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フランシスとアルト
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一方、フランシスも又、アルトの変化に戸惑っていた。
あの日、メイソンの母親と妹を助けたアルトは、神力をほとんど使い果たして気を失ってしまった。
広大な土地を浄化するより、人間の体内なら不要な物を完璧に取り除く作業は太陽の神子であるアルトにしか出来ない事だった。
力を使い果たしたアルトを宿屋に連れ戻すと、身体が太陽神と入れ替わっていた。
『この馬鹿者は、死ぬつもりであの二人を助けた上に、体力回復までしおったわ』
ぐったりとベッドに横たわる太陽神に、フランシスがそっと近付くと
『フランシス……分かっておるよな?』
両手を広げて太陽神が言うと、フランシスはアルトの着衣を脱がせると、自分の着衣を脱ぎ捨ててそっと身体を抱き締めた。
『フランシス、よくぞ前日にアルトと契約をしてくれた。そなたが居なければ、我も消滅しておった』
そう呟いた唇に、フランシスは唇を重ねた。
舌を絡め合い、神力を少しずつアルトの身体へと流し込む。
七人の騎士がそれぞれ神事として、太陽の神子と交わる理由の一つが、神力を使い果たした神子に力を戻すことが出来るから……という理由もあった。
言わば、貯蔵庫のような働きだ。
太陽の神子の力は偉大だが、国に大飢饉などが起こった時、全てを浄化する力を持っているのが太陽の神子の力ではあるが、その力にも個体が貯蔵出来る限度がある。
だから常に分け与え、神力が強くならないようにしている部分が大半だが、使い過ぎた時に分け与える役割もあるのだ。
広い荒野の浄化は、フランシスのように王家の血を引いて強い魔力を持っている人間ならば、元々ある力に神力を少し加えて増加させれば、それ程、神力を使わずしても行う事が出来る。
フランシスは、アルトがメイソンの為に無茶をしでかすのをなんとなく予感していた。
だから騙してでも、アルトと契約する必要があった。
弱まっていた力が、少し回復した頃に唇を離し、アルトの身体を反転させて腰の部分に枕を差し込むと、お尻を突き出すような姿勢にして、最後の蕾に香油を垂らした。
ゆっくりと指を差し込み、慣らして行く。
『あっ……あっ……』
本来なら、前戯などが必要なのだろうが……、今はそれよりフランシスと身体を繋げて力を戻す作業が先だった。
指が二本になり、三本が入るようになった頃に指を引き抜き、ゆっくりと先端を最後の蕾に当てがう。
『フランシス……早く……』
淡い金色の光を放つ太陽神の言葉に、一気に楔を打ち込んだ。
『あぁっ!』
甘い嬌声を上げ、太陽神が仰け反る。
腰を掴み、ガンガンと腰を進める事に、淡い光が段々と強くなって行く。
『フランシス……もう……』
身体を震わせる太陽神から、一度引き抜くと
『フランシス!』
太陽神が目を見開いた。
例え力を分け与える為の神事だとしても、愛するアルトとバックの体制で果てるのが嫌だと思い、フランシスはアルトの身体を反転させて足を開かせて再度挿入した。
『アァッ!』
フランシスの意図を汲み取ったのか、アルトの顔をした太陽神は小さく微笑むと、フランシスの身体にしがみついて来た。
目に涙を浮かべ、自分の与える快楽に身を悶えさせるアルトの顔をフランシスは見つめた。
今、中身が違うとしても、重ねている身体は愛するアルトの身体だと思うと、切なさと愛しさが交じりあった複雑な感情が渦巻く。
『フランシス……』
自分の名前を呼ぶ声は違えど、その姿は紛れも無くアルトの姿だ。
フランシスは唇を重ねながら、自分より小さいアルトの手を握り締めて声を封じた。
激しく腰を打ち付け、重ねた唇から絶頂の声を上げる太陽神の声を飲み込むようにキスをした。
『んんっ…………っ!』
きつく締め付けられ、フランシスもアルトの中に欲望を叩き付けると、ゆっくりと唇を離した。
すっかり黄金の光を取り戻した太陽神が、うっとりとフランシスを見上げると
『中々、情熱的だな……フランシス』
そっとフランシスの頬に触れて呟いた。
『緊急事態の神事だから、前儀なし……。良く教育されておる。あと少し遅かったら、危うく消える所だった』
そう言うと、フランシスの身体を抱き締めて
『フランシス……』
と、名前を呼んだ後
「ありがとう。大好きだよ」
そう、アルトの声で囁かれた。
驚いて見下ろすと、太陽神の姿でニヤリと笑うと、フランシスの身体を抱き締めた。
『もう良い、そなたも疲れたであろう?ゆっくり休め』
優しく背中を撫でられ、フランシスはアルトの中に入ったまま意識を手放した。
『アルトか……。今回の器は……当たりだな』
ポツリと呟くと、ゆっくりとフランシスの髪の毛を撫でた。
するとフランシスの身体も金色に光り
