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王様になった
トラブルと良いこと
しおりを挟むセシリオが対処したのか、引き起こしたんだか分からないトラブルの後も、毎週のようにフェルモからトラブルの事を聞かされた。
一ヶ月様子を見たが、ちょっとこれは不味いと、重い腰を上げる。
「メーゼへ、行く。我が子があまりにもトラブルを起こしすぎている」
「ならば私も行こう」
「エドガルド」
「我が子の事だ、親として口だしせねばならぬ」
「──分かりました、では」
「ぼ、僕も行きます、行かせて下さい」
「エリア?」
エドガルドは予想内だったが、エリアはやや予想外だった。
「僕も、言わなきゃいけない事があるんです……きっと」
「──貴方がそう言うなら、そうなのでしょう。分かりました、エリア。フィレンツォ、手配を」
「かしこまりました」
そうして、私は一番早い幻馬の馬車に乗って、メーゼへと向かった。
学内では問題を起こさないようにしているらしいが、学外だとトラブルを起こす我が子。
その理由を私は知りたかった。
「セシリオ、何故貴方は学外でトラブルを起こすのですか?」
屋敷に着き、家族以外が入れない部屋を作り、セシリオに問いかける。
「──許せないからです」
「許せない、何がですか?」
セシリオは鋭い刃のような視線をこちらに向けた。
「父上を間接的に侮辱された事です、アドリアを性的に見られた事です」
「……」
「私は父上を父上と公式で呼ぶことができない、それ故実父は故人ということになっています。それを馬鹿にする輩がいるのです」
「なるほど……」
「それは仕方ない。ところでアドリアが性的に見られているというのは?」
「どこかの誰かがアドリアの写真を撮ってそれを売っているので、使用目的は……性的な方法とだけ」
「オウフ……」
内容を聞いて、手で目を覆いつつ天を仰ぎ見る私の服をエリアが掴んでいた。
性的に搾取されていたエリアに取ってはあまりよくない事だろう。
「それが一番許しがたい事でした、私の可愛いアドリアを穢すなど……」
「あー……その写真ってどういうの?」
「……着替えの時などの半裸の物が特に多かったです」
「よーし、ガラッシア学院に直訴だ! 着替え中写真とか取る魔法とか術を禁止する術をかけて貰おう!」
「父上……」
「セシリオ、お前が心に重荷があるならそれを軽くするのが父親たる私の役目さ」
「有り難う、ございます……」
セシリオの目から一筋の涙がこぼれた。
私はガラッシア学院に直訴し、更衣室で写真などをとる術方法、を禁止し、またセシリオとアドリアの為、中性的な子の為に新しく更衣室を作った。
これで、セシリオとアドリアは安心と思った。
が、まだ解決はしていない。
購入した者がもういる、ので販売者から洗いざらい聞いて、売った相手から写真を回収した。
そしてセシリオの件は「セシリオの実父は亡く、だが私がその役目を果たしてきた、故にセシリオも我が子同然だ」と前々から国では公表していた事を、メーゼで公表した。
本当は我が子って言えたらいいんだけどねー、これは仕方ない。
それから少しの間滞在して、セシリオの行動が収まったのを見て私達は帰国した。
「最初からやってくれれば良かったのだ」
エドガルドは怒りのこもった声で言う。
「エドガルドの時はどうしてました?」
私は少し不安になって彼に聞く。
「殺意丸出しで睨み付ければ何もしてこなかった」
「……oh」
私の時は特に気にはしていなかったなぁと今更ながら思った。
「ダンテ陛下の時は私が目を光らせておりましたので」
「そうか、すまなかったなフィレンツォ」
「いいえ」
私はため息をつく、後手後手だな、と。
もう少し上手くやりたいものだが、情報がこない限りこちらからは動けない。
過干渉は不味い、実際に起きてからでないとできないのが歯がゆかった。
「王様という地位も存外便利なものではないな」
