妹が破滅フラグしか無い悪役令嬢だったので、破滅フラグを折りまくったらBL展開になってしまった!

古紫汐桜

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サミュエルとフランシス

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フランシスが険しい顔をしたまま剣を戻さないので
「おいおい。こちらの王族は、丸腰の人間に剣を向けたままなのかよ」
嫌味たっぷりで呟くサミュエルに、フランシスは剣を下げると
「そちらの王族は、他国の王族以外立ち入り禁止区域に平気で入り込む訳ね」
剣をしまうと
「で、太陽の神子をそんなに調べてどうするつもりだ?」
声こそ荒らげてはいないが、ピンっと張った空気がフランシスの怒りを表しているようだった。
サミュエルが肩を窄め
「別に?お前が執着している男が、どんな奴なのか興味があっただけだ」
鼻で笑って答えると、フランシスはサミュエルの胸ぐらを掴み、壁に背中を打ち付けるように押し付けて
「アルトに手を出すな!」
初めて怒りをあらわにした。
「なに、お前。マジであんな、頭の中がお花畑な奴が好きな訳?」
「アルトを悪く言うな!」
からかうように放ったサミュエルの言葉に、フランシスがサミュエルの顔の横にある壁を殴りつけた。
『ミシッ』と鈍い音がなり、壁に穴が空いたような音が聞こえて、さすがのサミュエルもじわりと嫌な汗を額に流した。
王家の人間は、あまり感情を表に出さないように教育されている。
サミュエルとフランシスは隣国という事もあり、幼い頃からお互いの国に行き来する仲でもあったことから、互いの事をそれなりに知っている関係ではあった。
サミュエルの知っているフランシスは、いつも口元だけで笑みを浮かべて、やたら冷めた目をした人物だった。
冷静沈着で、何を考えているのか分からない奴。
幼い頃、そんなフランシスの本音を知りたくて、何度かフランシスが怒りそうな事をしてみたが、毎回涼しい顔でスルーされていたサミュエルにとって、初めて見たフランシスの中にある感情に、サミュエルは心の中で小さく笑っていた。
(へぇ……、アルトはこいつの急所な訳ね)
そんなふうに考えていると
「アルトは清らかで純粋な人なんだ!お前みたいな捻くれ者には、アルトの良さは分からないだろうがな」
と、フランシスが真顔で呟いたものだから、メイソンとの行為を見てしまったサミュエルは思わず
「はぁ?清らか?イケメン執事に盛って、無理矢理命令してヤリまくってる奴が?」
そう、つい口が滑ってしまう。
その瞬間、フランシスが目を見開きサミュエルを凝視すると
「それは……どういう意味だ?」
と、背後に紅蓮の炎が見える程に怒っている。
(あちゃー!ヤバい一言を、言っちまったかな?)
サミュエルは、フランシスが嫉妬で今起こっている事を忘れてくれれば良いと考え
「どういう意味って、そういう意味だよ。偶然、見ちゃったんだよね~。あのイケメン執事君とアルトがやってる所。まぁ、イケメン執事君は、アルトの足の甲に服従のキスをさせられていたから、無理矢理なんじゃないの?」
と答えた。
するとフランシスは舌打ちして
「覚醒か……。まさか、あの男だったとはな……」
そう呟いてから、サミュエルの胸ぐらを掴んだまま『王室以外立ち入り禁止』区域から出ると、入口に手をかざして閉鎖魔法を掛けてしまう。
(チッ!もう入れないか……)
目の前で入り口が消えて行くのを見ながら、サミュエルは心の中で舌打ちをした。
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