珈琲のお代わりはいかがですか?

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
2 / 75

窓際のきみ

しおりを挟む
毎週土曜日
15時~16時の1時間
雨の日も風の日も例え大雪だとしても……、その人は同じ時間に同じ場所で、同じ珈琲を飲んでいる。

サラサラの黒髪、白い肌に目元と口元にあるホクロがエロイ!
いつも涼しい顔で、難しそうな本を読んでいる。
本を読む俯き気味な目元は、長いまつ毛で影が出来ている。
1度で良いから……あの唇で俺のピー(自主規制)ーっを咥えて欲しい。
……という、邪な思いを知ってか知らずか、突然、窓際のきみが俺の方へ視線を向けた。

「すみません」
にっこり微笑み、俺に声を掛けた。
思わず左右を確認して自分を指差すと、彼は美しい笑みを浮かべて頷いた。
オドオドしながら近付くと、ふわりとコロンだろうか?
凄く良い香りがする。
「コーヒーが冷めてしまったので、替えて頂けますか?」
あの美しい唇から、これまたイケボな声で言われてポーっとしてしまう。
ああ……右目の下にホクロが2つあるんだ……。
ぼんやりと見つめていると
「あの?」
と声を掛けられて、慌てて我に返る。
「すすすす……すみません!」
慌ててカップを掴み、コーヒーをこぼしてしまう。
咄嗟にお手拭きに手を伸ばし、俺のシャツの袖と布巾により、彼には掛からずにすんだ。
ホッとしていると
「あの……大丈夫ですか?」
と聞かれ、彼は俺の袖を濡らすコーヒーに視線を落とした。
「あ!大丈夫です。お客様に掛からなくて、良かったです」
そう言って笑った俺の手に触れると
「でも……染みになりますよね?」
って俺の顔を見上げた。
ヤバい!顔が近い!近過ぎる!
思わず唇をガン見してしてしまい、慌てて顔を逸らすと
「すみません!大丈夫ですか?」
と、慌ててフロア担当の友也が走ってきた。
テーブルを拭いて
「熊さんは洗い場に戻って!」
そう言われて、俺はしょんぼりと洗い場へと歩き出す。
「あ…!ねぇ、きみ」
と呼ばれ、俺が振り向くと
「お代わり、忘れないでね」
って微笑んだ。
「高杉様、コーヒーなら俺が…」
「僕は、彼が良いんだ。それに、忙しい彼を呼んでこうなったんだから、彼は悪くない。しかも、身を呈して僕にコーヒーがかからないようにしてくれたんだから、怒らないで上げてね」
友也が「高杉様」と呼んだ彼は、そう言うとにっこりと微笑んだ。
その後は、友也に見守られながら無事にお代わりをお出しする事が出来た。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

ファントムペイン

粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。 理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。 主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。 手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった…… 手足を失った恋人との生活。鬱系BL。 ※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

一夜限りで終わらない

ジャム
BL
ある会社員が会社の飲み会で酔っ払った帰りに行きずりでホテルに行ってしまった相手は温厚で優しい白熊獣人 でも、その正体は・・・

【完結】友人のオオカミ獣人は俺の事が好きらしい

れると
BL
ずっと腐れ縁の友人だと思っていた。高卒で進学せず就職した俺に、大学進学して有名な企業にし就職したアイツは、ちょこまかと連絡をくれて、たまに遊びに行くような仲の良いヤツ。それくらいの認識だったんだけどな。・・・あれ?え?そういう事ってどういうこと??

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月
BL
 男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。  それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。  ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。  ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。 ★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★ 性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪ 11月27日完結しました✨✨ ありがとうございました☆

【完結】神様はそれを無視できない

遊佐ミチル
BL
痩せぎすで片目眼帯。週三程度で働くのがせいっぱいの佐伯尚(29)は、誰が見ても人生詰んでいる青年だ。当然、恋人がいたことは無く、その手の経験も無い。 長年恨んできた相手に復讐することが唯一の生きがいだった。 住んでいたアパートの退去期限となる日を復讐決行日と決め、あと十日に迫ったある日、昨夜の記憶が無い状態で目覚める。 足は血だらけ。喉はカラカラ。コンビニのATMに出向くと爪に火を灯すように溜めてきた貯金はなぜか三桁。これでは復讐の武器購入や交通費だってままならない。 途方に暮れていると、昨夜尚を介抱したという浴衣姿の男が現れて、尚はこの男に江東区の月島にある橋の付近っで酔い潰れていて男に自宅に連れ帰ってもらい、キスまでねだったらしい。嘘だと言い張ると、男はその証拠をバッチリ録音していて、消して欲しいなら、尚の不幸を買い取らせろと言い始める。 男の名は時雨。 職業:不幸買い取りセンターという質屋の店主。 見た目:頭のおかしいイケメン。 彼曰く本物の神様らしい……。

sugar sugar honey! 甘くとろける恋をしよう

乃木のき
BL
母親の再婚によってあまーい名前になってしまった「佐藤蜜」は入学式の日、担任に「おいしそうだね」と言われてしまった。 周防獅子という負けず劣らずの名前を持つ担任は、ガタイに似合わず甘党でおっとりしていて、そばにいると心地がいい。 初恋もまだな蜜だけど周防と初めての経験を通して恋を知っていく。 (これが恋っていうものなのか?) 人を好きになる苦しさを知った時、蜜は大人の階段を上り始める。 ピュアな男子高生と先生の甘々ラブストーリー。 ※エブリスタにて『sugar sugar honey』のタイトルで掲載されていた作品です。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

処理中です...