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切なる願い①
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「亜蘭、此処に居たのか?」
ふわりと肩に上着を被せられ、庭園で空を見上げていた僕の隣に母様が腰掛けた。
ゆっくりと母様の顔を見ると、そっと僕の頬に触れて
「どうした?」
と聞いて来た。
僕はあの後、母様の所には行かなかった。
フラフラと足の向くままに歩いて、庭園にある椅子に腰掛けていた。
恐らく、デーヴィドから僕が来るはずだと聞いていたのに、現れないから心配して探してくれたのだろう。
僕はいつだって……、みんなに心配を掛けてばかりだ。
空を見上げたまま
「母様……。僕は、番に拒絶されたのですね」
ポツリと呟くと、母様が息を飲んだ音が聞こえた。
ずっと、ずっと憧れていた。
父様には母様、デーヴィドにはアイシャ。
そんな番が、僕にも現れる日を心待ちにしていた。
手と手が触れ合うだけで、心臓がドキドキして苦しくなる。
でも、一緒に居たら心が温かくなる相手。
番に出会えたら、幸せになるのだと信じていた。
『拒絶』があるなんて、知らなかった。
「母様……僕、死ぬの?」
僕の言葉に、母様が僕の身体を強く抱き締め
「死なせないって、言っただろう?」
そう呟いた。
「アレクサス王子だったんだね、僕の番。でもさ、僕……心が動かないよ」
「亜蘭……何でそれを?」
「デーヴィドがアレクサス王子を責めているのを、偶然、聞いちゃったんだ。でもね、母様。父様と母様はアレクサス王子を恨まないであげて。だって、欠陥品の僕なんかを婚約者にされて、可哀想な人だよ」
「亜蘭、お前は欠陥品なんかじゃない! 誰よりも優しくて、陽だまりのように温かい心を持っている良い子だ。確かに俺も、アレクサス王子と同じ気持ちを経験したから、彼の気持ちは良く分かる。でもな、俺はお前の親なんだよ。亜蘭に何かあったら、俺は俺で居られる自信が無い」
吐き出すような母様の言葉に
「そっか……」
と曖昧な返事をして空を見上げた。
「ねぇ、母様」
「ん?」
「マテオが眠りから覚めたら、封印した気持ちも戻るのかな?」
そう呟いた僕に
「どうだろうな……。マテオが亜蘭の守護竜になってから眠りについたのが、今回で2回目なんだ。過去に、2回もマテオが眠りに着いた記録は無いんだそうだ」
と母様が呟いた。
「そうなんだ」
「亜蘭。最悪、ディランの守護を」
「駄目だよ、母様!」
僕は母様の言葉を遮った。
「僕じゃ、親子だから父様の相手が出来ないよ。それに父様は、母様が居ないと生きていられないと思う」
僕の言葉に、母様が僕を抱き締めている腕に力を込めた。
「だけどな、亜蘭」
「ん?」
「俺は強運の持ち主なんだよ。だから、絶対に亜蘭は大丈夫だって思っているよ」
母様の言葉に、僕は小さく笑った。
僕は空を見上げ、アレクサス王子が好きだった僕は、拒絶されて辛かったのかな?と思いを馳せてみた。
だけど、何も思い出せない。
胸にポッカリ空いた穴は、いつか埋まる事が出来るのだろうか?と、ぼんやりと考えていた。
ふわりと肩に上着を被せられ、庭園で空を見上げていた僕の隣に母様が腰掛けた。
ゆっくりと母様の顔を見ると、そっと僕の頬に触れて
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と聞いて来た。
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恐らく、デーヴィドから僕が来るはずだと聞いていたのに、現れないから心配して探してくれたのだろう。
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「母様……。僕は、番に拒絶されたのですね」
ポツリと呟くと、母様が息を飲んだ音が聞こえた。
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「死なせないって、言っただろう?」
そう呟いた。
「アレクサス王子だったんだね、僕の番。でもさ、僕……心が動かないよ」
「亜蘭……何でそれを?」
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吐き出すような母様の言葉に
「そっか……」
と曖昧な返事をして空を見上げた。
「ねぇ、母様」
「ん?」
「マテオが眠りから覚めたら、封印した気持ちも戻るのかな?」
そう呟いた僕に
「どうだろうな……。マテオが亜蘭の守護竜になってから眠りについたのが、今回で2回目なんだ。過去に、2回もマテオが眠りに着いた記録は無いんだそうだ」
と母様が呟いた。
「そうなんだ」
「亜蘭。最悪、ディランの守護を」
「駄目だよ、母様!」
僕は母様の言葉を遮った。
「僕じゃ、親子だから父様の相手が出来ないよ。それに父様は、母様が居ないと生きていられないと思う」
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「ん?」
「俺は強運の持ち主なんだよ。だから、絶対に亜蘭は大丈夫だって思っているよ」
母様の言葉に、僕は小さく笑った。
僕は空を見上げ、アレクサス王子が好きだった僕は、拒絶されて辛かったのかな?と思いを馳せてみた。
だけど、何も思い出せない。
胸にポッカリ空いた穴は、いつか埋まる事が出来るのだろうか?と、ぼんやりと考えていた。
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