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人形の家
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『バシッ』
中学に上がった頃、学校から帰宅するなり母親に頬を叩かれた。
意味が分からず母親の顔を見ると
「お前が出来損ないだから、秀一が女を妊娠させたじゃないか!この役立たず!」
そう罵倒された。
どうやら秀一兄さんが、付き合っていた彼女を妊娠させてしまったようだった。
中学に上がった頃から、秀一兄さんが僕を抱く頻度が減ったとは思っていた。
どうやら妊娠した子は中絶させて、手切れ金を手渡したらしい。
ただ、この出来事は僕に更なる苦痛を与えることになる。
この日から、僕は兄様達と一緒に、寝る前に母様から健康ドリンクを手渡されるようになる。今思えば、恐らく「媚薬」と言われる薬が入っていたんだろう。
僕に使われる潤滑剤にも入っていたようで、僕の身体は強引に感じさせられるようになった。初めて知った快楽は、薬によって強引に呼び起こされたものが故に、僕の心と身体を更に蝕んで行った。
助けて……
心は悲鳴を上げていた。
「あっ……あっ……、兄様……いやぁ!!」
何度となく叫んだ言葉。
感じるようになった僕に、2人はどんどんのめり込んで行く。
「創……大好きだよ」
囁かれる言葉に縋った。
きっと、これが正解なんだと言い聞かせた。
そしてあの、悪夢の日がやって来た。
薬により、散々喘ぎよがり狂わされてベッドに放置された僕は、どうやら意識を失っていたらしい。
喉の乾きに目が覚め、気怠い身体を引き摺ってキッチンで水を飲んだ。
フラフラした身体で廊下を歩いていると、話し声が聞こえて何気なく隙間から中を覗いてみると、母親と兄二人が楽しそうに会話をしていた。
僕が決して入れない、幸せそうな親子の光景に胸が痛む。
邪魔しないように立ち去ろうとした時だった。
「本当に……創に母様が用意してくれた薬、本当に良く効くよ」
秀一兄さんの声が耳に入った。
(薬?)
思わず足を止めると
「そうそう!母様、健康ドリンクとか言って、創にだけ媚薬入れて天才」
そう言ってゲラゲラ笑っている。
「感じるようになってから、創の具合が最高に良くてさ~。下手な女以上だよ」
秀一兄さんもそう続けると
「そう、それなら良かった。秀一、もう創がいるんだから、子供なんて作るんじゃないのよ!」
と言って、僕には見せた事の無い優しい笑顔を向けた。
「分かってるよ!まぁ、創の母親が相当な美人だっただけあって、あいつの見た目も母親に似て綺麗だし。ずっと俺達の玩具にして、爺になったら捨てれば良いし」
秀一兄さんが、当たり前の事のように言い放つ。
「まぁ、創も男無しじゃダメな身体だろうから、女を抱いて子供を作るなんて出来いだろうしね。高杉家の財産を減らされなくて済むし、あんた達に婚約者が出来るまでは、あの子で性欲は処理しなさい」
そう言って楽しそうに笑う母親に愕然とした。
「え~!婚約者?ちゃんと創以上の美人にしてよ!」
口を尖らせて叫ぶ勝に
「お前、父さん似だからな。創の顔、本当に大好きだよな」
と、秀一兄さんが呆れた顔で笑う。
「まぁ…何にせよ、忌々しいだけだと思ってたけど、あの女の子供にしちゃあ、役に立ってるよ。私がちょっと優しくしたら、嬉しそうにしちゃって……」
喉で笑う母親に、兄さん達は
「ほ~んと、母様から『SEXしたいなら、創にしときなさい』って言われた時はビビったけど。今じゃ、母様最高だよ!」
笑う3人の声が、僕を絶望に突き落とした。
自分が母様の子供じゃ無かった事。
母様から兄様達と同じように出されていた飲み物に、薬を盛られていた事。
全てがショックだった。
そしてこの日から、僕の身体は薬でさえも反応を示さない身体になってしまった。
家では未開封の物以外は口にしなくなり、栄養はカロリー栄養食を食べるようになる。
そして月日は流れ、僕が大学入学と同時に美鈴が蔦田と結婚した。
学生結婚で、美鈴のお腹に赤ちゃんが出来たらしい。
蔦田尚寿は、大学から蔦田グループの仕事を手伝い始め、その手腕はかなりのものだと評判だった。
