5 / 75
過去②
しおりを挟む
そんな俺の性癖を自覚させたのが、高校1年の時だった。
俺は爺ちゃんと婆ちゃんの畑の手伝いがあったので、部活には入らずに帰宅部だった。
早めに帰宅する為に裏道を通った時、神社の裏口から苦しそうな声が聞こえて来た。
誰かに虐められているのかもと思い、そっと近付いて助けようと思った俺の目に飛び込んで来たのは、男の先輩2人のSEXシーンだった。
俺の目を釘付けにしたのは、入れている先輩の方では無くて、入れられて喘いでいる先輩の方だった。
それまではずっと、性に対して疎いだけだと思っていた俺は、初めての夢精が入れられて喘いでいる先輩になって貫かれている夢だった。
正直、ショックだった。
自分の性癖は異常なんだと…。
知られたら、絶対に白い目で見られると隠して生きてきた。
こんな野山育ちと畑仕事で逞しいガタイの俺が、男性に挿入られたいだなんて。
そんな事を知られたら、絶対に笑われる。
元から人付き合いが苦手な俺は自分の性癖を知って、もっと自分の殻に閉じこもるようになった。
誰かに抱かれる事も無く、恋する事も無く俺は一生このままなんだと思って諦めて生きて来た。
どうせ学校を卒業したら、爺ちゃんと婆ちゃんと俺だけの山奥暮しになるから……と、そう思って生きて来た。
そんな俺は、高校を卒業して大学に進学。
生活費の足しにと初めた喫茶店のバイトで、窓際のきみ……高杉様に出会った。
初めて高杉様の姿を見た時、時が止まったように感じた。
彼が歩くだけで周りの景色が色付くように見えて、俺は一瞬で恋に堕ちた。
接客が出来ない俺は洗い場担当だから、彼に接する事は出来ない。洗い場から見える彼の横顔を、見ているだけで幸せだった。
高杉様の来店は、最初月に一回程度だった。
スーツ姿で現れて、いかにもエリートっぽい姿でパソコンのキーボードを叩いてた。
キーボードを叩く指が長くて綺麗だな~とか、時折、指を口元に当てる癖が色っぽいな~とか思って見ていた。
何か考えながらコーヒーを口元へ持って行った時、ふと俺と目が合った。
その時、全身の血が沸騰したみたいに熱くなった。
ドキドキと心臓が高鳴り、黒目がちの彼の瞳から目が離せなくなる。
縫い止められたように見つめていると、彼は流し目で小さく微笑みパソコンに視線を戻した。
それから来店頻度は月2回になり、いつしか私服で毎週土曜日に来るようになった。
初めて私服姿を見た時は、鼻血が出るかと思った。
白いシャツに細身のベージ系のパンツ姿。
色気がダダ漏れで、思わず帰る後ろ姿に
「ご馳走様でした」
と拝んでしまった程だ。
その日から、高杉様には大変申し訳ないと思いながらも、おかずにさせて頂いたのは言うまでもない。
いつしか
「恋人は居るのかな?」
とか
「居たとしたらどんな風に抱くのだろう?」
とか考えるようになってしまっていた。
『はじめ』
あの声で名前を呼んで欲しい
あの綺麗な手で俺に触れて欲しい
あの綺麗な唇に触れてみたい
届かないと分かっているのに、求めてしまうのが恋なんだと知った。
目が無意識に追って、身体が、血が、細胞が求めてしまうのが恋なんだと……。
それならせめて、遠くから見つめているだけでも良いと思っていたんだ。……本当に。
だけど友也に気付かれていたとなれば、絶対に高杉様本人も気付いて居る筈。
……だとしたら、諦めるしか無いのかもしれない。
あの綺麗な唇から、拒絶の言葉を聞くくらいなら離れるべきなんだとそう覚悟を決めた。
俺は爺ちゃんと婆ちゃんの畑の手伝いがあったので、部活には入らずに帰宅部だった。
早めに帰宅する為に裏道を通った時、神社の裏口から苦しそうな声が聞こえて来た。
誰かに虐められているのかもと思い、そっと近付いて助けようと思った俺の目に飛び込んで来たのは、男の先輩2人のSEXシーンだった。
俺の目を釘付けにしたのは、入れている先輩の方では無くて、入れられて喘いでいる先輩の方だった。
それまではずっと、性に対して疎いだけだと思っていた俺は、初めての夢精が入れられて喘いでいる先輩になって貫かれている夢だった。
正直、ショックだった。
自分の性癖は異常なんだと…。
知られたら、絶対に白い目で見られると隠して生きてきた。
こんな野山育ちと畑仕事で逞しいガタイの俺が、男性に挿入られたいだなんて。
そんな事を知られたら、絶対に笑われる。
元から人付き合いが苦手な俺は自分の性癖を知って、もっと自分の殻に閉じこもるようになった。
誰かに抱かれる事も無く、恋する事も無く俺は一生このままなんだと思って諦めて生きて来た。
どうせ学校を卒業したら、爺ちゃんと婆ちゃんと俺だけの山奥暮しになるから……と、そう思って生きて来た。
そんな俺は、高校を卒業して大学に進学。
生活費の足しにと初めた喫茶店のバイトで、窓際のきみ……高杉様に出会った。
