野花のような君へ

古紫汐桜

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そうだ!会いに行こう!!!

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「えっ!兄達が!!」
喫茶 木漏れ日に行くと、蓮君が
「お呼び立てしてすみません」
と言うと、柴犬ぽい彼……友也君に頼んで僕を連れ出した事を詫びて
「実は……熊さんに頼まれて、あなたの身の回りに2人組の不審者が来たら気を付けて欲しいと言われていまして……。まぁ、常連さん達や受付の方に高杉診療所に怪しい人物を見たら連絡が欲しいと伝えといたんですね」
そこまで話すと
「最近、良く連絡が入りましてね。常連さん達が声を掛けると、舌打ちして逃げて行くらしいので今は大丈夫かと思いますが……。念の為、気を付けてください」
と言われた。
それで、冒頭の言葉を叫んだ訳だけど……。
兄達が襲撃した日の後、はじめが心配して鍵を変えてくれたから、どうやら事なきを得ていたのだと知りホッと息を吐いた。
あの兄達が何故、そんなに僕に執着するのか不思議だった。
金に物を言わせ、幾らでも相手してくれる人は居るだろうに……。
そう考えていた僕に
「折角の休日に、こんな話を聞かせてすみません」
と、蓮君が再び頭を下げる。
僕は片手で制して
「謝るのはこちらです。色々、気遣いを頂いていたのに気付かずすみません。又、はじめとの約束を守って色々と手を回して下さりありがとうございます」
と頭を下げた。
するとはじめとの痴話喧嘩のきっかけになった色気だだ漏れのハルさんが、柔らかい笑みを浮かべて僕にコーヒーを差し出すと
「はじめくんには、色々お世話になったのでお互い様ですよ」
って微笑んだ。
取り立てて顔立ちがずば抜けて綺麗だとかでは無いのに、柔らかい雰囲気を纏った魅力的な人物であるその人は、人から好かれるタイプなんだろうと容易に分かる。
そんな事を考えた瞬間だった。
お店のドアが開き、颯爽と見覚えのある顔が入店して来た。
「こんにちは」
高級ブランドのスーツを身にまとい、ふわりと柔らかく微笑む人物に絶句していると
「あれ?」
と僕の顔を見ると微笑み
「やぁ、創君も来ていたんだ」
そう言われた。
僕の知ってるこの人は、何処か冷たい空気を放つ鋭利な刃物みたいな人だった。
「ジジイ!ハルだけに飽き足らず、他の客にまで手を出すつもりじゃねぇだろうな!」
目を座らせる蓮君に、僕の方が青くなる。
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