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二人の関係⑥
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翌日、アルトはサミュエルを呼び出して、一緒に昼食を取る事にした。
裏庭にある、小さな庭園のベンチで待ち合わせをしていたのだが、アルトはソワソワ落ち着かない。
何故、あの時間にあそこに居たのか?
もしかして、メイソンとの関係を知られているのでは無いだろうか?
考え出したら止まらなくなってしまっていた。
(どうしよう!バレてメイソンと引き離されたら……)
不安で不安で堪らないという顔をしているアルトの前に、眠そうにネクタイを緩めて制服を着崩したサミュエルが面倒臭そうに現れた。
遠くからでも、ブロンズの肌に長い黒髪は目を引く。
「なんだよ、話って……」
「立ち話も何だから、此処に座って」
アルトは自分の隣を手で叩いて、サミュエルに隣に座るように促す。
面倒臭そうに深い溜め息を吐くと、ドカリと荒々しくアルトの隣に腰掛けた。
「制服、そんな風にだらしなく着崩して……。ヤンキーみたいな王子だな」
思わず呟いてしまい、サミュエルが驚いてアルトの顔を見たのを見て、アルトは慌てて口を手で押さえた。
(やっちゃった~!心の声が、口から漏れちゃったよ~)
真っ青になっているアルトに、サミュエルは長い足を組んで膝に頬杖を着くと、アルトの顔を覗き込んで
「なぁ、何で俺が王子だって知っている?」
顔は笑っているけれど、目が笑っていないサミュエルに顔が引き攣る。
「成程。太陽の神子っていうのは、そういう事も分かるって訳か……」
関心したように呟くと、アルトの顎を掴み
「無知で純粋で、何にも知らないおバカちゃんのフリをして、あのイケメン執事をタラシ込んだ訳か……」
明らかにアルトとメイソンの関係を知っている口振りに、今度はアルトがサミュエルを睨み付けた。
「僕の部屋周りを嗅ぎ回って、何のつもり?」
アルトが叫ぶと
「太陽の神子が、どんな人物か知りたくてね。まさか、昼間っから男とあんな事をしているなんて驚きだったけど」
肩を竦めるサミュエルに、アルトが
「あんな事?」
と、首を傾げた。
「おいおい!とぼけるなよ。お前、全裸になってイケメン執事に自分の足の甲をキスさせてただろうが!」
「え?僕が?全裸になって、メイソンにそんな事を?」
サミュエルの言葉に戸惑いの色を浮かべ、アルトは慌てて口元を押さえた。
段々と顔色が悪くなり、震え出したアルトに
「え?お前……まさか記憶が無いのか?」
サミュエルはそう質問した。
「僕は……僕はメイソンに何をしていた?」
サミュエルに掴みかかって聞くアルトに戸惑いながら、サミュエルは自国で学んだ事を思い出した。
昔むかし、太陽の神に愛されてしまった男の悲劇の話を……。
そう考えると……昨日、アルトとメイソンの情事を偶然見てしまったあの光景は、全て太陽の神がしていた事なのかもしれないと考えた。
裏庭にある、小さな庭園のベンチで待ち合わせをしていたのだが、アルトはソワソワ落ち着かない。
何故、あの時間にあそこに居たのか?
もしかして、メイソンとの関係を知られているのでは無いだろうか?
考え出したら止まらなくなってしまっていた。
(どうしよう!バレてメイソンと引き離されたら……)
不安で不安で堪らないという顔をしているアルトの前に、眠そうにネクタイを緩めて制服を着崩したサミュエルが面倒臭そうに現れた。
遠くからでも、ブロンズの肌に長い黒髪は目を引く。
「なんだよ、話って……」
「立ち話も何だから、此処に座って」
アルトは自分の隣を手で叩いて、サミュエルに隣に座るように促す。
面倒臭そうに深い溜め息を吐くと、ドカリと荒々しくアルトの隣に腰掛けた。
「制服、そんな風にだらしなく着崩して……。ヤンキーみたいな王子だな」
思わず呟いてしまい、サミュエルが驚いてアルトの顔を見たのを見て、アルトは慌てて口を手で押さえた。
(やっちゃった~!心の声が、口から漏れちゃったよ~)
真っ青になっているアルトに、サミュエルは長い足を組んで膝に頬杖を着くと、アルトの顔を覗き込んで
「なぁ、何で俺が王子だって知っている?」
顔は笑っているけれど、目が笑っていないサミュエルに顔が引き攣る。
「成程。太陽の神子っていうのは、そういう事も分かるって訳か……」
関心したように呟くと、アルトの顎を掴み
「無知で純粋で、何にも知らないおバカちゃんのフリをして、あのイケメン執事をタラシ込んだ訳か……」
明らかにアルトとメイソンの関係を知っている口振りに、今度はアルトがサミュエルを睨み付けた。
「僕の部屋周りを嗅ぎ回って、何のつもり?」
アルトが叫ぶと
「太陽の神子が、どんな人物か知りたくてね。まさか、昼間っから男とあんな事をしているなんて驚きだったけど」
肩を竦めるサミュエルに、アルトが
「あんな事?」
と、首を傾げた。
「おいおい!とぼけるなよ。お前、全裸になってイケメン執事に自分の足の甲をキスさせてただろうが!」
「え?僕が?全裸になって、メイソンにそんな事を?」
サミュエルの言葉に戸惑いの色を浮かべ、アルトは慌てて口元を押さえた。
段々と顔色が悪くなり、震え出したアルトに
「え?お前……まさか記憶が無いのか?」
サミュエルはそう質問した。
「僕は……僕はメイソンに何をしていた?」
サミュエルに掴みかかって聞くアルトに戸惑いながら、サミュエルは自国で学んだ事を思い出した。
昔むかし、太陽の神に愛されてしまった男の悲劇の話を……。
そう考えると……昨日、アルトとメイソンの情事を偶然見てしまったあの光景は、全て太陽の神がしていた事なのかもしれないと考えた。
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