初めて高杉様の姿を見た時、時が止まったように感じた。
彼が歩くだけで周りの景色が色付くように見えて、俺は一瞬で恋に堕ちた。
接客が出来ない俺は洗い場担当だから、彼に接する事は出来ない。洗い場から見える彼の横顔を、見ているだけで幸せだった。
高杉様の来店は、最初月に一回程度だった。
スーツ姿で現れて、いかにもエリートっぽい姿でパソコンのキーボードを叩いてた。
キーボードを叩く指が長くて綺麗だな~とか、時折、指を口元に当てる癖が色っぽいな~とか思って見ていた。
何か考えながらコーヒーを口元へ持って行った時、ふと俺と目が合った。
その時、全身の血が沸騰したみたいに熱くなった。
ドキドキと心臓が高鳴り、黒目がちの彼の瞳から目が離せなくなる。
縫い止められたように見つめていると、彼は流し目で小さく微笑みパソコンに視線を戻した。
それから来店頻度は月2回になり、いつしか私服で毎週土曜日に来るようになった。
初めて私服姿を見た時は、鼻血が出るかと思った。
白いシャツに細身のベージ系のパンツ姿。
色気がダダ漏れで、思わず帰る後ろ姿に
「ご馳走様でした」
と拝んでしまった程だ。
その日から、高杉様には大変申し訳ないと思いながらも、おかずにさせて頂いたのは言うまでもない。
いつしか
「恋人は居るのかな?」
とか
「居たとしたらどんな風に抱くのだろう?」
とか考えるようになってしまっていた。
『はじめ』
あの声で名前を呼んで欲しい
あの綺麗な手で俺に触れて欲しい
あの綺麗な唇に触れてみたい
届かないと分かっているのに、求めてしまうのが恋なんだと知った。
目が無意識に追って、身体が、血が、細胞が求めてしまうのが恋なんだと……。
それならせめて、遠くから見つめているだけでも良いと思っていたんだ。……本当に。
だけど友也に気付かれていたとなれば、絶対に高杉様本人も気付いて居る筈。
……だとしたら、諦めるしか無いのかもしれない。
あの綺麗な唇から、拒絶の言葉を聞くくらいなら離れるべきなんだとそう覚悟を決めた。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
魔物のお嫁さん
東雲
BL
美人系触手魔物(人型)×腹筋シックスパック割れな逞しい冒険者のファンタジーエロ。
金髪美人攻め。やや粗暴筋肉受け。♡喘ぎ、濁点喘ぎ、尿道責め、乳首責め等々、逞しい男が美人お兄さん(魔物)に理不尽に犯されて雌堕ち甘々えっちするお話です。
※作中で魔物さんが受けちゃんのことを「可愛い」と称しますが、間違っても『可憐』という意味ではないです。
己の欲望と性癖詰め合わせハッピーセット!一応ハッピーエンドのつもりです。
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
おちんぽフルコースを味わってとろとろにラブハメされるおはなし
桜羽根ねね
BL
とんでも世界でとんでもフルコースを味わうおはなし
訳あり美形キャスト達×平凡アラサー処女
十人十色ならぬ六人六癖。
攻めが六人もいると、らぶざまえっちもバリエーションがあって楽しいね。
以前短編集の方に投稿していたものを移行しました。こんなところで終わる?ってところで終わらせてたので、追加でちょっとだけ書いています。
何でも美味しく食べる方向けです!
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
逢瀬はシャワールームで
イセヤ レキ
BL
高飛び込み選手の湊(みなと)がシャワーを浴びていると、見たことのない男(駿琉・かける)がその個室に押し入ってくる。
シャワールームでエロい事をされ、主人公がその男にあっさり快楽堕ちさせられるお話。
高校生のBLです。
イケメン競泳選手×女顔高飛込選手(ノンケ)
攻めによるフェラ描写あり、注意。
俺とタロと小さな家
鳴神楓
BL
◇画家の松下学と、犬耳犬尻尾付きの人間の姿に変身できる黒柴犬タロの、ほのぼのラブストーリー。
子犬で子供のタロとの出会いと初めての変身からその後の日常、そして成犬で大人になったタロとの恋愛模様とその後のいちゃらぶな日々を描く。
◆松下 学(まつした がく)……駆け出しの画家。25才。ヘタレ攻め。本作の主人公。画家のわりにガタイはいい。副業で萌え系エロ小説のイラストを描いている。
◆タロ……元捨て犬のオスの黒柴。忠犬受け。 右後ろ足だけ黒いのがチャームポイント。時々人間に変身し、学を「ご主人様」と呼ぶ。
◆本編完結済。恋愛要素は第2章 成犬編から。☆★は性描写あり。ムーンライトノベルズより転載。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる