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認めたくない思い
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まだ自分が20代の頃、職場に40代で未婚の女性が居た。
性格は大雑把で、制服のスカートの裾が解れると、平気でホチキスで留めるような人だった。
若い女の子が大嫌いで、ちょっとでも会社の男性に優しくされると、その子を1日無視するような人だった。
当時、パートで来ていた50代の女性から
「結婚は失敗しても良いから一度はしなさい。じゃないとあぁなるわよ」
と、女性からも笑われているような人だった。
彼女はいつまでたっても若いつもりで、10代の男の子が「私にだけ話しかけてくるのはなんでだと思う?」って、私に「好きなんじゃ無いんですか?」と、明らかに言わせたい顔で聞いて来た。
私には2つ下に弟が居たので、10代後半の男の子が40代後半の女性に好意を持つとはどうしても言えなくて、
「お母さんみたいに思ったのでは?」
と言ってしまたのだ。
すると彼女は顔を真っ赤にして怒り出し
「あなた、失礼ね!」
と怒鳴ると、その日から私への虐めが始まった。
連絡事項は伝えない。
わざと私に電話応対をさせ
「ごめんなさいね~。新人だから、な~んにもわからないのよ!」
って叫んで取引先に言ったりしていた。
彼女の虐めはあからさまだったので、社内で問題になり、自主退職していった。
(この人の場合、私の他にも、女性の新人が何人もいじめられていたのが原因ではあったのだけど……)
あの姿を見て、私はずっとあぁはなるまいと思って生きて来た。
どんなに自分が若く見えたとしても、所詮は40代。
肌の艶や張りも違うし、何より手の甲が若い子と明らかに違う。
老いる事を怖いと思った事も無かったし、私は魅力的に生きている諸先輩方が憧れだった。
自分も良い年齢の取り方をしたいと思っていたし、実際、そう生きていると思っていた。
何不自由の無い生活。積み上げた社会的地位。
そんな自分の今までの価値観が、根底から覆されそうで怖かった。
あの日以来、三島健人は私を見掛けると声をかけてくるようになった。
とはいえ
「おはようございます」
とか
「今日はノー残DAYですから、さっさと帰ってくださいよ」
とか、相変わらず、可愛らしさのカケラもない会話。
でも、その言葉が温かく感じてしまうくらいには、私は彼に惹かれてしまっていたらしい。
そして、後から知ったのだが、彼の奥様は同じ会社で総務の女の子という事。
社内外で、美人で有名な子だと噂で聞いた。
今は時短出勤をしていて、妊活をしているとかいないとか…。
子供を望めない年齢の私には、若い子との恋愛を望んではいけないと頭で理解していた。
私には、彼の遺伝子を残すことはもう無理だから……。
あんなに早く「女」であることを終わらせたかったのに、今、こんなにも足枷に思うなんて……人間とは欲深い生き物だと思った。
性格は大雑把で、制服のスカートの裾が解れると、平気でホチキスで留めるような人だった。
若い女の子が大嫌いで、ちょっとでも会社の男性に優しくされると、その子を1日無視するような人だった。
当時、パートで来ていた50代の女性から
「結婚は失敗しても良いから一度はしなさい。じゃないとあぁなるわよ」
と、女性からも笑われているような人だった。
彼女はいつまでたっても若いつもりで、10代の男の子が「私にだけ話しかけてくるのはなんでだと思う?」って、私に「好きなんじゃ無いんですか?」と、明らかに言わせたい顔で聞いて来た。
私には2つ下に弟が居たので、10代後半の男の子が40代後半の女性に好意を持つとはどうしても言えなくて、
「お母さんみたいに思ったのでは?」
と言ってしまたのだ。
すると彼女は顔を真っ赤にして怒り出し
「あなた、失礼ね!」
と怒鳴ると、その日から私への虐めが始まった。
連絡事項は伝えない。
わざと私に電話応対をさせ
「ごめんなさいね~。新人だから、な~んにもわからないのよ!」
って叫んで取引先に言ったりしていた。
彼女の虐めはあからさまだったので、社内で問題になり、自主退職していった。
(この人の場合、私の他にも、女性の新人が何人もいじめられていたのが原因ではあったのだけど……)
あの姿を見て、私はずっとあぁはなるまいと思って生きて来た。
どんなに自分が若く見えたとしても、所詮は40代。
肌の艶や張りも違うし、何より手の甲が若い子と明らかに違う。
老いる事を怖いと思った事も無かったし、私は魅力的に生きている諸先輩方が憧れだった。
自分も良い年齢の取り方をしたいと思っていたし、実際、そう生きていると思っていた。
何不自由の無い生活。積み上げた社会的地位。
そんな自分の今までの価値観が、根底から覆されそうで怖かった。
あの日以来、三島健人は私を見掛けると声をかけてくるようになった。
とはいえ
「おはようございます」
とか
「今日はノー残DAYですから、さっさと帰ってくださいよ」
とか、相変わらず、可愛らしさのカケラもない会話。
でも、その言葉が温かく感じてしまうくらいには、私は彼に惹かれてしまっていたらしい。
そして、後から知ったのだが、彼の奥様は同じ会社で総務の女の子という事。
社内外で、美人で有名な子だと噂で聞いた。
今は時短出勤をしていて、妊活をしているとかいないとか…。
子供を望めない年齢の私には、若い子との恋愛を望んではいけないと頭で理解していた。
私には、彼の遺伝子を残すことはもう無理だから……。
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