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切なる願い⑦
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「この国の王族が、龍神の加護を持っているのは知っていたけど……」
唖然としているアレクサス王子に
「もう、アレンもマテオの加護者だよ」
と伝えると
「ええっ!」
人間は驚くと、こんな顔をするんだな……って眺めながら
「とはいえ、まだ神事をしていないからカッコ仮……だけどね」
そう言って、僕は後退りしたアレクサス王子にゆっくりと近付きキスをした。
アレクサス王子は手を伸ばして抱き締めると
「私は、あなたが傍に居てくれれば、他に何も要りません」
そう囁いた。
「愛しています、亜蘭」
「うん、僕も……。アレン、愛してるよ」
逞しいアレクサス王子の胸に顔を埋め、僕は幸せに浸っていた。
…………そう、浸っていたんだよ。
僕としては、このまま「レッツ神事!」って勢いだったんだよ!
しかし
「亜蘭! マテオが、マテオが!!」
満面の笑みを浮かべ、母様が走って現れた。
そして、抱き合っている僕達を見て我に返ったらしく、真っ赤になって
「あ………………、邪魔してごめん!」
母様は叫んで僕達に背を向けた。
「城に戻るから、続きをどうぞ……」
そそくさと逃げようとする母様を、僕は慌てて走って捕まえる。
「母様、『ありがとうございます』って、なる訳無いでしょう!」
頬を膨らませて言うと、母様は涙を浮かべて僕の顔を見て抱き着き
「お帰り、亜蘭」
と呟いた。
僕は母様を抱き締めて
「うん、ただいま」
ずっと心配してくれていた母様に、感謝の気持ちを込めてそう呟いた。
『切なる願いが、奇跡を起こしたんだろうね』
マテオが僕達にクルクルと巻き付いて
『みんなが、君たち2人の幸せを願っていたよ』
僕とアレクサス王子にそう伝えた。
「私のことも?」
驚くアレクサス王子に、母様はアレクサス王子にも手を伸ばして僕とアレクサス王子を抱き締めると
「当たり前だろう! きみはもう、俺達の家族なんだから」
そう言って微笑んだ。
「家族?」
「そう、家族。今から俺のことは、『母様』と呼ぶ事」
ニヤリと笑う母様に、アレクサス王子は涙を浮かべた。
「何だ、何だ! うちの息子共は、泣き虫だなぁ~」
母様はアレクサス王子の頭をぐしゃぐしゃっと撫でて笑う。
「ありがとう……ございます……」
目元を手で隠して呟いたアレクサス王子に僕はギュッと抱き着き
「後は神事だね!」
ニッコリ笑う。
「そう言えば、前にも聞いたのですが……神事って……」
戸惑う顔をしているアレクサス王子。
母様は『心中お察しします』みたいな顔をすると、アレクサス王子の肩をポンポンっと軽く叩いて
「慣れてくれ」
とだけ呟いた。
僕は笑顔でアレクサス王子の耳元に、そっと囁いた。
そう、神事ってね…………と。
「え? ……それって、えぇっ!」
真っ赤になったアレクサス王子を、『分かるよ、分かる』という顔をして見守る母様と、そんなアレクサス王子に
「早くしようね」
と笑顔で誘う僕。
アレクサス王子は、キャパオーバーを起こしてぶっ倒れてしまったのだった。
唖然としているアレクサス王子に
「もう、アレンもマテオの加護者だよ」
と伝えると
「ええっ!」
人間は驚くと、こんな顔をするんだな……って眺めながら
「とはいえ、まだ神事をしていないからカッコ仮……だけどね」
そう言って、僕は後退りしたアレクサス王子にゆっくりと近付きキスをした。
アレクサス王子は手を伸ばして抱き締めると
「私は、あなたが傍に居てくれれば、他に何も要りません」
そう囁いた。
「愛しています、亜蘭」
「うん、僕も……。アレン、愛してるよ」
逞しいアレクサス王子の胸に顔を埋め、僕は幸せに浸っていた。
…………そう、浸っていたんだよ。
僕としては、このまま「レッツ神事!」って勢いだったんだよ!
しかし
「亜蘭! マテオが、マテオが!!」
満面の笑みを浮かべ、母様が走って現れた。
そして、抱き合っている僕達を見て我に返ったらしく、真っ赤になって
「あ………………、邪魔してごめん!」
母様は叫んで僕達に背を向けた。
「城に戻るから、続きをどうぞ……」
そそくさと逃げようとする母様を、僕は慌てて走って捕まえる。
「母様、『ありがとうございます』って、なる訳無いでしょう!」
頬を膨らませて言うと、母様は涙を浮かべて僕の顔を見て抱き着き
「お帰り、亜蘭」
と呟いた。
僕は母様を抱き締めて
「うん、ただいま」
ずっと心配してくれていた母様に、感謝の気持ちを込めてそう呟いた。
『切なる願いが、奇跡を起こしたんだろうね』
マテオが僕達にクルクルと巻き付いて
『みんなが、君たち2人の幸せを願っていたよ』
僕とアレクサス王子にそう伝えた。
「私のことも?」
驚くアレクサス王子に、母様はアレクサス王子にも手を伸ばして僕とアレクサス王子を抱き締めると
「当たり前だろう! きみはもう、俺達の家族なんだから」
そう言って微笑んだ。
「家族?」
「そう、家族。今から俺のことは、『母様』と呼ぶ事」
ニヤリと笑う母様に、アレクサス王子は涙を浮かべた。
「何だ、何だ! うちの息子共は、泣き虫だなぁ~」
母様はアレクサス王子の頭をぐしゃぐしゃっと撫でて笑う。
「ありがとう……ございます……」
目元を手で隠して呟いたアレクサス王子に僕はギュッと抱き着き
「後は神事だね!」
ニッコリ笑う。
「そう言えば、前にも聞いたのですが……神事って……」
戸惑う顔をしているアレクサス王子。
母様は『心中お察しします』みたいな顔をすると、アレクサス王子の肩をポンポンっと軽く叩いて
「慣れてくれ」
とだけ呟いた。
僕は笑顔でアレクサス王子の耳元に、そっと囁いた。
そう、神事ってね…………と。
「え? ……それって、えぇっ!」
真っ赤になったアレクサス王子を、『分かるよ、分かる』という顔をして見守る母様と、そんなアレクサス王子に
「早くしようね」
と笑顔で誘う僕。
アレクサス王子は、キャパオーバーを起こしてぶっ倒れてしまったのだった。
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