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好きって気持ちと暴発⑥
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『ガクン』っと身体が膝から落ち、全身が熱い。
「亜蘭王子!」
驚いて僕を支えようと差し出したアレクサス王子の手が、僕に触れただけで身体がおかしくなる。
慌ててアレクサス王子から距離を取り
「フーッフーッ」
荒くなる息を整えて居ると
「亜蘭王子、大丈夫か?」
リアム団長の声が聞こえた。
滲む景色の中
「助けて……。団長、熱い……怖い……」
震える手で、リアム団長に手を伸ばす。
「亜蘭王子! 手を……」
差し出される手とアレクサス王子の声が聞こえて、ビクリと身体が震える。
心配そうに僕を見るアレクサス王子。
(ごめんなさい……、あなたは純粋に僕を心配してくれているのに……)
身体が熱くて、呼吸が上がる。
分かる……これは発情だ。
「団長! リアム団長、助けて!」
嫌われたくなかった。
アレクサス王子に、醜い僕の感情を知られたくなかった。
性的虐待を受けた彼に、僕の劣情を知られたら嫌われてしまう。
綺麗で繊細な彼に、僕はどう映っているんだろう。
怖い……怖い……怖い……。
自分がどうなっているのか分からなくて、怖い。
泣きながら叫ぶ僕を、リアム団長が抱き締めた。
「亜蘭王子、大丈夫だ。落ち着いて、ゆっくり呼吸するんだ」
リアム団長の、お酒の匂いと一緒に団長の匂いがして安心した。
「助けて…………」
絞り出すように呟き、リアム団長の胸に縋り付く。
「亜蘭王子、今、部屋に連れて行くから待っていろ!」
軽々と僕を抱き上げたリアム団長に
「リアム団長、私が亜蘭王子をお連れします」
アレクサス王子が僕を抱き上げようと近付いて来たのが見えて、リアム団長の首に抱き着いた。
「触らないで! 今、誰も僕に触らないで!」
ガタガタと震える僕を抱き上げようとしたアレクサス王子の手が、ゆっくりと下ろされるのが見えた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
泣きながら謝る僕に、リアム団長があやすように背中を軽く叩く。
「亜蘭!」
その時、デーヴィドの声が聞こえた。
「デーヴィド!」
手を伸ばし、デーヴィドに抱き着く。
「もう、大丈夫だよ。亜蘭。怖かったな……」
「デーヴィド、僕、僕……」
「分かったから……、何も言うな」
あやすように背中を撫でるデーヴィドの腕の中で、身体の熱がゆっくりと鎮静されて行く。
ゆっくり深呼吸をして、デーヴィドの胸に顔を埋めるようにすると
「亜蘭、ゆっくり休め」
デーヴィドがそう言って僕の頭にキスをすると、意識がゆっくりと遠のいて行った。
「亜蘭王子!」
驚いて僕を支えようと差し出したアレクサス王子の手が、僕に触れただけで身体がおかしくなる。
慌ててアレクサス王子から距離を取り
「フーッフーッ」
荒くなる息を整えて居ると
「亜蘭王子、大丈夫か?」
リアム団長の声が聞こえた。
滲む景色の中
「助けて……。団長、熱い……怖い……」
震える手で、リアム団長に手を伸ばす。
「亜蘭王子! 手を……」
差し出される手とアレクサス王子の声が聞こえて、ビクリと身体が震える。
心配そうに僕を見るアレクサス王子。
(ごめんなさい……、あなたは純粋に僕を心配してくれているのに……)
身体が熱くて、呼吸が上がる。
分かる……これは発情だ。
「団長! リアム団長、助けて!」
嫌われたくなかった。
アレクサス王子に、醜い僕の感情を知られたくなかった。
性的虐待を受けた彼に、僕の劣情を知られたら嫌われてしまう。
綺麗で繊細な彼に、僕はどう映っているんだろう。
怖い……怖い……怖い……。
自分がどうなっているのか分からなくて、怖い。
泣きながら叫ぶ僕を、リアム団長が抱き締めた。
「亜蘭王子、大丈夫だ。落ち着いて、ゆっくり呼吸するんだ」
リアム団長の、お酒の匂いと一緒に団長の匂いがして安心した。
「助けて…………」
絞り出すように呟き、リアム団長の胸に縋り付く。
「亜蘭王子、今、部屋に連れて行くから待っていろ!」
軽々と僕を抱き上げたリアム団長に
「リアム団長、私が亜蘭王子をお連れします」
アレクサス王子が僕を抱き上げようと近付いて来たのが見えて、リアム団長の首に抱き着いた。
「触らないで! 今、誰も僕に触らないで!」
ガタガタと震える僕を抱き上げようとしたアレクサス王子の手が、ゆっくりと下ろされるのが見えた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
泣きながら謝る僕に、リアム団長があやすように背中を軽く叩く。
「亜蘭!」
その時、デーヴィドの声が聞こえた。
「デーヴィド!」
手を伸ばし、デーヴィドに抱き着く。
「もう、大丈夫だよ。亜蘭。怖かったな……」
「デーヴィド、僕、僕……」
「分かったから……、何も言うな」
あやすように背中を撫でるデーヴィドの腕の中で、身体の熱がゆっくりと鎮静されて行く。
ゆっくり深呼吸をして、デーヴィドの胸に顔を埋めるようにすると
「亜蘭、ゆっくり休め」
デーヴィドがそう言って僕の頭にキスをすると、意識がゆっくりと遠のいて行った。
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