『こやつは、中々の逸材かもしれんな』
そう満足そうに呟いてアルトへと入れ替わった。
あの日、メイソンの母親と妹を助けたアルトは、神力をほとんど使い果たして気を失ってしまった。
広大な土地を浄化するより、人間の体内なら不要な物を完璧に取り除く作業は太陽の神子であるアルトにしか出来ない事だった。
力を使い果たしたアルトを宿屋に連れ戻すと、身体が太陽神と入れ替わっていた。
『この馬鹿者は、死ぬつもりであの二人を助けた上に、体力回復までしおったわ』
ぐったりとベッドに横たわる太陽神に、フランシスがそっと近付くと
『フランシス……分かっておるよな?』
両手を広げて太陽神が言うと、フランシスはアルトの着衣を脱がせると、自分の着衣を脱ぎ捨ててそっと身体を抱き締めた。
『フランシス、よくぞ前日にアルトと契約をしてくれた。そなたが居なければ、我も消滅しておった』
そう呟いた唇に、フランシスは唇を重ねた。
舌を絡め合い、神力を少しずつアルトの身体へと流し込む。
七人の騎士がそれぞれ神事として、太陽の神子と交わる理由の一つが、神力を使い果たした神子に力を戻すことが出来るから……という理由もあった。
言わば、貯蔵庫のような働きだ。
太陽の神子の力は偉大だが、国に大飢饉などが起こった時、全てを浄化する力を持っているのが太陽の神子の力ではあるが、その力にも個体が貯蔵出来る限度がある。
だから常に分け与え、神力が強くならないようにしている部分が大半だが、使い過ぎた時に分け与える役割もあるのだ。
広い荒野の浄化は、フランシスのように王家の血を引いて強い魔力を持っている人間ならば、元々ある力に神力を少し加えて増加させれば、それ程、神力を使わずしても行う事が出来る。
フランシスは、アルトがメイソンの為に無茶をしでかすのをなんとなく予感していた。
だから騙してでも、アルトと契約する必要があった。
弱まっていた力が、少し回復した頃に唇を離し、アルトの身体を反転させて腰の部分に枕を差し込むと、お尻を突き出すような姿勢にして、最後の蕾に香油を垂らした。
ゆっくりと指を差し込み、慣らして行く。
『あっ……あっ……』
本来なら、前戯などが必要なのだろうが……、今はそれよりフランシスと身体を繋げて力を戻す作業が先だった。
指が二本になり、三本が入るようになった頃に指を引き抜き、ゆっくりと先端を最後の蕾に当てがう。
『フランシス……早く……』
淡い金色の光を放つ太陽神の言葉に、一気に楔を打ち込んだ。
『あぁっ!』
甘い嬌声を上げ、太陽神が仰け反る。
腰を掴み、ガンガンと腰を進める事に、淡い光が段々と強くなって行く。
『フランシス……もう……』
身体を震わせる太陽神から、一度引き抜くと
『フランシス!』
太陽神が目を見開いた。
例え力を分け与える為の神事だとしても、愛するアルトとバックの体制で果てるのが嫌だと思い、フランシスはアルトの身体を反転させて足を開かせて再度挿入した。
『アァッ!』
フランシスの意図を汲み取ったのか、アルトの顔をした太陽神は小さく微笑むと、フランシスの身体にしがみついて来た。
目に涙を浮かべ、自分の与える快楽に身を悶えさせるアルトの顔をフランシスは見つめた。
今、中身が違うとしても、重ねている身体は愛するアルトの身体だと思うと、切なさと愛しさが交じりあった複雑な感情が渦巻く。
『フランシス……』
自分の名前を呼ぶ声は違えど、その姿は紛れも無くアルトの姿だ。
フランシスは唇を重ねながら、自分より小さいアルトの手を握り締めて声を封じた。
激しく腰を打ち付け、重ねた唇から絶頂の声を上げる太陽神の声を飲み込むようにキスをした。
『んんっ…………っ!』
きつく締め付けられ、フランシスもアルトの中に欲望を叩き付けると、ゆっくりと唇を離した。
すっかり黄金の光を取り戻した太陽神が、うっとりとフランシスを見上げると
『中々、情熱的だな……フランシス』
そっとフランシスの頬に触れて呟いた。
『緊急事態の神事だから、前儀なし……。良く教育されておる。あと少し遅かったら、危うく消える所だった』
そう言うと、フランシスの身体を抱き締めて
『フランシス……』
と、名前を呼んだ後
「ありがとう。大好きだよ」
そう、アルトの声で囁かれた。
驚いて見下ろすと、太陽神の姿でニヤリと笑うと、フランシスの身体を抱き締めた。
『もう良い、そなたも疲れたであろう?ゆっくり休め』
優しく背中を撫でられ、フランシスはアルトの中に入ったまま意識を手放した。
『アルトか……。今回の器は……当たりだな』
ポツリと呟くと、ゆっくりとフランシスの髪の毛を撫でた。
するとフランシスの身体も金色に光り
『こやつは、中々の逸材かもしれんな』
そう満足そうに呟いてアルトへと入れ替わった。
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