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暴発した翌日は騒がしかった②

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「えぇっ!」
すると、何故か父様が残念な顔をしている。
「亜蘭もシルヴァも、迷惑を掛けて済まなかった」
頭を下げる母様に
「多朗……、二人きりの時なら良いんじゃないかな?」
父様が、慌ててそう呟く。
(父様、下心丸出しですよ)
デーヴィドと二人、乾いた視線を送る。
「はぁ? 嫌だよ」
「何で?」
「何でって……」
母様、真っ赤な顔になり、僕達の顔を見て咳払いをすると
「この話はもう終わり!」
と叫んだ。
…………が、そんな事でめげる父様じゃない。
「多朗、二人きりの時くらいは……」
縋る目をして、母様の両手を握っている。
その姿はもう、金色の大型犬だ。
母様が絶句しているので
「父様、昨夜はそんなに?」
からかうつもりで発した一言だったが、聞かなきゃ良かったと、後から後悔した。
父様は僕の声に目を輝かせ
「それはもう! あんな淫らな多朗は、素面では絶対に拝めない。お陰で、昨夜も散々したのに、今朝も朝から盛り上がってしまったよ」
嬉々とした顔で答えた。
僕とデーヴィドは、そんな父様に白い目を向けてしまう。
(子供に親のそういう話、普通するかぁ?)
確かに、話を振った僕が悪い。
でもさ、普通そこは話を逸らさないか?
そう思っていると、俯いていた母様がプルプルと震え出し
「シルヴァ、子供に何て話をしているんだ! 亜蘭、馬鹿な質問するな!」
と、父様と僕は頭にゲンコツを食らってしまう。
僕は父様と二人で、ゲンコツを落とされた頭を抱えた。
(母様のゲンコツ、めちゃくちゃ痛いんだよな)
涙目になりながら母様の顔を見ると、首まで真っ赤になっている。
(母様はツンでデレだからなぁ~)
殴られた頭を撫でながら考えていると
「で、亜蘭が暴発したという話だけど……」
母様は再び咳払いして話題を変えると
「母様の発情と、亜蘭の発情は偶然じゃないのでは無いのでしょうか……」
ずっと考え事をしていたデーヴィドが呟いた。
「えっ!」
「えぇっ!」
母様と僕が同時に叫ぶと、父様が考え込んだ。
そして少し考え込んだ後
「確かに……0では無いだろうな」
そう呟いてから
「ただ、マシューは父上の守護竜だったので、ある程度の事は想定出来るのだが、マテオが守護竜だったギルバート叔父様の事は……正直、良く分からないんだ」
父様が神妙な顔で呟いた。
「良く分からない?」
「あぁ……。元々、地位や名誉に興味の無い人で、利権争いに巻き込まれたくないと、自分からババ様に不能にしてもらうような変わり者だったからなぁ……。四神が揃わないとならないから王宮には居たが、王宮でも離塔に篭っているような人だったな……」
父様の言葉に、僕は顔面蒼白になる。
「自分で不能に?」
「あぁ……。ギルバート叔父様は、先々代の王がハーレムを作っていた頃の第5番目の側后が産んだ子なんだ。その側后は強欲でね、その頃のハーレムでは毒殺等の不審死が多かったらしい。先代王も、何度か毒を盛られたらしいよ。いち早く自分の母親が王宮内の事件に関わってると気付いて、王位継承権の辞退と子供が出来ないように不能にして母親を北の離宮に隔離した人なんだ。僕達にも極力関わらないようにしていた人だから、ギルバート叔父様に関しては僕も謎なんだ」
考え込んでいる父様に、母様は
「そんな風にしてまで王権争いを避けたのに、最後は王族として処刑されてしまうなんて……」
悲しそうに呟いた。
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