私はそう言ってため息をつく。
「ですが、ダンテ陛下が国王であるから今回の対処を取ることができました」
「そうだぞダンテ」
「……我が子の安全を祈るというのはこう言う事かと再度認識しました」
私は紙をかきあげて、息を吐き出す。
「何も起きなければ良いのですが……」
私はそう祈るように呟くしかできなかった。
その後は連絡内容は穏やかで、喜ばしい事があった。
ブルーノ、アンジェリカ、ディーノの三名が婚約を報告したとの事だ。
ブルーノは女性、アンジェリカは男性、ディーノは男性と婚約を報告した。
遭いに行き、それぞれが選んだ婚約者を見る。
皆人が良く、立派な人だった。
私が危惧することはないほどに。
ただ、セシリオと、アドリアの伴侶の事はなかなか伝わってこなかった。
見つからずに終わるのか、それとも──
そう考えて子等が四年生になった頃、セシリオとアドリアは婚約を報告した。
私とエドガルド、エリアは様子を見に行く。
「陛下……」
「父上……」
二人が頭を下げる。
それに合わせて、女性が一人頭を下げ、男性が二人頭を下げた。
「陛下紹介します、私の婚約者アンネッタです」
「アンネッタ・ラナンキュラスです」
「ち、父上……私の、婚約者の……」
「バルトロ・クレマティドと申します」
「ベルナルド・クレマティドと申します」
「ほぉ」
思わずそう声がでた。
「セシリオとアドリアはどうだね?」
「セシリオ様は優秀でいらっしゃいます、アドリア様も。ですが……」
「アンネッタ」
セシリオが咎めるように名を呼ぶ。
「セシリオ様はアドリア様に過保護でいらっしゃいます、クレマティド伯の双子とアドリア様がお付き合いなさると聞いた時それはもうすさまじい表情をしておりました」
「セシリオ」
エドガルドが困った表情で呼ぶ。
「父上、アドリアはあまりにも押しに弱いのです。この二人の押しに何度貞操の危機があったことか」
「ちょっとお待ちください、セシリオ殿下。私共はアドリア殿下が良いと言わない限り手出しはしてませんよ」
「しょぼくれた犬のような表情にアドリアが勝てるとでも」
「せ、セシリオ、お願いだからそれ以上は……」
「いやぁ、当時の私とは違う意味で波乱だな」
思わず私はそう笑って言ってしまった。
「父上?」
「陛下?」
「いや、何私は伴侶達を愛していたがそれ故手を出さなかったものだから伴侶達が一斉に押し倒して大変な目にあったよ」
「だ、ダンテ様」
「ダンテ……」
「ち、父上? 母上?」
「へ、陛下……父上……」
子等が凝固して私と生みの親であるエリアとエドガルドを見る。
「ダンテ陛下、すごいですね。俺達はアドリア殿下の色気に勝てませんよ」
「ああ、そうだな」
「バルトロ様に、ベルナルド様、少しは反省しなさいまし。ダンテ陛下はもう少し、伴侶の方々の思いに応えて差し上げてくだされば……」
「今はちゃんとやっているとも」
「はい、ダンテ陛下は伴侶の方々を皆愛しております」
「子ども等も、エドガルドの子セシリオも勿論」
「父上……」
「陛下……」
「お前達が今幸せなら私は拒否する理由がない」
「はい、幸せです」
「勿論です」
「なら、幸せにおなりなさい。愛し子よ」
そう言うと、五人は再度私に頭を下げた。
アドリアの婚約決定の宴は相変わらず騒々しかった。
まぁ、私の時と比べたらそこまで五月蠅くないからいいんだけどね。
アドリアは各国の王に恐縮しつづけていて、居心地が悪そうだったから、変わってあげた。
それぐらいしかできないけど。
ヴァレンテ陛下は相変わらずだし、カリーナ陛下も変わらず。
エルヴィーノ陛下は一緒に来たクレメンテとクレメンテの子ブルーノと話している。
勿論主役たるアドリアとも会話はしたが、エルヴィーノ陛下からすると弟と甥の存在が重要だろう。
何せ、可愛い弟の子どもだからね。
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