星を取りに行こう!

古紫汐桜

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お家に帰ろう

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しばらくこの景色を見た後、チィはニィの顔を見上げると
「今度は、トトとカカも一緒だと良いね」
そう言って、チィは笑顔を浮かべました。
チィは、今のこの気持ちを、大好きなトトとカカに話したくなったのです。
すると急に、家に帰りたくなりました。
「ニィ……、お家に帰りたい」
そう呟いたチィに、ニィはチィの手を握り締めて
「そうだね。トトとカカが待つお家に帰ろう!」
そう叫びました。
するとルゥはそんな二人に再び背中に乗るように言うと
「帰りは送って行くよ。ボクの背中なら、ひとっ飛びだからね」
と微笑みました。
一度、二人はお礼を言う為に、ドンやシュウ達が待つ森の入り口に立ち寄ります。
「綺麗なお星様を見せてくれて、本当にありがとう」
チィはそう言うと、星の住む泉のある森の住人や、シュウに頭を下げました。
「ドンも、ここまで連れて来てくれてありがとう」
ニィがドンにお礼を言うと
「今度は、トトとカカと一緒においで」
優しく笑うドンにニィとチィは笑顔を返します。
みんなにお礼を言って、再びルゥの背中に乗ると
「ニィ、チィ……又、遊びに来い」
シュウが照れくさそうにそう呟いたのです。ニィとチィは顔を見合わせると、ルゥの背中から飛び降りて、モフモフとしたシュウのたてがみに抱き着きました。
「うん! 絶対に又来るよ!」
そう叫ぶ二人に、シュウは照れた顔をすると
「気安くモフるな!」
と叫んで照れ隠しをしています。
そんなシュウを微笑ましく眺めていた星の住む泉のある森の住人達も、口々に
「気を付けて帰るんだよ」
と微笑んで見送ってくれています。
ニィとチィは、優しくしてくれたみんなにお礼を言ってお別れをしました。
ルゥは二人がお別れの挨拶を終えたのを確認すると、一鳴きしてからゆっくりと翼を広げると走り出しました。
光の速さで走るルゥは、2回翼をバサッバサッっとはためかせると、ゆっくりと空へと飛んで行きます。
「わぁ~!」
チィとニィは、濃紺の空に輝く星に手が届くのではないかと思う程、空の近くを飛んでいるルゥに
「ルゥ、ありがとう」
と、再びお礼を言いました。
ルゥはそんな二人に微笑み返すと
「しっかり捕まってろよ!ニィとチィの家まで、あと少しだ!」
そう言ってルゥはプラチナ色に輝く羽を広げました。
ルゥの背中に乗っていると、星の住む泉が近くに感じてしまう程に早くて、ニィとチィは頬に感じる風の早さや、ビュンビュンと変わる景色を楽しみました。
やがてチィとニィの家がある森が見えて来ました。
ルゥはゆっくりと地上に降りて行きます。
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