珈琲のお代わりはいかがですか?

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
69 / 75

オマケ小説~夏休み~

しおりを挟む
創さんが熊谷の姓になって初めての夏休み。
預かっていた子供達が一旦、児童相談所だったり自宅へ帰宅してしまい、お盆も重なった事もあり、今、我が家は静かだ。
爺ちゃんと婆ちゃんは老人会で2泊3日の旅行に行くらしく、初めて俺と創さんだけの夏休みになった。
爺ちゃんと婆ちゃんを見送り
「はじめ、何処か行きたい所ある?」
創さんに声を掛けられ振り向くと、頬にキスをして
「折角、2人だけで過ごせるから、行きたいところへ連れて行くよ」
そう言われて、俺は首を横に振って
「創さんと一緒に居られるなら何処でも……」
って答えた後、恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまう。
そんな俺に創さんは優しく微笑むと
「はじめは本当に……」
そう呟いた後、突然俺の腕を掴んで離れへと歩き出す。
「創さん?」
「取り敢えず、今日は1日イチャイチャしようか?」
って微笑まれた。
(こ……この顔は、朝からヤル気だ!!!)
ヒクッと顔を引き攣らせたその時だった。
家の電話がけたたましく鳴り響いた。
「あ!創さん、電話」
「電話など放っておけ!」
慌てて叫んだ俺の声を無視して創さんは歩いている。
ズルズルと引き摺られていると、電話は一度切れた。
が、再び電話が鳴り響いた。
「創さん、また電話が鳴っています。もしかして、爺ちゃんと婆ちゃんに何かあったのかもしれない!」
俺が真っ青になって呟くと、創さんは呆れた顔をして
「今しがた出掛けたばかりで、何かある訳無いだろう?」
そう言った後、創さんが俺の手を離して
「そんなに心配なら、出て来たら?」
って言われて、俺は走って母屋の電話に出た。
「もしもし!熊谷です」
慌てて出ると
『熊さん!居た!!良かった~』
友也の声だった。
「え?友也?」
驚いて叫ぶと
『良かった~!熊さんまで居なかったら、どうしようかと思ったよ!』
半泣きの友也の声。
「どうした?」
って声を掛けると
『今、下に来てるんだ。迎えに来て~』
と泣きつかれてしまい、電話を切って不機嫌そうな顔した創さんの顔を見て
「あの……」
「聞こえた。だから出るなって言ったんだよ」
溜め息を吐きながら言われて落ち込んでいると、創さんが車の鍵を手に歩き出した。
「ほら、迎えに行くんだろう?」
そう言って歩く創さんを笑顔で追い掛けた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

ファントムペイン

粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。 理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。 主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。 手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった…… 手足を失った恋人との生活。鬱系BL。 ※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。

【完結】友人のオオカミ獣人は俺の事が好きらしい

れると
BL
ずっと腐れ縁の友人だと思っていた。高卒で進学せず就職した俺に、大学進学して有名な企業にし就職したアイツは、ちょこまかと連絡をくれて、たまに遊びに行くような仲の良いヤツ。それくらいの認識だったんだけどな。・・・あれ?え?そういう事ってどういうこと??

【完結】偽装結婚の代償〜リュシアン視点〜

伽羅
BL
リュシアンは従姉妹であるヴァネッサにプロポーズをした。 だが、それはお互いに恋愛感情からくるものではなく、利害が一致しただけの関係だった。 リュシアンの真の狙いとは…。 「偽装結婚の代償〜他に好きな人がいるのに結婚した私達〜」のリュシアン視点です。

一夜限りで終わらない

ジャム
BL
ある会社員が会社の飲み会で酔っ払った帰りに行きずりでホテルに行ってしまった相手は温厚で優しい白熊獣人 でも、その正体は・・・

群青の三日月

雨水林檎
BL
病弱な兄と傍で絵を描き続ける弟。 いつか離さなければならない背中を、追い求めて未だ手を伸ばす。 弟×兄の、一次創作BL小説です。

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月
BL
 男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。  それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。  ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。  ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。 ★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★ 性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪ 11月27日完結しました✨✨ ありがとうございました☆

【完結】神様はそれを無視できない

遊佐ミチル
BL
痩せぎすで片目眼帯。週三程度で働くのがせいっぱいの佐伯尚(29)は、誰が見ても人生詰んでいる青年だ。当然、恋人がいたことは無く、その手の経験も無い。 長年恨んできた相手に復讐することが唯一の生きがいだった。 住んでいたアパートの退去期限となる日を復讐決行日と決め、あと十日に迫ったある日、昨夜の記憶が無い状態で目覚める。 足は血だらけ。喉はカラカラ。コンビニのATMに出向くと爪に火を灯すように溜めてきた貯金はなぜか三桁。これでは復讐の武器購入や交通費だってままならない。 途方に暮れていると、昨夜尚を介抱したという浴衣姿の男が現れて、尚はこの男に江東区の月島にある橋の付近っで酔い潰れていて男に自宅に連れ帰ってもらい、キスまでねだったらしい。嘘だと言い張ると、男はその証拠をバッチリ録音していて、消して欲しいなら、尚の不幸を買い取らせろと言い始める。 男の名は時雨。 職業:不幸買い取りセンターという質屋の店主。 見た目:頭のおかしいイケメン。 彼曰く本物の神様らしい……。

処理中です...