35 / 53
そうだ!会いに行こう!!
しおりを挟む
不満そうに唇を尖らせるはじめを無視して、先に母屋に入ると
「田舎料理しか作れないから、お口に合うか分からないけど…」
そう言って、お祖母様がお茶碗を差し出した。
はじめのお客様だからと、精一杯もてなしたいという気持ちが溢れていて、僕まで温かい気持ちになる。
僕が持参した豚肉で作ったという豚汁を口にすると、はじめが毎日作りに来てくれていた優しい味が口の中に広がる。
「あぁ……はじめ君のお料理は、おばあ様の味だったんですね」
思わず笑みがこぼれて呟くと
「おばあ様なんてやめてちょうだい。ばあちゃんで良いですよ。私はそうね……」
と呟いて、僕の名前を思い出している様子のお祖母様に
「創です。僕の名前は、創です」
と伝えると、お祖母様はふわりと笑って
「じゃあ、創って呼んでも良い?」
そう言ってくれた。
他人行儀な「創さん」では無く、「創」と呼んで貰えて、家族として認めてもらえたような気持ちでいると
「え!ばあちゃん、それはあまりにも馴れ馴れしい……」
と、相変わらずこういう空気は読めないはじめの言葉を右手で制し
「はい!是非、創と呼んで下さい」
そう笑顔で答えた。
するとお祖母様は嬉しそうに笑い
「孫が二人になった気分だね」
なんて言ってくれて
「創、これは食べた?」
「創、これは今朝取ってきた山菜の天麩羅だから、 たくさん食べなさい」
と、どんどん食事を勧められて食べる食材は、全て家庭菜園と山の恵みだと聞かされる。
「凄いですね……。僕にも山菜、採れるようになりますかね?」
それは、ここで暮らして行きたいという意思表示も込めて呟いてみた。
するとお祖母様は満面の笑みを浮かべて
「じゃあ、明日は山に山菜を取りに行きましょう」
と答えてくれたのだ。
僕の顔を笑顔で見つめて、何度も頷くお祖母様に僕の意図を汲み取ってくれたように感じた。
そんなお祖母様に感動しているのに、全く空気を読めないはじめが
「え!山菜って!創さん、朝早いんですよ!」
なんて空気をぶち壊して来た。
(本当に……こいつは……)
と、ムッとしながら
「今、ばあちゃんに朝5時起きって聞いたよ!そんなに寝ていたいなら、はじめだけ寝てれば良いだろう」
と答えると、はじめは目をまん丸にして僕を凝視している
そんなはじめを見て、お祖母様は笑顔を浮かべたまま
「はじめ。創は、此処での暮らしを体験してみたいそうだよ。だったら、やらせてあげなさい」
そう言ってお茶を飲み僕に笑顔を向けた。
はじめは困った顔をしながら、僕とお祖母様だけだと心配だと、結局、僕に付き添ってはじめが着いて来る事になった。
洗い物をしようと立ち上がるはじめに
「僕も手伝うよ」
と言うと、はじめが又目をまん丸にしている。
はじめが居なくなって、僕は自分の事は最低限出来るように家事をやるようになった。
はじめに出会うまで、僕は独身を貫くつもりだったから別に食事や自分の身体の事なんてどうでも良かった。
でもはじめと付き合うようになって、食事を気を付けるようになった。
少しは身の回りの事も出来るようにと家事もやるようになり、今日、その成果を発揮する時が来た!
