か言っていたの?」
美咲がそう聞くと
「空が言うにはさ……オイラ達は本来、美咲達人間には見えない存在なんだって。此処は大龍神様が治める世界で、いわゆる神様の世界? らしいから、美咲達にもオイラ達が見えている。でも、座敷童子は人間界で傷付いて帰って来たから、たとえ此処に居ても、美咲達には声が聞こえないかもしれないって」
風太はそう言うと
「な! 座敷童子」
と、自分とは反対側の美咲の横に座る座敷童子に声を掛けた。
美咲はその言葉に
「それって、どう言う事?」
と真剣な顔をして風太に質問すると、風太は腕を組んで考え込むような仕草をしながら
「詳しい事は知らねえけどよ。人間が神様を信じなくなって、自然を大事にしなくなった。だから神様達の力も弱まって、この世界を守るのが難しくなっているんだって」
そこまで話すと、風太は縁側から飛び降りて
「座敷童子も、お願いばかりされて都合の良い時しかお参りしないからさ。力が弱まって動けなくなっているのを、空に助けられたって言っていたよ」
と言うと、足元の石を蹴って遊び始める。
「あのさ……風太君。空さんって……どんな人なの?」
美咲が質問すると
「空? 大龍神様に仕える龍神で、元々はオイラの母ちゃんに仕えていたらしいよ」
風太は普通に話をしているが、美咲は混乱した。
空が風太の母親では無いとして、その風太の母親に仕えていたとしたならば……今、この場所に居る美咲達の中で、風太の父親を知っている唯一の存在だということだ。
風太は、父親が人間だと言っていた。
その時、美咲の胸の中がザワザワと嫌な胸騒ぎを起こす。
「風太君……もしかして、風太君の父親って……」
「あれ? 美咲、此処に居たの?」
美咲が呟いた瞬間、呑気な顔をして修治が現れた。
「あ! 修治だ!」
風太と座敷童子は修治を囲むと
「遊ぼうぜ! 修治、遊ぼうぜ!」
そう叫んでいる。
「あ~れ~? 何? 俺って、ちび子達にも大人気?」
嬉しそうにしている修治に
「ちびっ子達にもって何? あんたがいつ、何処で、誰に人気があったのよ!」
と、美咲が呆れて呟く。
「美咲、妬くなって! 俺はいつだって、美咲が一番だよ」
修治が美咲の手を取ってそう言うと、手の甲にキスをしようとした。
美咲は慌てて手を離し
「気持ち悪い事すんな!」
そう叫んで修治の頭にチョップをした。
すると風太達も美咲の真似をして、修治の腕にジャンプしてチョップし始めたのだ。
「こ~ら~! 誰だ! 俺にチョップしてるのは!」
修治がそう叫ぶと
「やばい! 逃げろ~!」
と叫び、風太と座敷童子が走り出す。
その2人を修治が追いかけていると、恭介が裏山の方から帰って来た。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
水鏡
古紫汐桜
キャラ文芸
都市伝説などの話を扱うオカルト雑誌の編集社に所属している、カメラマンの杉野冬夜に一通の招待状が届く。
その招待状をきっかけに坂巻遥、渡瀬幸太の二人も巻き込み、1000年の時を超えた美しくも悲しい悲劇が再び蘇ろうとしていた。
1000年の悲しい鎖に縛られた二人が出会った時、止まっていたはずの歯車が動き出す。
愛は憎しみを超えるのか?
憎しみが愛を超えるのか?
様々に入り組んだ感情が支配する中、冬夜の出す答えとは……?