僕は、パーティーで見掛けたあの冷たい空気を纏った蔦田尚寿が、美鈴を幸せに出来るのか心配だった。
中学に上がった頃、学校から帰宅するなり母親に頬を叩かれた。
意味が分からず母親の顔を見ると
「お前が出来損ないだから、秀一が女を妊娠させたじゃないか!この役立たず!」
そう罵倒された。
どうやら秀一兄さんが、付き合っていた彼女を妊娠させてしまったようだった。
中学に上がった頃から、秀一兄さんが僕を抱く頻度が減ったとは思っていた。
どうやら妊娠した子は中絶させて、手切れ金を手渡したらしい。
ただ、この出来事は僕に更なる苦痛を与えることになる。
この日から、僕は兄様達と一緒に、寝る前に母様から健康ドリンクを手渡されるようになる。今思えば、恐らく「媚薬」と言われる薬が入っていたんだろう。
僕に使われる潤滑剤にも入っていたようで、僕の身体は強引に感じさせられるようになった。初めて知った快楽は、薬によって強引に呼び起こされたものが故に、僕の心と身体を更に蝕んで行った。
助けて……
心は悲鳴を上げていた。
「あっ……あっ……、兄様……いやぁ!!」
何度となく叫んだ言葉。
感じるようになった僕に、2人はどんどんのめり込んで行く。
「創……大好きだよ」
囁かれる言葉に縋った。
きっと、これが正解なんだと言い聞かせた。
そしてあの、悪夢の日がやって来た。
薬により、散々喘ぎよがり狂わされてベッドに放置された僕は、どうやら意識を失っていたらしい。
喉の乾きに目が覚め、気怠い身体を引き摺ってキッチンで水を飲んだ。
フラフラした身体で廊下を歩いていると、話し声が聞こえて何気なく隙間から中を覗いてみると、母親と兄二人が楽しそうに会話をしていた。
僕が決して入れない、幸せそうな親子の光景に胸が痛む。
邪魔しないように立ち去ろうとした時だった。
「本当に……創に母様が用意してくれた薬、本当に良く効くよ」
秀一兄さんの声が耳に入った。
(薬?)
思わず足を止めると
「そうそう!母様、健康ドリンクとか言って、創にだけ媚薬入れて天才」
そう言ってゲラゲラ笑っている。
「感じるようになってから、創の具合が最高に良くてさ~。下手な女以上だよ」
秀一兄さんもそう続けると
「そう、それなら良かった。秀一、もう創がいるんだから、子供なんて作るんじゃないのよ!」
と言って、僕には見せた事の無い優しい笑顔を向けた。
「分かってるよ!まぁ、創の母親が相当な美人だっただけあって、あいつの見た目も母親に似て綺麗だし。ずっと俺達の玩具にして、爺になったら捨てれば良いし」
秀一兄さんが、当たり前の事のように言い放つ。
「まぁ、創も男無しじゃダメな身体だろうから、女を抱いて子供を作るなんて出来いだろうしね。高杉家の財産を減らされなくて済むし、あんた達に婚約者が出来るまでは、あの子で性欲は処理しなさい」
そう言って楽しそうに笑う母親に愕然とした。
「え~!婚約者?ちゃんと創以上の美人にしてよ!」
口を尖らせて叫ぶ勝に
「お前、父さん似だからな。創の顔、本当に大好きだよな」
と、秀一兄さんが呆れた顔で笑う。
「まぁ…何にせよ、忌々しいだけだと思ってたけど、あの女の子供にしちゃあ、役に立ってるよ。私がちょっと優しくしたら、嬉しそうにしちゃって……」
喉で笑う母親に、兄さん達は
「ほ~んと、母様から『SEXしたいなら、創にしときなさい』って言われた時はビビったけど。今じゃ、母様最高だよ!」
笑う3人の声が、僕を絶望に突き落とした。
自分が母様の子供じゃ無かった事。
母様から兄様達と同じように出されていた飲み物に、薬を盛られていた事。
全てがショックだった。
そしてこの日から、僕の身体は薬でさえも反応を示さない身体になってしまった。
家では未開封の物以外は口にしなくなり、栄養はカロリー栄養食を食べるようになる。
そして月日は流れ、僕が大学入学と同時に美鈴が蔦田と結婚した。
学生結婚で、美鈴のお腹に赤ちゃんが出来たらしい。
蔦田尚寿は、大学から蔦田グループの仕事を手伝い始め、その手腕はかなりのものだと評判だった。
僕は、パーティーで見掛けたあの冷たい空気を纏った蔦田尚寿が、美鈴を幸せに出来るのか心配だった。
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