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再会(アレンside)①

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 その場所は、隣国が国交を行う為に開いた街だった。
華やかな街並みと、豊富な食料や日常品の数々。
道行く人は皆、幸せそうな顔をしている。
こんな幸せそうに暮らす国の王族が、そんなに悪い人達なのだろうか?と考えた瞬間、『ズキッ』と頭が痛む。
自国の民の顔はみな暗く、俯いている。
明らかに違う国民の顔に戸惑っているうちに、街の中にある煉瓦作りの立派な建物に着いた。
「良いか、絶対に俺から離れるなよ」
小声で言われ、俺は頷くとリチャード兄様の少し後ろを歩いた。
すると、自分達が歩いていた廊下の反対側から、隣国の王族の人達が歩いて来るのが見えた。
(あれが隣国の王族……)
そう思って見ていると
「アレン!」
目に涙を浮かべ、隣国の王族の集団の中に居た人物が俺の顔を見て叫んだ。
俺は(こいつが……)そう思い
「いきなり、馴れ馴れしく愛称呼びですか?」
冷めた目で見ながら剣に手を掛け、警戒した。
するとそいつは金色の瞳を悲しそうに揺らし
「すみません、心配していたもので……つい」
細身の身体を小さくして、庇護欲を誘うような弱々しい姿で俯いた。
俺がその姿を見て、そうやってこちらを油断させているのだろうとますます警戒すると
「ハッ……守るだとか、一生愛し抜くだとか。簡単に約束しといて、その態度か?」
ブロンドの髪の毛を揺らし、彼の前に立ちはだかると、エメラルドの瞳が皮肉な笑みを浮かべて俺を真っ直ぐに見つめた。
「デーヴィト!」
彼の背後に居る弱々しい少年が、慌てて彼の前に立ちはだかる人物を諌めている。
すると
「亜蘭、デーヴィト。会談の前に、無礼だぞ」
先頭を歩いていた人物が振り返り、声を発した。
俺はその人物を見て、息を呑んだ。
全ての人を圧倒させる威圧感と、見る者全てが目を奪われる凛とした気品と美貌を持った人物がそこに居た。
その人物はサファイアの瞳をこちらに向けた瞬間、リチャード兄様達を睨んだ瞳が赤く染まった。
それは、完璧な美が故に与える恐怖だった。
こんなにも美しく、威厳のある人物を……俺はかつて見た事があっただろうか?
この人と比べると、リチャード兄様達が小者に見えて来る。
この人が……かの有名な賢王シルヴァ。
国が反乱により混乱状態だったのを、たった6年で以前より豊かにしたという国王。
愛妻家で、彼の側后にうちの国の貴族も競って名を上げたが、それらを全て一蹴したと聞く。


 彼等の国は、龍の四神が守るといわれている龍の国と呼ばれている。
それはあくまで、こちらサイドが呼んでいる名前だ。彼等の国は、苗字を持たない。
名前はあくまでも個体を判断する為のもので、基本的には魂の色で見分けると聞いた事がある。
国交を好まず、全てを自国で補いささやかな暮らしをしているらしい。
しかし、彼等の国は国交を好まないので、この国の内情は不明な事ばかりだ。
そんな事を考えていると、ひょこっと賢王の背後から焦げ茶色の瞳と髪の毛に、肌が少し黄色……?オレンジ……?クリーム色?何とも、初めて見る肌、瞳、髪の毛の色をした人物が顔を出した。
「へぇ……此処が迎賓館なんだ~」
ピリピリした空気をものともせず、マイペースにキョロキョロしている。
俺はこの人物が、勇者 多朗だとすぐに分かった。
(良く見てみれば、さっきの華奢な少年と髪の毛と肌の色が同じ色をしている)
確か年齢は三十代中盤と聞いていたが、どんぐり眼が幼く見せているのだろう。
見た感じは二十代に見える程、あどけない。
そして俺と目が合うと、ピクリと身体を強ばらせ
「なるほど……。噂には聞いていたが、実物は初めて見たよ」
ゆっくりと、焦げ茶色の瞳がブルーに変わって行く。
そして国王の隣に並ぶと
「ウチの子に、随分と好き勝手してくれているみたいだな……ダーリン」
「そのようだな……マイハニー」
「まずは……救出……」
「お仕置は、その後だな……」
と、意味不明の会話を始めた。
なんだ?
鬼のような形相とは裏腹に、国王と王妃が『ダーリン』と『マイハニー』とか呼び合っている。
蛇に睨まれた蛙のように、2人から発せられる覇気に固唾を呑むことした出来ない俺は、その場から動けなくなっていた。
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