天之琉華譚 唐紅のザンカ
ナクアル
キャラ文芸
由緒正しい四神家の出身でありながら、落ちこぼれである天笠弥咲。
道楽でやっている古物商店の店先で倒れていた浪人から一宿一飯のお礼だと“曰く付きの古書”を押し付けられる。
しかしそれを機に周辺で不審死が相次ぎ、天笠弥咲は知らぬ存ぜぬを決め込んでいたが、不思議な出来事により自身の大切な妹が拷問を受けていると聞き殺人犯を捜索し始める。
その矢先、偶然出くわした殺人現場で極彩色の着物を身に着け、唐紅色の髪をした天女が吐き捨てる。「お前のその瞳は凄く汚い色だな?」そんな失礼極まりない第一声が天笠弥咲と奴隷少女ザンカの出会いだった。
小説版つみねこ きさらぎ駅編~不知火陽太の過去~
奈雲
キャラ文芸
【当たり前がなくなる日。】
不知火陽太少年は両親と弟に囲まれ幸せに過ごしてきた。しかしその当たり前の日常がある日突然音を立てて崩れ落ちていく。
強盗殺人犯によって両親を殺され、家に放火され弟を焼き殺された陽太は心に深い傷を負ってしまった。
日々他人からの心内言葉で心を閉ざしていた彼のもとに現れたのは【大悪魔 サタン】。
これはひょんなことから大悪魔サタンを呼び出してしまった陽太少年が体験する楽しくてちょっぴり怖くて不思議な物語。
臓物爆裂残虐的女子スプラッターガール蛇
フブスグル湖の悪魔
キャラ文芸
体の6割強を蛭と触手と蟲と肉塊で構成されており出来た傷口から、赤と緑のストライプ柄の触手やら鎌を生やせたり体を改造させたりバットを取り出したりすることの出来るスプラッターガール(命名私)である、間宮蛭子こと、スプラッターガール蛇が非生産的に過ごす日々を荒れ気味な文章で書いた臓物炸裂スプラッタ系日常小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
モノの卦慙愧
陰東 愛香音
キャラ文芸
「ここじゃないどこかに連れて行って欲しい」
生まれながらに異能を持つひなは、齢9歳にして孤独な人生を強いられた。
学校に行っても、形ばかりの養育者である祖父母も、ひなの事を気味悪がるばかり。
そんな生活から逃げ出したかったひなは、家の近くにある神社で何度もそう願った。
ある晩、その神社に一匹の神獣――麒麟が姿を現す。
ひなは彼に願い乞い、現世から彼の住む幽世へと連れて行ってもらう。
「……ひな。君に新しい世界をあげよう」
そんな彼女に何かを感じ取った麒麟は、ひなの願いを聞き入れる。
麒麟の住む世界――幽世は、現世で亡くなった人間たちの魂の「最終審判」の場。現世での業の数や重さによって形の違うあやかしとして、現世で積み重ねた業の数を幽世で少しでも減らし、極楽の道へ進める可能性をもう一度自ら作るための世界。
現世の人のように活気にあふれるその世界で、ひなは麒麟と共に生きる事を選ぶ。
ひなを取り巻くあやかし達と、自らの力によって翻弄される日々を送りながら、やがて彼女は自らのルーツを知ることになる。
ヒカリとカゲ♡箱入り令嬢の夢見がちな日常♡
キツナ月。
キャラ文芸
世間知らずな令嬢の恋を、トイレが激近い泥棒が見守る(面白がる)ドタバタおトイレLOVEコメディ❤️
※表紙はフリー素材です※
《主な登場人物》
♡胡桃沢(くるみざわ)ヒカリ
深窓の令嬢。17歳。恋しがち。
♡カゲ
泥棒。
ヒカリの気まぐれで雇われる?
トイレが激近い(危険な時は特に)。
令嬢が章ごとに恋するスタイル👀✨
⚡️泥棒の章⚡️
恋愛対象→危険な香りの泥棒❤️
今後の物語に絡んでくる人物。
🎹ピアノ男子の章🎹
恋愛対象①
奏斗(かなと)さま…謎多き美貌のピアニスト❤️
恋愛対象②
森下奏人さま…ヒカリが通う学園の教育実習生、担当教科は音楽❤️
💡ゴージャスな学園やライバルお嬢も登場。
🏥お医者さまの章🏥
恋愛対象→医師・北白河 誠さま❤️
💡じいちゃんが健康診断を受けることになり──?
🌹お花屋さんの章🌹
恋愛対象→???
『元』魔法少女デガラシ
SoftCareer
キャラ文芸
ごく普通のサラリーマン、田中良男の元にある日、昔魔法少女だったと言うかえでが転がり込んで来た。彼女は自分が魔法少女チームのマジノ・リベルテを卒業したマジノ・ダンケルクだと主張し、自分が失ってしまった大切な何かを探すのを手伝ってほしいと田中に頼んだ。最初は彼女を疑っていた田中であったが、子供の時からリベルテの信者だった事もあって、かえでと意気投合し、彼女を魔法少女のデガラシと呼び、その大切なもの探しを手伝う事となった。
そして、まずはリベルテの昔の仲間に会おうとするのですが・・・・・・はたして探し物は見つかるのか?
卒業した魔法少女達のアフターストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる