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モブにさえなれなかった男の決意
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ロベルタは傷心を抱え、アルトを殺したのは自分にも責任があると旅立ってしまう。
アルトから言わせてもらえば、自分一人が逃げ出すのでは無く、何故、一番辛いアリアナのそばに居なかったのだ!と文句を言いたい所だが、前世の自分が書いた作品が故に当たる所が無い。
ロベルタは優しい男だが、ここ一番に弱い男なのだ。
アルトは隣で微笑む可愛い可愛いアリアナを見詰めながら
(自分が生きているんだから、アリアナの破滅フラグを折りまくったら良くない?)
と考えた。
そもそも、前世の自分が考えた小説がもとの世界だ。
アリアナに幸せな未来を与えるべく、破滅フラグが立った瞬間に折ってやれば良い。
アルトはそう考え、実行に移す事にした。
まずは、アリアナをロベルタとさっさと婚約させてしまい、皇子に恋をさせなければ良いのだ。
何せ、アリアナは皇子と婚約していても、密かに思っていたのはロベルタだった。
でも、双子の兄を失い、最愛のロベルタも留学して失った悲しみから、その時に手を差し伸べてくれた皇子に執着してしまうのだ。
腹黒皇子の裏のある優しさと、ロベルタのように本当に優しい男とを見分けられなかった。
(まぁ……アルトを失うまで、アリアナはアルトとロベルタから無償の愛を受けて来たから無理は無い)
アルトは、月七のプロットを思い出す。
ロベルタは続編で、続編のヒロインを助ける役割として登場する。
留学を終えて国に戻ると、愛するアリアナが悪役令嬢になっていて処刑されていた。
全てを知ったロベルタは、アリアナの傍から逃げるように離れた事を後悔するのだ。
アリアナの墓前の前で泣き崩れるロベルタと出会うのが、続編のヒロインであるマリアンヌ。
平民で心優しいマリアンヌが働く居酒屋でストーリーは展開して行く。
攻略の鍵は、ロベルタの殺害されてしまったアリアナへの想いを癒す事。
(そんなに想い合っている2人なら、さっさとくっついちゃえば良いんだよ!)
握り拳を握り締めていると、アリアナに連れられて庭園に来ていた。
「アルト!」
声が聞こえて振り向くと、金髪にトパーズの瞳の色に優しい雰囲気を纏うロベルタが走って来た。
「ロベルタ!」
アルトが笑顔で答えると
「無事で良かったよ。ひと月も寝込んだと聞いて、心配したんだよ」
心の底から心配してくれているロベルタに、アルトは笑顔のまま
「ありがとう。ロベルタが、自分を責めてはいないかと心配だったよ」
と答えると、ロベルタは目をまん丸に見開いて
「どうして……分かるんだい?」
そう言ってアルトの顔を凝視した。
「ロベルタ、君は優し過ぎるからね」
「そんな……」
「でもね、ロベルタ。お願いがあるんだ」
「お願い?」
「そう」
アルトはそう言うと、ロベルタの手を握り締めて
「もし今後、僕に何かあった時、僕の代わりにアリアナの傍に居て護って上げて欲しいんだ」
と告げた。
すると、ロベルタとアリアナは目を見開き
「縁起でもない事を言うな!」
「そうですわ!これからもずっと、3人一緒ですわ!」
そう言って、怒り出した。
「うん!僕だってそのつもりさ。でも、人の寿命なんて、いつどうなるか分からないだろう?」
と答えると、アリアナとロベルタはキョトンとした顔をした後に
「アルト、どうなさいましたの?」
「アルト!急にどうした?」
二人に心配されてしまう。
(イケナイ!見た目は子供、頭脳は大人。これ、バレちゃまずいよな!)
「あはははは!何となくそう思って」
笑って誤魔化すアルトに、ロベルタとアリアナは「心配」という顔をしてアルトの顔を見つめていた。
「とにかく!ロベルタ。僕がアリアナを任せられるのは、ロベルタだけだからね」
とロベルタに言うと、アリアナが真っ赤な顔をして
「アルト!もう、その話は止めて下さいませ」
そう言って、両手で顔を隠してしまう。
(うんうん。今日も僕のアリアナたんは、最高に可愛い)
アルトがアリアナの可愛らしい仕草を見ていると、ロベルタはアリアナの手を取り片膝を着くと
「アリアナ。実は今回、アルトに何かあったら、僕は父上に海外留学をさせられる所だったんだ。同じ公爵家の人間として、責任を取らなくてはいけないと。でも、こうしてアルトが元気に戻って来てくれた。だから、アルトの前で言わせて欲しい。僕の婚約者になってくれませんか?」
と伝えたのだ。
(ロベルタ!でかした!!良くぞ言った!!ただのヘタレだと思っていて、悪かった)
心の中で拍手喝采を送るアルトを他所に、アリアナは益々顔を真っ赤に染めながら
「私でよろしければ……」
と答えた。
(腹黒皇子に出会う前に、アリアナの破滅フラグをまず1つ折ってやったぞ!)
