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メイソンの気持ち
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「え?」
それは連休がある前の週の事だった。
アルトはメイソンに、メイソンの実家に行こうと提案したのだ。
「メイソンの目は、僕が原因だった訳だし。もしかしたら、メイソンの家族の病の事も僕なら治せるかもしれないし」
無邪気に提案するアルトに、メイソンは戸惑っていた。
太陽の神子の力は無限で、未だに知られていない事が多い。
もしかしたら、本当にアルトが治せるのかもしれない。
でも、それはアルトに人間離れしたあの能力を使わせる事になってしまう。
それが吉と出るか、凶と出るのかメイソンは心配出仕方なかった。
「アルト様……ですが……」
「僕の身体を心配してくれているの? それなら大丈夫だよ」
そう言って微笑むアルトが、時々、神がかって見えるのは……幻影では無いとメイソンは感じていた。
黄金に輝く髪の毛は、まるで内側から光が放たれているかのように美しい。
「アルト様……」
実体があるのかを思わず確認したくなり、頬に触れたメイソンの手にアルトが手を重ねて頬ずりをする。
そんな仕草に愛しさが込み上げて来て、いつか別れが来る関係だからと割り切っていたつもりが……、いつしかこんなにも大切な人になっていたのだと思い知らされてしまう。
「アルト様……」
そっと唇を重ねると、アルトは恥じらうようにメイソンの胸に顔を埋めて
「メイソン……。きみの家族は、僕の家族も同様なんだ。だから、僕に出来ることをさせて欲しいんだ」
ポツリと呟いたアルトの言葉に、メイソンはアルトの身体を強く抱き締めた。
いずれは国母となられる方。
俺はせめて、そんなアルト様の礎になろう
メイソンはそう思い始めていた。
フランシスとアルトはあの日以来、親交を深めたらしく、良く一緒に居る姿を見掛けるようになった。
学校から楽しそうに話ながら帰って来るアルトの姿を、フランシスは窓辺で見守ることしか出来ない。
自分はこの部屋にいる間、アルト様の身の回りと護衛をする立場。
今は一時の感情で、自分に想いを寄せているだけなのだと必死に言い聞かせていた。
「メイソン! ただいま!」
太陽のような笑顔で帰って来るアルトに、メイソンは小さく微笑んで向かい入れた。
「おかえりなさいませ、アルト様」
ドアを閉めると、いつものように胸に飛び込んで来るアルトに切なくなる。
「うふふ……。メイソンにこうして抱き着くと、部屋に戻って来たって思うよ」
胸に頬を擦り寄せ笑うアルトに、メイソンは微笑み返してアルトの頬に触れようとしたその時だった。
「あのね! 今度の休み、フランシスも同行してもらう事になったから」
そう言われて、メイソンの手がゆっくりと下ろされる。
「え?」
表情が固まったメイソンに気付かず
「メイソンの領地の話をしたらね、フランシスがそんな事が起こっているとしたら、国の一大事だ! って心配してくれてね」
と、話を続けた。
動きが止まったメイソンを不思議に思い、アルトがメイソンを見上げると、メイソンは今まで見せた事の無い無表情でアルトを見下ろしていた。
「メイソン……?」
驚いてメイソンに声を掛けるアルトの声に、メイソンはハッとして作り笑顔を浮かべた。
「第一王子にまで、気にかけて頂けて光栄です」
そう言って一礼すると、メイソンはアルトの身体をゆっくりと離し
「お茶を入れて参ります。アルト様は、着替えをなさって下さい」
と言い残し、下がってしまった。
「メイソン……?」
アルトはメイソンの意図が分からず、ポツリと呟いたが、きっとお茶を持って来たらいつも通りだろうと考えていた。
それは連休がある前の週の事だった。
アルトはメイソンに、メイソンの実家に行こうと提案したのだ。
「メイソンの目は、僕が原因だった訳だし。もしかしたら、メイソンの家族の病の事も僕なら治せるかもしれないし」
無邪気に提案するアルトに、メイソンは戸惑っていた。
太陽の神子の力は無限で、未だに知られていない事が多い。
もしかしたら、本当にアルトが治せるのかもしれない。
でも、それはアルトに人間離れしたあの能力を使わせる事になってしまう。
それが吉と出るか、凶と出るのかメイソンは心配出仕方なかった。
「アルト様……ですが……」
「僕の身体を心配してくれているの? それなら大丈夫だよ」
そう言って微笑むアルトが、時々、神がかって見えるのは……幻影では無いとメイソンは感じていた。
黄金に輝く髪の毛は、まるで内側から光が放たれているかのように美しい。
「アルト様……」
実体があるのかを思わず確認したくなり、頬に触れたメイソンの手にアルトが手を重ねて頬ずりをする。
そんな仕草に愛しさが込み上げて来て、いつか別れが来る関係だからと割り切っていたつもりが……、いつしかこんなにも大切な人になっていたのだと思い知らされてしまう。
「アルト様……」
そっと唇を重ねると、アルトは恥じらうようにメイソンの胸に顔を埋めて
「メイソン……。きみの家族は、僕の家族も同様なんだ。だから、僕に出来ることをさせて欲しいんだ」
ポツリと呟いたアルトの言葉に、メイソンはアルトの身体を強く抱き締めた。
いずれは国母となられる方。
俺はせめて、そんなアルト様の礎になろう
メイソンはそう思い始めていた。
フランシスとアルトはあの日以来、親交を深めたらしく、良く一緒に居る姿を見掛けるようになった。
学校から楽しそうに話ながら帰って来るアルトの姿を、フランシスは窓辺で見守ることしか出来ない。
自分はこの部屋にいる間、アルト様の身の回りと護衛をする立場。
今は一時の感情で、自分に想いを寄せているだけなのだと必死に言い聞かせていた。
「メイソン! ただいま!」
太陽のような笑顔で帰って来るアルトに、メイソンは小さく微笑んで向かい入れた。
「おかえりなさいませ、アルト様」
ドアを閉めると、いつものように胸に飛び込んで来るアルトに切なくなる。
「うふふ……。メイソンにこうして抱き着くと、部屋に戻って来たって思うよ」
胸に頬を擦り寄せ笑うアルトに、メイソンは微笑み返してアルトの頬に触れようとしたその時だった。
「あのね! 今度の休み、フランシスも同行してもらう事になったから」
そう言われて、メイソンの手がゆっくりと下ろされる。
「え?」
表情が固まったメイソンに気付かず
「メイソンの領地の話をしたらね、フランシスがそんな事が起こっているとしたら、国の一大事だ! って心配してくれてね」
と、話を続けた。
動きが止まったメイソンを不思議に思い、アルトがメイソンを見上げると、メイソンは今まで見せた事の無い無表情でアルトを見下ろしていた。
「メイソン……?」
驚いてメイソンに声を掛けるアルトの声に、メイソンはハッとして作り笑顔を浮かべた。
「第一王子にまで、気にかけて頂けて光栄です」
そう言って一礼すると、メイソンはアルトの身体をゆっくりと離し
「お茶を入れて参ります。アルト様は、着替えをなさって下さい」
と言い残し、下がってしまった。
「メイソン……?」
アルトはメイソンの意図が分からず、ポツリと呟いたが、きっとお茶を持って来たらいつも通りだろうと考えていた。
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