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回り出す運命
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「高杉様。どこかお怪我やお荷物、洋服などを汚してはおりませんか?」
そう聞かれ
「うん、僕の方は大丈夫だよ。それより、彼の制服を汚してしまったんだ。クリーニング代を支払おうか?」
と言うと、柴犬みたいな彼は驚いた顔をして
「とんでもございません!大丈夫です。お店の方でやりますから」
そう答えると、僕に一礼して席から離れた。
その後、彼の淹れてくれたコーヒーを何故か柴犬ぽい子が持って来て、僕は正直、面白く無い。
前から思っていたのだが、柴犬っぽい子は彼の事を『熊さん』と呼び、親し気にしている。
彼自身も、柴犬っぽい子の名前を呼び捨てにしていて、話している感じからもかなり親しいのが分かる。
思わぬ所にライバル出現か……と考えていると、何人かの女性客が、敢えて彼がレジに居る時に会計しているのに気付く。
それから冷静に観察していると、どうやら彼を狙っている女性はチラホラ居るらしく
「背が高くてカッコいいよね」
「ここのウエイターさんって、顔面偏差値高いよね」
と、楽しそうに話題をしている。
ミーハーな女共に譲ってやる気は無いが、彼の好みが分からないことにはどうにもならない。
まずは仲良くなって、どういうタイプが好みなのか?とか、その辺のリサーチが必要だと考えているのだが、あの柴犬ぽい子が僕と彼の間に入って邪魔をしているとしか思えない行動をするのだ。
彼がレジに立っているので、会計しようとレジへ向かうと柴犬っぽい子がレジを変わってしまうのだ。
名前はネームプレートで『小島』と判明し、彼が『友也』と呼んでいるので、どうやら『小島友也』という名前らしい。
今日も見事な彼の自然なブロックに阻まれ、彼と会話が出来ぬままだった。
小島友也も彼を狙っているのか!と思っていると、彼の左手の薬指に指があるのに気付いた。
もしかして彼とそういう関係なのかもしれないと、必死になんとかして彼の左薬指を見ると、彼の指には何も無くてホッと胸を撫で下ろす。
そして、そんな女子高生みたいな事をしている自分に苦笑いした。
彼はノンケで、男の人なんか好きじゃ無いかもしれない。
そう何度も思うものの、僕を見つめる彼の視線の熱さに毎回、淡い期待をしていしまう自分も居る。
恋愛とは、本当に厄介なものだと思う。
ちょっとした事が気になってしまい、そのちょっとした事で一喜一憂してしまう自分に戸惑う。
今まで、兄達の事があったので、まともな恋愛をしてこなかった。
そんな僕に、彼への想いはとてもハードルが高い。
こんな身体で、彼は僕を受け入れてくれるのだろうか?
僕の身体は、彼に抱かれる事を受け入れられるのか?
きっと、恋人になったらそういう関係をもとめられてしまう。
僕はそれに、応えられるのだろうか?
ぼんやりそう考える。
そもそも、この顔だから女の役割をさせられてはいるが、僕自身は抱かれる事に嫌悪感しかない。
そんな彼を、僕自身は受け入れられるのか?
また、そんな僕を彼は受け入れてくれるのか?
下手に近付いて嫌われるなら、一層、友達として仲良くなれれば良いのかもしれないとまで考えた。
結局」どうしたって答えは出ない。
『創!虎穴に入らずんば虎子を得ずだよ!』
いつだったか、いつも僕が分からない未来を案じているのを見て、美鈴が僕に言った言葉を思い出す。
美鈴。君だったら、今の僕にどんな言葉を投げただろうか?
そんな事を考えながら、日当たりの良い窓側のいつもの席で窓の外を見上げた。
そう聞かれ
「うん、僕の方は大丈夫だよ。それより、彼の制服を汚してしまったんだ。クリーニング代を支払おうか?」
と言うと、柴犬みたいな彼は驚いた顔をして
「とんでもございません!大丈夫です。お店の方でやりますから」
そう答えると、僕に一礼して席から離れた。
その後、彼の淹れてくれたコーヒーを何故か柴犬ぽい子が持って来て、僕は正直、面白く無い。
前から思っていたのだが、柴犬っぽい子は彼の事を『熊さん』と呼び、親し気にしている。
彼自身も、柴犬っぽい子の名前を呼び捨てにしていて、話している感じからもかなり親しいのが分かる。
思わぬ所にライバル出現か……と考えていると、何人かの女性客が、敢えて彼がレジに居る時に会計しているのに気付く。
それから冷静に観察していると、どうやら彼を狙っている女性はチラホラ居るらしく
「背が高くてカッコいいよね」
「ここのウエイターさんって、顔面偏差値高いよね」
と、楽しそうに話題をしている。
ミーハーな女共に譲ってやる気は無いが、彼の好みが分からないことにはどうにもならない。
まずは仲良くなって、どういうタイプが好みなのか?とか、その辺のリサーチが必要だと考えているのだが、あの柴犬ぽい子が僕と彼の間に入って邪魔をしているとしか思えない行動をするのだ。
彼がレジに立っているので、会計しようとレジへ向かうと柴犬っぽい子がレジを変わってしまうのだ。
名前はネームプレートで『小島』と判明し、彼が『友也』と呼んでいるので、どうやら『小島友也』という名前らしい。
今日も見事な彼の自然なブロックに阻まれ、彼と会話が出来ぬままだった。
小島友也も彼を狙っているのか!と思っていると、彼の左手の薬指に指があるのに気付いた。
もしかして彼とそういう関係なのかもしれないと、必死になんとかして彼の左薬指を見ると、彼の指には何も無くてホッと胸を撫で下ろす。
そして、そんな女子高生みたいな事をしている自分に苦笑いした。
彼はノンケで、男の人なんか好きじゃ無いかもしれない。
そう何度も思うものの、僕を見つめる彼の視線の熱さに毎回、淡い期待をしていしまう自分も居る。
恋愛とは、本当に厄介なものだと思う。
ちょっとした事が気になってしまい、そのちょっとした事で一喜一憂してしまう自分に戸惑う。
今まで、兄達の事があったので、まともな恋愛をしてこなかった。
そんな僕に、彼への想いはとてもハードルが高い。
こんな身体で、彼は僕を受け入れてくれるのだろうか?
僕の身体は、彼に抱かれる事を受け入れられるのか?
きっと、恋人になったらそういう関係をもとめられてしまう。
僕はそれに、応えられるのだろうか?
ぼんやりそう考える。
そもそも、この顔だから女の役割をさせられてはいるが、僕自身は抱かれる事に嫌悪感しかない。
そんな彼を、僕自身は受け入れられるのか?
また、そんな僕を彼は受け入れてくれるのか?
下手に近付いて嫌われるなら、一層、友達として仲良くなれれば良いのかもしれないとまで考えた。
結局」どうしたって答えは出ない。
『創!虎穴に入らずんば虎子を得ずだよ!』
いつだったか、いつも僕が分からない未来を案じているのを見て、美鈴が僕に言った言葉を思い出す。
美鈴。君だったら、今の僕にどんな言葉を投げただろうか?
そんな事を考えながら、日当たりの良い窓側のいつもの席で窓の外を見上げた。
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