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アレン奪還と消された秘密②
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アレンは一瞬固まると
「可愛いですよ」
と呟いた。
「嘘だ!」
「嘘じゃないですよ」
「こんなに目が腫れて、めちゃくちゃブサイクだよ!」
「それはそれで、可愛いですよ」
頬にキスをされ、真っ赤になる。
「俺を思って泣いた証です。愛おしさしかないですよ」
「アレン……」
僕達は見つめ合い、再び唇を重ねる。
ゆっくりと唇が離れると、色気を漂わせたアレンが顔を朱色に染めると
「亜蘭、それよりもう……限界なのですが……」
腰を抱き寄せられ、アレンの昂りを擦り付けて来た。
「あっ……」
ゴリゴリと、硬い昂りを擦り合わされて身体が歓喜に震える。
首に手を回し
「じゃあ、あんまり顔を見ないで……」
とお願いすると
「それは無理なお願いですね……」
苦笑いされながら言われ、首に抱き着くと唇が重なる。
僕を抱き締めるアレンの手が、優しく背中から腰に下りて、ボトムに手が触れた。
(顔がブチャイクなのは、嫌だけど……)
そう思いながら、腹の奥がアレンを求めて切なくなっていた。
ボトムの留め具にアレンの指が触れ、いざ!と覚悟を決めたその時だった。
『バーン』と音を立ててドアが開き
「亜蘭! 無事か!」
と、デーヴィトが入って来たのだ。
ベッドの上で、今、正に……という絶妙なタイミングに僕達は固まった。
そしてデーヴィトはベッドの上の僕達を見ると
「まだ早い!」
と叫んで僕をアレンから引き剥がした。
「ち……ちょっと、デーヴィト! やめてよ!」
必死に抵抗していると、デーヴィトの頭上に拳が落ちるのが見えた。
「デーヴィト? 貴様は何をしている」
めちゃくちゃ怒った顔をしている父様が、頭を抱えるデーヴィトの首根っこを掴んで僕から引き剥がした。
「朝一、物凄い形相で走って行くから、何事かと思ったら……」
呆れた顔の母様が、父様の背後から顔を出した。
「ですが母様! 昨日救出されたばかりだというのに、早すぎませんか?」
真面目なデーヴィトがそう訴えると
「馬鹿者!」
珍しく父様が、真顔でデーヴィトに怒鳴った。
「ですが、父様だって……結婚式の時は『僕の可愛い亜蘭が……』って、泣きながらお酒飲んでいたではないですか!」
知らなかった衝撃の事実を知って、胸が熱くなっていると
「それとこれとは話が別だ! お前も娘の父親になったら分かる」
涙を浮かべ、父様が……あの、母様キチガイの父様が呟いのだ。
僕はこんなに愛されていたのに、昨日、隣国の奴等への行き場の無い怒りを父様にぶつけてしまった事を反省した。
そう、本気で反省したんだよ。
(だが、珍しく賢者モードなので、父様の背後で母様が『シルヴァ……やればできる子!』って顔をして、惚れ直していそうなのは黙っていよう)
……しかし、やはり父様は父様だった。
「良いか……デーヴィト。昨日、亜蘭は無事にアレンを救出出来てホッとしたんだ。アレンだって、久し振りに亜蘭に会えて嬉しかったんだ。そんな日の翌日は、そっとしておいてやるべきなのではないかなぁ?」
と、デーヴィトに語り掛けた。
そっとデーヴィトの肩に手を置くと
「お前の気持ちも分かる。……だがな、危機から脱した最上級のめちゃくちゃ盛り上がる神事が行えるシチュエーションを、邪魔しちゃダメだ!」
父様の後半の言葉に、その場の全員が目を点にした。
「良いか! 吊り橋効果と言ってだな、それはそれは盛り上がるんだよ! デーヴィトが母様のお腹に宿ったのも、亜蘭が母様のお腹に宿ったのも、そんな吊り橋効果……ガハッ」
みんなが突然、父様がお腹を抱えて蹲ったのを驚いて見ているが、僕は見逃さなかった。
熱弁する父様の腹に、母様が高速の腹パンをしていたのを……。
「シルヴァ? お前、何の話をしているんだ?」
拳を握り締め、母様が物凄い形相をしている。
「え? だから、神事を邪魔しちゃいけないって話を……」
「だったら、そこだけ話せば良いよな? 俺達の話をする必要、あるのかなぁ?」
拳を震わせる母様に
「多朗! 何を言っているんだ! きみとの一夜はどれをとっても素晴らしく、僕はなんて素晴らしい伴侶を持ったのかと思っている!しかし、だ!そんな中でも、きみが最高に淫らで燃え上がった夜は数回だ。そう、恥じらうきみも最高だ。しかし、同じ熱量で求め合った夜は、片手しかない!分かるか?16年間で片手だぞ! しかも、その内の3回は吊り橋効果の時だ!命中率も上がり、お前達は全員……グハッ」
