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太陽の神と、太陽の神子の始まり
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一方、サミュエルは昼間のアルトの豹変ぶりが気になり、こっそり王立図書館の持ち出し禁止エリアに入って古い文献を見つけ出していた。
そこには他国はもちろん、この国でも知られていない太陽の神子誕生の秘話が記されていたのだ。
昔むかし、まだこの世界が一つだった頃。太陽の神は冥界の神と恋人だった。
しかし世界を三つに分けると決まった時に、地上を照らす太陽神と死の国を守る冥界の神は共に生きる事が許されなくなってしまった。
2人は引き裂かれ、本来なら天界で暮らさなければならない筈の太陽の神は、少しでも冥界の近くに居たいと地上に残ってしまう。
毎日、地面に触れては悲しみに嘆く太陽の神の前に現れたのが、冥界の神に良く似た面差しの人間の男だった。
しかし、彼には既に永遠の愛を誓った恋人が居た。
そこで太陽神は
『あいつを殺して、自分がなりすまそう』
と考えたのだ。
事故に見せかけ、彼の恋人を殺して太陽神がなりすましてみたが、彼は直ぐに恋人では無いと見破ってしまう。
恋人を殺され嘆き悲しむ姿を見て、太陽の神は初めて自分が犯した罪に気が付くが、既に彼の恋人は冥界の門を潜ってしまっていた。
毎日、嘆き暮らす彼に、太陽の神は約束をするのです。
『きみが次に生まれ変わったら、必ず我がきみの恋人を守ろう』
しかし、神の力は人間の器では受け入れきれない。
何度も何度も、太陽の神子として生まれても、彼の恋人の生まれ変わりは5歳まで生きる事が出来なかった。
何度も転生を繰り返し、出会っては別れを繰り返す二人。
何度目かの転生の時、7歳まで生き残った彼の恋人は、太陽の神子を奪う戦に巻き込まれてしまう。
太陽の神子を守る為に、最後まで身を呈して戦ったのは、やはり彼だった。
彼は左目を剣で切られ、失明しても尚、恋人を救おうと必死に戦った。
教会に逃げ込み、もう逃げ場も絶たれたその時に、2人を無情にも1本の矢が貫いた。
恋人を守ろうと、身を呈した彼。
『太陽の神子、ご無事ですか?』
口から血を吐きながら、必死に太陽の神子として転生した恋人を案ずる彼を、必死に抱き留めている太陽の神子。
ゆっくりと太陽の神子を守っていた彼が瞳を閉じた時、太陽の神子も又、吐血した。
彼の身体を貫通し、太陽の神子の身体も又、毒矢の先端が腹を刺していたのだ。
一つの矢に射抜かれた形で、絶命した二人。太陽の神が力を貸せば、戦は益々激化してしまう。
幾度となく繰り返される二人の悲劇に、太陽の神はその時の国王に
『太陽の神子の存在を、他国に知られてはならぬ!教会か王室で保護せよ!』
と言葉を残し、依り代を失った太陽の神は天界へと返って行った。
そして繰り返された転生でも、やはり太陽の神子は長く生きる事が出来なかった。
二人は出会うこと無く、時は長き時間を重ねて行く。
そう綴られており、サミュエルは本を閉じると
(……となると、あの執事とアルトがこの二人という訳か)
本を元に戻し、隣の『太陽の神子と七人の騎士~始まりの書~』と書かれた本に手を掛けた時だった。
剣の切っ先が首筋に当てられ
「貴様、立ち入り禁止区域と知っての行動か?隣国の王子、サミュエル」
と、ピンっと糸が張ったような緊張感の漂うフランシスの声に、サミュエルは苦笑いを浮かべて手を上げた。
そこには他国はもちろん、この国でも知られていない太陽の神子誕生の秘話が記されていたのだ。
昔むかし、まだこの世界が一つだった頃。太陽の神は冥界の神と恋人だった。
しかし世界を三つに分けると決まった時に、地上を照らす太陽神と死の国を守る冥界の神は共に生きる事が許されなくなってしまった。
2人は引き裂かれ、本来なら天界で暮らさなければならない筈の太陽の神は、少しでも冥界の近くに居たいと地上に残ってしまう。
毎日、地面に触れては悲しみに嘆く太陽の神の前に現れたのが、冥界の神に良く似た面差しの人間の男だった。
しかし、彼には既に永遠の愛を誓った恋人が居た。
そこで太陽神は
『あいつを殺して、自分がなりすまそう』
と考えたのだ。
事故に見せかけ、彼の恋人を殺して太陽神がなりすましてみたが、彼は直ぐに恋人では無いと見破ってしまう。
恋人を殺され嘆き悲しむ姿を見て、太陽の神は初めて自分が犯した罪に気が付くが、既に彼の恋人は冥界の門を潜ってしまっていた。
毎日、嘆き暮らす彼に、太陽の神は約束をするのです。
『きみが次に生まれ変わったら、必ず我がきみの恋人を守ろう』
しかし、神の力は人間の器では受け入れきれない。
何度も何度も、太陽の神子として生まれても、彼の恋人の生まれ変わりは5歳まで生きる事が出来なかった。
何度も転生を繰り返し、出会っては別れを繰り返す二人。
何度目かの転生の時、7歳まで生き残った彼の恋人は、太陽の神子を奪う戦に巻き込まれてしまう。
太陽の神子を守る為に、最後まで身を呈して戦ったのは、やはり彼だった。
彼は左目を剣で切られ、失明しても尚、恋人を救おうと必死に戦った。
教会に逃げ込み、もう逃げ場も絶たれたその時に、2人を無情にも1本の矢が貫いた。
恋人を守ろうと、身を呈した彼。
『太陽の神子、ご無事ですか?』
口から血を吐きながら、必死に太陽の神子として転生した恋人を案ずる彼を、必死に抱き留めている太陽の神子。
ゆっくりと太陽の神子を守っていた彼が瞳を閉じた時、太陽の神子も又、吐血した。
彼の身体を貫通し、太陽の神子の身体も又、毒矢の先端が腹を刺していたのだ。
一つの矢に射抜かれた形で、絶命した二人。太陽の神が力を貸せば、戦は益々激化してしまう。
幾度となく繰り返される二人の悲劇に、太陽の神はその時の国王に
『太陽の神子の存在を、他国に知られてはならぬ!教会か王室で保護せよ!』
と言葉を残し、依り代を失った太陽の神は天界へと返って行った。
そして繰り返された転生でも、やはり太陽の神子は長く生きる事が出来なかった。
二人は出会うこと無く、時は長き時間を重ねて行く。
そう綴られており、サミュエルは本を閉じると
(……となると、あの執事とアルトがこの二人という訳か)
本を元に戻し、隣の『太陽の神子と七人の騎士~始まりの書~』と書かれた本に手を掛けた時だった。
剣の切っ先が首筋に当てられ
「貴様、立ち入り禁止区域と知っての行動か?隣国の王子、サミュエル」
と、ピンっと糸が張ったような緊張感の漂うフランシスの声に、サミュエルは苦笑いを浮かべて手を上げた。
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