野花のような君へ

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
29 / 53

そうだ!会いに行こう!!!!!!

しおりを挟む
兄達の件は、蓮君に紹介された弁護士さんに色々と相談してストーカー対策を考え始めた。そんな中、蓮君から
「熊さんは元気ですか?」
と聞かれ、思わず回答に困った。
いざとなると連絡するを躊躇ってしまい、折角貰った連絡先はお財布の中で眠っている。
友也君には偉そうな事を言って連絡先を譲って貰ったものの、下手に連絡して別れを言われたら……と考えてしまい怖気付いているのだ。
しかも、はじめからも連絡が来ない。
(散々、我儘言ったから……嫌われたのかもしれない)
そう思うと胸が痛んだ。
もっと優しくすれば良かったとか、もっと上手く恋人になれたら違ったのかもしれないとか。
頭の中で、最悪な結果がグルグルと回っていた時だった。
お店のドアが開き
「あれ?高杉先生、お久しぶりです」
と、友也君の声がしたのだ。
「あ、友也君!久しぶり。あの……はじめは元気?」
思わず前のめりに聞くと、驚いた顔をされて
「まさか……あれから何もしてないんですか?」
って、呆れた顔をされてしまった。
「怖いんだ……。いざとなると、はじめから別れを言われてしまうんじゃないかとか……」
俯いて呟くと、大きな溜め息が聞こえた後
「くまさんと言い……、高杉先生と言い……。変な所が似すぎでしょう?」
そう言うと
「あのね、熊さんは高杉先生以外好きになんかならないですよ。高杉先生、熊さんを信じてあげてくれませんか?」
と、真っ直ぐに見つめれて言われた。
「信じる?」
「そうです。2人とも不器用過ぎますよ」
そう言うと
「高杉先生、熊さんに会いに行ってあげて下さいよ。」
と呟いた。
「2人とも、変な所が似すぎてるからさ。電話だと喧嘩別れしちゃいそうな気がするもん」
僕の前の席に座ると、友也君はそう言って微笑んだ。
「会いに?……迷惑じゃないかな?」
俯く僕に
「大丈夫ですよ!絶対、喜びます」
友也君はそう言うと、僕の両手を握り締めて
「ちゃんと、高杉先生のこの手で熊さんを捕まえて来て下さい。絶対、大丈夫ですから!」
と言うと、満面の笑みを浮かべた。
「熊さんを幸せにできるのは、高杉先生。貴方だけなんですよ!」
友也君の言葉に押されて、僕は大きく頷いた。
そして次の連休に、はじめをこの腕の中に取り戻しに行く決意を固めた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

家族

むちむちボディ
BL
新しく家族となった外熊父親と外熊兄との物語です。

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

ヤバい薬、飲んじゃいました。

はちのす
BL
変な薬を飲んだら、皆が俺に惚れてしまった?!迫る無数の手を回避しながら元に戻るまで奮闘する話********イケメン(複数)×平凡※性描写は予告なく入ります。 作者の頭がおかしい短編です。IQを2にしてお読み下さい。 ※色々すっ飛ばしてイチャイチャさせたかったが為の産物です。

珈琲のお代わりはいかがですか?

古紫汐桜
BL
身長183cm 体重73kg マッチョで顔立ちが野性的だと、女子からもてはやされる熊谷一(はじめ)。 実は男性しか興味が無く、しかも抱かれたい側。そんな一には、密かに思う相手が居る。 毎週土曜日の15時~16時。 窓際の1番奥の席に座る高杉に、1年越しの片想いをしている。 自分より細身で華奢な高杉が、振り向いてくれる筈も無く……。 ただ、拗れた感情を募らせるだけだった。 そんなある日、高杉に近付けるチャンスがあり……。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

処理中です...