洗う気満々で居ると、お祖母様まで来て
「お客様は休んでいて」
と言われてしまい僕がしょんぼりすると
「じゃあ、こうしましょう!」
そう言ってお祖母様が提案してくれたのは、僕がはじめが洗い上げた食器を拭いてテーブルに置き、お祖母様がその食器を食器棚へ片付けるという流れになった。
食器を片付け終わり、はじめがお風呂を沸かしに外へと向かうのを見掛けた。
「田舎料理しか作れないから、お口に合うか分からないけど…」
そう言って、お祖母様がお茶碗を差し出した。
はじめのお客様だからと、精一杯もてなしたいという気持ちが溢れていて、僕まで温かい気持ちになる。
僕が持参した豚肉で作ったという豚汁を口にすると、はじめが毎日作りに来てくれていた優しい味が口の中に広がる。
「あぁ……はじめ君のお料理は、おばあ様の味だったんですね」
思わず笑みがこぼれて呟くと
「おばあ様なんてやめてちょうだい。ばあちゃんで良いですよ。私はそうね……」
と呟いて、僕の名前を思い出している様子のお祖母様に
「創です。僕の名前は、創です」
と伝えると、お祖母様はふわりと笑って
「じゃあ、創って呼んでも良い?」
そう言ってくれた。
他人行儀な「創さん」では無く、「創」と呼んで貰えて、家族として認めてもらえたような気持ちでいると
「え!ばあちゃん、それはあまりにも馴れ馴れしい……」
と、相変わらずこういう空気は読めないはじめの言葉を右手で制し
「はい!是非、創と呼んで下さい」
そう笑顔で答えた。
するとお祖母様は嬉しそうに笑い
「孫が二人になった気分だね」
なんて言ってくれて
「創、これは食べた?」
「創、これは今朝取ってきた山菜の天麩羅だから、 たくさん食べなさい」
と、どんどん食事を勧められて食べる食材は、全て家庭菜園と山の恵みだと聞かされる。
「凄いですね……。僕にも山菜、採れるようになりますかね?」
それは、ここで暮らして行きたいという意思表示も込めて呟いてみた。
するとお祖母様は満面の笑みを浮かべて
「じゃあ、明日は山に山菜を取りに行きましょう」
と答えてくれたのだ。
僕の顔を笑顔で見つめて、何度も頷くお祖母様に僕の意図を汲み取ってくれたように感じた。
そんなお祖母様に感動しているのに、全く空気を読めないはじめが
「え!山菜って!創さん、朝早いんですよ!」
なんて空気をぶち壊して来た。
(本当に……こいつは……)
と、ムッとしながら
「今、ばあちゃんに朝5時起きって聞いたよ!そんなに寝ていたいなら、はじめだけ寝てれば良いだろう」
と答えると、はじめは目をまん丸にして僕を凝視している
そんなはじめを見て、お祖母様は笑顔を浮かべたまま
「はじめ。創は、此処での暮らしを体験してみたいそうだよ。だったら、やらせてあげなさい」
そう言ってお茶を飲み僕に笑顔を向けた。
はじめは困った顔をしながら、僕とお祖母様だけだと心配だと、結局、僕に付き添ってはじめが着いて来る事になった。
洗い物をしようと立ち上がるはじめに
「僕も手伝うよ」
と言うと、はじめが又目をまん丸にしている。
はじめが居なくなって、僕は自分の事は最低限出来るように家事をやるようになった。
はじめに出会うまで、僕は独身を貫くつもりだったから別に食事や自分の身体の事なんてどうでも良かった。
でもはじめと付き合うようになって、食事を気を付けるようになった。
少しは身の回りの事も出来るようにと家事もやるようになり、今日、その成果を発揮する時が来た!
洗う気満々で居ると、お祖母様まで来て
「お客様は休んでいて」
と言われてしまい僕がしょんぼりすると
「じゃあ、こうしましょう!」
そう言ってお祖母様が提案してくれたのは、僕がはじめが洗い上げた食器を拭いてテーブルに置き、お祖母様がその食器を食器棚へ片付けるという流れになった。
食器を片付け終わり、はじめがお風呂を沸かしに外へと向かうのを見掛けた。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説


離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

ヤバい薬、飲んじゃいました。
はちのす
BL
変な薬を飲んだら、皆が俺に惚れてしまった?!迫る無数の手を回避しながら元に戻るまで奮闘する話********イケメン(複数)×平凡※性描写は予告なく入ります。
作者の頭がおかしい短編です。IQを2にしてお読み下さい。
※色々すっ飛ばしてイチャイチャさせたかったが為の産物です。
珈琲のお代わりはいかがですか?
古紫汐桜
BL
身長183cm 体重73kg
マッチョで顔立ちが野性的だと、女子からもてはやされる熊谷一(はじめ)。
実は男性しか興味が無く、しかも抱かれたい側。そんな一には、密かに思う相手が居る。
毎週土曜日の15時~16時。
窓際の1番奥の席に座る高杉に、1年越しの片想いをしている。
自分より細身で華奢な高杉が、振り向いてくれる筈も無く……。
ただ、拗れた感情を募らせるだけだった。
そんなある日、高杉に近付けるチャンスがあり……。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる