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おかえり(アレンside)①
しおりを挟む「アレン! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
号泣しながら抱き着く亜蘭の身体を、そっと抱き締めた。
「なんでそんなに謝るんだ?」
「だって、僕のせいで……」
そう言い掛けて、再び亜蘭が号泣し始めた。
気のせいだろうか? 大分、亜蘭が痩せている気がする。
「亜蘭、ちゃんと食事したか? なんか……痩せてないか?」
心配して顔を見下ろすと
「食べてない。アレンが居ないと……、僕は食事も喉を通らないんだからね!」
と叫ばれた。
「え? ずっと一緒に居たよね? 神事の事で喧嘩はしたけど……?」
そう答えた俺に、亜蘭の後ろから多朗様が現れた。
「アレン、きみは呪詛に罹って眠らされていたんだよ。その日から、既に1ヶ月は過ぎている」
「えっ……」
驚く俺に、多朗様は優しく頭を撫でて
「ヒール」
と呟いた。
温かい光が当たり、心地よい。
まるで、陽だまりの中に居るようだ。
思わずうたた寝しそうになって、うとうとしていると
「うん、浄化は完了されているな。拒絶反応も無しだ」
そう言って微笑んだ。
「はい、アレン。『ただいま、母様』は?」
両手を広げ、多朗様が俺にハグを求めている。
すると亜蘭がギュッと抱き着いて
「ダメダメダメダメ! 例え母様でも、アレンが抱き締めて良いのは僕だけなんだからね!」
と叫んだ。
「亜蘭……、そういう所は父様似だな」
呆れた顔をする多朗様を無視して、亜蘭が俺を強く強く抱き締める。
「そんなにハグされたいなら、父様にしてもらいなよ!」
プクっと頬を膨らませた顔が、頬袋に餌を詰めたリスみたいだ。
「プッ」っと吹き出すと
「ちょっとアレン! 何笑っているんだよ!」
ポカポカと胸を叩く亜蘭を抱き締めていると、多朗様が俺を亜蘭ごと抱き締めた。
「アレン、おかえりなさい」
声が震えていて、俺を抱き締める腕も震えている。
俺の両手は、亜蘭を抱き締めて塞がっているから
「よく分かりませんが……。ただいま、母様」
と答えた。
すると多朗様はギュッと俺を強く抱き締め
「心配掛けやがって…………この、バカ息子……」
明らかな泣き声に、意識が無い間、どれ程心配してくれていたのだろうかと、胸が痛くなった。
涙が溢れそうになったその時、俺と多朗様に挟まれた亜蘭が
「母様……ぐるじい(苦しい)……」
と、俺と多朗様の間でもがいている。
そんな亜蘭の顔を見て、俺と多朗様は顔を見合わせて思わず吹き出した。
「笑うなんて、酷い!」
「退かない亜蘭が悪いんだろう!」
多朗様と亜蘭が、言い争っているのを笑って見ていると
「さぁ、感動のご対面はもう良いかな?」
少し離れた場所で、こちらの様子を見ていたシルヴァ王が声を掛けて来た。
シルヴァ王の少し後ろに、険しい顔をしたデーヴィト王子も立っている。
俺がベッドから起き上がろうとすると、シルヴァ王が手で止めながら
「アレン、そのままで良い」
そう言うと
「あの日、お前に何があったのかを教えてくれるか?」
と言われ、俺は頷いてあの日……亜蘭と喧嘩した日の事を思い出しながら、ポツリポツリと話を始めた。
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