野花のような君へ

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
25 / 53

そうだ!会いに行こう!!

しおりを挟む
   良く分からないけど、彼に連れ出されて喫茶 木漏れ日に柴犬っぽい彼と向かった。
多分、染めてるんだろうけど、茶髪にしているのが益々、柴犬っぽい。
木漏れ日までの道すがら
「熊さんとは連絡取ってます?」
と聞かれたので
「いや……僕は、はじめの携帯番号しか知らないから……」
そう答えると、彼は歩みをピタリと止め
「え?熊さん、高杉様に実家の番号を伝えて無いんですか?」
って、分かりやすいくらいに驚いた顔をしている。
「まぁ……、僕も聞かなかったのが悪いんだけど、まさか携帯の電波が届かない場所にあるなんて思わなかったからね」
淡々と答える僕に小さく笑うと
「熊さん、変な所で遠慮しちゃうから……」
そう言うと
「あの……変な事を聞いても良いですか?」
と言って立ち止まった。
僕も立ち止まり彼を見ると
「熊さんとこの先も付き合って行きたいなら、少し高杉様が強引にならないと自然消滅しちゃうと思います」
淀みの無い綺麗な瞳が、真っ直ぐ僕を見て言い切った。
「強引と言われても……、実家の住所も連絡先も知らないのに?」
そう呟いた僕に
「もし分かったら……どうするんですか?」
「そんなの……連絡するし、会いに行くよ」
彼の言葉に間髪入れずに答えると、笑顔を浮かべて
「その言葉が聞きたかったんです」
そう言うと
「熊さん……、すぐ遠慮しちゃうから……」
と呟いた。
そして僕に1枚の紙を見せて
「これ、熊さんの連絡先って言ったらどうします?」
って聞いて来た。
「えっ!」
思わず紙に手を伸ばした手を引っ込め、深々と頭を下げた。
「このまま、終わらせたくないんだ。もし、その紙にはじめの連絡先があるなら譲って欲しい」
そう言うと、彼は大きな溜め息を吐いて
「こんなに愛されてるのに、なんで熊さんはあんなに自信無いんだろう?」
と呟くと、僕にその紙を手渡した。
「高杉様、ちゃんと熊さんを捕まえて上げて下さいね」
そう言うと、お店に着くなり
「あ!それから…これから休みの日は、お店に顔を出して上げてくださいね。それが、その紙を渡した条件ね」
そう言ってウインクすると、彼はお店のドアを開けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

家族

むちむちボディ
BL
新しく家族となった外熊父親と外熊兄との物語です。

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

超絶美麗な美丈夫のグリンプス ─見るだけで推定一億円の男娼でしたが、五倍の金を払ったら溺愛されて逃げられません─

藜-LAI-
BL
ヤスナの国に住む造り酒屋の三男坊で放蕩者のシグレは、友人からある日、なんでもその姿を見るだけで一億円に相当する『一千万ゼラ』が必要だという、昔話に準えて『一目千両』と呼ばれる高級娼婦の噂を聞く。 そんな中、シグレの元に想定外の莫大な遺産が入り込んだことで、『一目千両』を拝んでやろうと高級娼館〈マグノリア〉に乗り込んだシグレだったが、一瞬だけ相見えた『一目千両』ことビャクは、いけ好かない高慢ちきな美貌のオトコだった!? あまりの態度の悪さに、なんとかして見る以外のことをさせようと、シグレは破格の『五千万ゼラ』を用意して再び〈マグノリア〉に乗り込んだのだが… 〜・Å・∀・Д・ω・〜・Å・∀・Д・ω・〜 シグレ(26) 造り酒屋〈龍海酒造〉の三男坊 喧嘩と玄人遊びが大好きな放蕩者 ビャク(30〜32?) 高級娼館〈マグノリア〉の『一目千両』 ヤスナでは見かけない金髪と翠眼を持つ美丈夫 〜・Å・∀・Д・ω・〜・Å・∀・Д・ω・〜 Rシーンは※をつけときます。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

ヤバい薬、飲んじゃいました。

はちのす
BL
変な薬を飲んだら、皆が俺に惚れてしまった?!迫る無数の手を回避しながら元に戻るまで奮闘する話********イケメン(複数)×平凡※性描写は予告なく入ります。 作者の頭がおかしい短編です。IQを2にしてお読み下さい。 ※色々すっ飛ばしてイチャイチャさせたかったが為の産物です。

珈琲のお代わりはいかがですか?

古紫汐桜
BL
身長183cm 体重73kg マッチョで顔立ちが野性的だと、女子からもてはやされる熊谷一(はじめ)。 実は男性しか興味が無く、しかも抱かれたい側。そんな一には、密かに思う相手が居る。 毎週土曜日の15時~16時。 窓際の1番奥の席に座る高杉に、1年越しの片想いをしている。 自分より細身で華奢な高杉が、振り向いてくれる筈も無く……。 ただ、拗れた感情を募らせるだけだった。 そんなある日、高杉に近付けるチャンスがあり……。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

処理中です...