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森の守り神シュウ
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「シュウなら大丈夫だよ! トトとカカとは仲良しだから」
笑顔でそう話すドンに、ルゥは悲しそうに首を横に振り
「シュウは、そんな事で中に入れてはくれない。そんな生ぬるい事では、あの泉を守れないからな」
そう答えたのです。
みんなが黙り込んだその時でした。
森の奥から、金色に光り輝く大きなオオカミが現れたのです。
「やはり来たか……シュウ」
ルゥがそう呟くと、シュウは森の入り口を塞ぐように立ちはだかり
「星を取りに来たのか?」
と、怖い声で声を掛けてきました。
すると、何処から現れたのか、あらいぐまのスゥが
「森の決まりを知らないの?」
そう言いながら、草むらから顔を出し、スゥの近くから野ねずみのチャウも顔を出して
「星は取ってはいけないんだよ」
と続けたのです。
気が付けばいつの間にか、森に住む動物たちが草むらや木々から顔を出して
「森の決まりを守れないなら、ルゥでもこの先は通せない。」
そう口々に言い始めたのです。
星の住む泉がある森は、住人の声に応えるかのように、風もないのに木々をざわざわと揺らして音を立て始めました。
「どうして、星の住む泉に行ってはいけないの?」
小さなチィが、大きなオオカミのシュウに訊ねます。
するとシュウは
「よそ者は、勝手に来て森を荒らして帰って行く」
そう答えました。
そんなシュウに、三人兄弟が口々に答えます。
「2人はそんな事をしないよ」
「しない、しない」
「ニィの大きなリュックに、出たゴミは全部袋に入れてしまってる」
「俺たち、空から見ていたから知ってる」
「ニィは野の花さえも、持ち帰ろうとしなかった」
「森のルールを、ちゃんとチィに教えてる」
カァカァと口うるさく反論する三兄弟に、シュウがうるさいとばかりに睨みます。
すると、三兄弟はシュウの睨みに怯えて
「俺たちは、トトとカカに2人が無事なのを伝えて来る」
そう言い残して逃げてしまいました。
それでも、ニィは嬉しかったのです。
自分が黙ってやって来た事を、見てくれている人がいる。
ニィは逃げてしまった三兄弟の後ろ姿を見送ると
「まず、そちらの森のルールを教えて下さい。チィには、ボクが言ってきかせます」
真っ直ぐシュウを見つめて話すニィに
「ルールを教えたら、絶対に守るという保証でもあるのか?」
とシュウが語りかけました。
「ボクはトトとカカの息子で、チィのお兄ちゃんです。それだけじゃ、信用出来ないですか?」
真っ直ぐに、淀みのないニィの真剣な眼差しに、シュウは小さく微笑みました。
「全く……親子して、良く似てやがる」
ぽつりとそう呟くと
「良いだろう。では、森のルールを伝えてやる。お前達の反応を見て、そのルールを守れそうに無いとこちら側が判断した場合、悪いがここから先は通せない」
とシュウがニィに言いました。
笑顔でそう話すドンに、ルゥは悲しそうに首を横に振り
「シュウは、そんな事で中に入れてはくれない。そんな生ぬるい事では、あの泉を守れないからな」
そう答えたのです。
みんなが黙り込んだその時でした。
森の奥から、金色に光り輝く大きなオオカミが現れたのです。
「やはり来たか……シュウ」
ルゥがそう呟くと、シュウは森の入り口を塞ぐように立ちはだかり
「星を取りに来たのか?」
と、怖い声で声を掛けてきました。
すると、何処から現れたのか、あらいぐまのスゥが
「森の決まりを知らないの?」
そう言いながら、草むらから顔を出し、スゥの近くから野ねずみのチャウも顔を出して
「星は取ってはいけないんだよ」
と続けたのです。
気が付けばいつの間にか、森に住む動物たちが草むらや木々から顔を出して
「森の決まりを守れないなら、ルゥでもこの先は通せない。」
そう口々に言い始めたのです。
星の住む泉がある森は、住人の声に応えるかのように、風もないのに木々をざわざわと揺らして音を立て始めました。
「どうして、星の住む泉に行ってはいけないの?」
小さなチィが、大きなオオカミのシュウに訊ねます。
するとシュウは
「よそ者は、勝手に来て森を荒らして帰って行く」
そう答えました。
そんなシュウに、三人兄弟が口々に答えます。
「2人はそんな事をしないよ」
「しない、しない」
「ニィの大きなリュックに、出たゴミは全部袋に入れてしまってる」
「俺たち、空から見ていたから知ってる」
「ニィは野の花さえも、持ち帰ろうとしなかった」
「森のルールを、ちゃんとチィに教えてる」
カァカァと口うるさく反論する三兄弟に、シュウがうるさいとばかりに睨みます。
すると、三兄弟はシュウの睨みに怯えて
「俺たちは、トトとカカに2人が無事なのを伝えて来る」
そう言い残して逃げてしまいました。
それでも、ニィは嬉しかったのです。
自分が黙ってやって来た事を、見てくれている人がいる。
ニィは逃げてしまった三兄弟の後ろ姿を見送ると
「まず、そちらの森のルールを教えて下さい。チィには、ボクが言ってきかせます」
真っ直ぐシュウを見つめて話すニィに
「ルールを教えたら、絶対に守るという保証でもあるのか?」
とシュウが語りかけました。
「ボクはトトとカカの息子で、チィのお兄ちゃんです。それだけじゃ、信用出来ないですか?」
真っ直ぐに、淀みのないニィの真剣な眼差しに、シュウは小さく微笑みました。
「全く……親子して、良く似てやがる」
ぽつりとそう呟くと
「良いだろう。では、森のルールを伝えてやる。お前達の反応を見て、そのルールを守れそうに無いとこちら側が判断した場合、悪いがここから先は通せない」
とシュウがニィに言いました。
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