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過去①

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俺、熊谷はじめ21歳
山奥の田舎から、大学進学で駅のある繁華街で一人暮らしを始めた。
ずっと山の中で育ち、爺ちゃんと婆ちゃんに育てられた。
両親は幼い頃に離婚して、それぞれの家庭を持っているらしい。(両親に会った事が無いから、詳しい話は知らない)
俺は父方の祖父母に、何の不自由も無く育ててもらった。
本当なら大学には行かずに就職するつもりだったのだが、爺ちゃんと婆ちゃんが
「一は頭が良いんだから、大学には行っとけ」
と言ってくれて、親父から教育費は出させたようだった。
親父はどうやら、どっかの会社のお偉いさんらしい。
俺は興味無いし、そんな事はどうでも良い。
顔の知らない親父より、爺ちゃんと婆ちゃんが俺の親だと思ってる。
本当は俺が働いて楽させて上げたいのに、2人は俺の就職に対して、決して首を縦には振らなかった。
2人の暮らしも、年金と親父からの援助があるから大丈夫だと言って俺に進学するように強く勧めて来たのだ。
  俺が育った場所は、田舎だど大好きな場所だ。
今、テレビでやっているポツンとなんとかって番組みたいな場所で俺は育った。
昼間は田畑を耕し、暗くなると眠りに着くという自然と共に暮らして来た。
爺ちゃんは腕利きの狩人で、ジビエの捌き方から血抜き方法まで教わった。
俺は人と暮らすより、ずっと自然の中で生きて来た。
そんな俺は、小学校に入ってまず名前を揶揄われた。
一の名前が「熊谷ーっ!」に見えるらしく、熊谷ーっ!って揶揄われ掛けたが、みんなより図体がデカかったので、直ぐにそんな嫌がらせは消え失せた。
学校の授業でも、野山を駆け回っていた俺にとって、学校の体育なんてどうって事無かった。
勉強は婆ちゃんから
「無知よりも知識があった方がええ」
と言われていたから必死に勉強した。
正直、知らない知識を頭に入れるのは好きだった。
俺の知らない世界があって、そこから無限の世界が広がっているのが楽しくて仕方なかった。
スポーツが出来て成績もそこそことなると、中学生になる頃には女の子が寄って来るようになった。
初めて付き合ったのは、中学2年生の時。
一つ年上の先輩で、キスもSEXも……全部彼女が初めてだった。
ただ、何故か俺は彼女とのSEX中に中折れしてしまったのだ。
その後も何度か試したけど、結局、勃起すらしなくなってしまう。
彼女とは気まずくなり、そのまま自然消滅。
俺はその後、女の子から告白されても付き合う事を拒否し続けた。
この頃の俺は、自分を欠陥品だと思っていたんだ。
どんなに可愛い女の子に告白されても、誰かに夢中になる事なんか無かった。
結局俺は、高校まで1人を貫き通していた。


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