そう訴えて、ついに腹に強烈な蹴りを食らっていた。
「可愛いですよ」
と呟いた。
「嘘だ!」
「嘘じゃないですよ」
「こんなに目が腫れて、めちゃくちゃブサイクだよ!」
「それはそれで、可愛いですよ」
頬にキスをされ、真っ赤になる。
「俺を思って泣いた証です。愛おしさしかないですよ」
「アレン……」
僕達は見つめ合い、再び唇を重ねる。
ゆっくりと唇が離れると、色気を漂わせたアレンが顔を朱色に染めると
「亜蘭、それよりもう……限界なのですが……」
腰を抱き寄せられ、アレンの昂りを擦り付けて来た。
「あっ……」
ゴリゴリと、硬い昂りを擦り合わされて身体が歓喜に震える。
首に手を回し
「じゃあ、あんまり顔を見ないで……」
とお願いすると
「それは無理なお願いですね……」
苦笑いされながら言われ、首に抱き着くと唇が重なる。
僕を抱き締めるアレンの手が、優しく背中から腰に下りて、ボトムに手が触れた。
(顔がブチャイクなのは、嫌だけど……)
そう思いながら、腹の奥がアレンを求めて切なくなっていた。
ボトムの留め具にアレンの指が触れ、いざ!と覚悟を決めたその時だった。
『バーン』と音を立ててドアが開き
「亜蘭! 無事か!」
と、デーヴィトが入って来たのだ。
ベッドの上で、今、正に……という絶妙なタイミングに僕達は固まった。
そしてデーヴィトはベッドの上の僕達を見ると
「まだ早い!」
と叫んで僕をアレンから引き剥がした。
「ち……ちょっと、デーヴィト! やめてよ!」
必死に抵抗していると、デーヴィトの頭上に拳が落ちるのが見えた。
「デーヴィト? 貴様は何をしている」
めちゃくちゃ怒った顔をしている父様が、頭を抱えるデーヴィトの首根っこを掴んで僕から引き剥がした。
「朝一、物凄い形相で走って行くから、何事かと思ったら……」
呆れた顔の母様が、父様の背後から顔を出した。
「ですが母様! 昨日救出されたばかりだというのに、早すぎませんか?」
真面目なデーヴィトがそう訴えると
「馬鹿者!」
珍しく父様が、真顔でデーヴィトに怒鳴った。
「ですが、父様だって……結婚式の時は『僕の可愛い亜蘭が……』って、泣きながらお酒飲んでいたではないですか!」
知らなかった衝撃の事実を知って、胸が熱くなっていると
「それとこれとは話が別だ! お前も娘の父親になったら分かる」
涙を浮かべ、父様が……あの、母様キチガイの父様が呟いのだ。
僕はこんなに愛されていたのに、昨日、隣国の奴等への行き場の無い怒りを父様にぶつけてしまった事を反省した。
そう、本気で反省したんだよ。
(だが、珍しく賢者モードなので、父様の背後で母様が『シルヴァ……やればできる子!』って顔をして、惚れ直していそうなのは黙っていよう)
……しかし、やはり父様は父様だった。
「良いか……デーヴィト。昨日、亜蘭は無事にアレンを救出出来てホッとしたんだ。アレンだって、久し振りに亜蘭に会えて嬉しかったんだ。そんな日の翌日は、そっとしておいてやるべきなのではないかなぁ?」
と、デーヴィトに語り掛けた。
そっとデーヴィトの肩に手を置くと
「お前の気持ちも分かる。……だがな、危機から脱した最上級のめちゃくちゃ盛り上がる神事が行えるシチュエーションを、邪魔しちゃダメだ!」
父様の後半の言葉に、その場の全員が目を点にした。
「良いか! 吊り橋効果と言ってだな、それはそれは盛り上がるんだよ! デーヴィトが母様のお腹に宿ったのも、亜蘭が母様のお腹に宿ったのも、そんな吊り橋効果……ガハッ」
みんなが突然、父様がお腹を抱えて蹲ったのを驚いて見ているが、僕は見逃さなかった。
熱弁する父様の腹に、母様が高速の腹パンをしていたのを……。
「シルヴァ? お前、何の話をしているんだ?」
拳を握り締め、母様が物凄い形相をしている。
「え? だから、神事を邪魔しちゃいけないって話を……」
「だったら、そこだけ話せば良いよな? 俺達の話をする必要、あるのかなぁ?」
拳を震わせる母様に
「多朗! 何を言っているんだ! きみとの一夜はどれをとっても素晴らしく、僕はなんて素晴らしい伴侶を持ったのかと思っている!しかし、だ!そんな中でも、きみが最高に淫らで燃え上がった夜は数回だ。そう、恥じらうきみも最高だ。しかし、同じ熱量で求め合った夜は、片手しかない!分かるか?16年間で片手だぞ! しかも、その内の3回は吊り橋効果の時だ!命中率も上がり、お前達は全員……グハッ」
そう訴えて、ついに腹に強烈な蹴りを食らっていた。
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