アルトが場に似合わない万歳三唱をしているその時、BL展開へとゆっくりと物語が動き始めた事を、まだアルトは知らないのであった。
アルトから言わせてもらえば、自分一人が逃げ出すのでは無く、何故、一番辛いアリアナのそばに居なかったのだ!と文句を言いたい所だが、前世の自分が書いた作品が故に当たる所が無い。
ロベルタは優しい男だが、ここ一番に弱い男なのだ。
アルトは隣で微笑む可愛い可愛いアリアナを見詰めながら
(自分が生きているんだから、アリアナの破滅フラグを折りまくったら良くない?)
と考えた。
そもそも、前世の自分が考えた小説がもとの世界だ。
アリアナに幸せな未来を与えるべく、破滅フラグが立った瞬間に折ってやれば良い。
アルトはそう考え、実行に移す事にした。
まずは、アリアナをロベルタとさっさと婚約させてしまい、皇子に恋をさせなければ良いのだ。
何せ、アリアナは皇子と婚約していても、密かに思っていたのはロベルタだった。
でも、双子の兄を失い、最愛のロベルタも留学して失った悲しみから、その時に手を差し伸べてくれた皇子に執着してしまうのだ。
腹黒皇子の裏のある優しさと、ロベルタのように本当に優しい男とを見分けられなかった。
(まぁ……アルトを失うまで、アリアナはアルトとロベルタから無償の愛を受けて来たから無理は無い)
アルトは、月七のプロットを思い出す。
ロベルタは続編で、続編のヒロインを助ける役割として登場する。
留学を終えて国に戻ると、愛するアリアナが悪役令嬢になっていて処刑されていた。
全てを知ったロベルタは、アリアナの傍から逃げるように離れた事を後悔するのだ。
アリアナの墓前の前で泣き崩れるロベルタと出会うのが、続編のヒロインであるマリアンヌ。
平民で心優しいマリアンヌが働く居酒屋でストーリーは展開して行く。
攻略の鍵は、ロベルタの殺害されてしまったアリアナへの想いを癒す事。
(そんなに想い合っている2人なら、さっさとくっついちゃえば良いんだよ!)
握り拳を握り締めていると、アリアナに連れられて庭園に来ていた。
「アルト!」
声が聞こえて振り向くと、金髪にトパーズの瞳の色に優しい雰囲気を纏うロベルタが走って来た。
「ロベルタ!」
アルトが笑顔で答えると
「無事で良かったよ。ひと月も寝込んだと聞いて、心配したんだよ」
心の底から心配してくれているロベルタに、アルトは笑顔のまま
「ありがとう。ロベルタが、自分を責めてはいないかと心配だったよ」
と答えると、ロベルタは目をまん丸に見開いて
「どうして……分かるんだい?」
そう言ってアルトの顔を凝視した。
「ロベルタ、君は優し過ぎるからね」
「そんな……」
「でもね、ロベルタ。お願いがあるんだ」
「お願い?」
「そう」
アルトはそう言うと、ロベルタの手を握り締めて
「もし今後、僕に何かあった時、僕の代わりにアリアナの傍に居て護って上げて欲しいんだ」
と告げた。
すると、ロベルタとアリアナは目を見開き
「縁起でもない事を言うな!」
「そうですわ!これからもずっと、3人一緒ですわ!」
そう言って、怒り出した。
「うん!僕だってそのつもりさ。でも、人の寿命なんて、いつどうなるか分からないだろう?」
と答えると、アリアナとロベルタはキョトンとした顔をした後に
「アルト、どうなさいましたの?」
「アルト!急にどうした?」
二人に心配されてしまう。
(イケナイ!見た目は子供、頭脳は大人。これ、バレちゃまずいよな!)
「あはははは!何となくそう思って」
笑って誤魔化すアルトに、ロベルタとアリアナは「心配」という顔をしてアルトの顔を見つめていた。
「とにかく!ロベルタ。僕がアリアナを任せられるのは、ロベルタだけだからね」
とロベルタに言うと、アリアナが真っ赤な顔をして
「アルト!もう、その話は止めて下さいませ」
そう言って、両手で顔を隠してしまう。
(うんうん。今日も僕のアリアナたんは、最高に可愛い)
アルトがアリアナの可愛らしい仕草を見ていると、ロベルタはアリアナの手を取り片膝を着くと
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と伝えたのだ。
(ロベルタ!でかした!!良くぞ言った!!ただのヘタレだと思っていて、悪かった)
心の中で拍手喝采を送るアルトを他所に、アリアナは益々顔を真っ赤に染めながら
「私でよろしければ……」
と答えた。
(腹黒皇子に出会う前に、アリアナの破滅フラグをまず1つ折ってやったぞ!)
アルトが場に似合わない万歳三唱をしているその時、BL展開へとゆっくりと物語が動き始めた事を、まだアルトは知らないのであった。
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