ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~アフターストーリー~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
37 / 42
王様になった

孫と子と自分の先

しおりを挟む



「アドリアはディーノと仲が良いのか?」
 同じぬいぐるみを引っ張り合うのではなく、互いにもぐもぐとするカルミネとの息子ディーノと、エリアとの子アドリアを見て私は言う。
「かもしれませんね」
「そうだな」

「ダンテ様、のんびりしている暇はありませんよ! 今日は最初の子の皆様が帰ってくる日!」
「分かってるすぐ向かう」
 フィレンツォに言われて私はベビールームみたいな場所を立ち去ろうとする前に皆に言う。
「では、行ってきます」
「「「「「行ってらっしゃい、ダンテ(様)」」」」
 見送られて子等を出迎える準備をする。


 正装を身に纏い、冠を被り、子を出迎える。


「ただいま帰りました、お父様」
「ただいま戻りました、お父様」
「ただいま戻りました、父様」
「ただいま帰りました、父上」
「皆よく、帰ってきた。学院生活はどうだったのだ?」
「良い人達と巡り会えました」
「私は主席で卒業しました。他の皆も成績優秀者として卒業を」
「頑張ったのだな。今宵は宴の後ゆっくり休むがいい」
「「「「はい」」」」

 そして帰国の宴では──

「証の子が生まれたの?! エリアさんとの子?!」
「こらこらブルーナ声が大きい」
「出産大変じゃなかった?」
「ああ、一日中かかったよ」
「良かった、妊娠後の手入れ商品購入しておいて」
「いや、こちらでもしているよ?」
「それでも!」
「父様、アルバート父様はどうなさって?」
「お前の妹、アンジェリカの世話で今忙しくてな。私も付いていようか悩んだが、全員に子どもの出迎えしてこい発言されていたのでここに居る」
「では父上、宴はこの辺にして私達に妹、弟達に会いに行きましょう」
 デミトリオがはっきりと意見を述べた。
 述べるようになったというべきか。
「……よし、そうするか。フィレンツォ!」
「かしこまりました」
「宴はこのあたりでお開きとさせて貰う、代わりに皆に土産を持たせよう、持って行くといい」
 貴族達に土産の品を持たせて、帰らせると、私達は急いでエドガルドやエリア達のいる部屋へと向かった。

「ただいまお母様」
「ただいまアルバート父様」
「ただいまカルミネ父様」
「ただいま母上」

 皆驚いた表情を浮かべていた。
「宴は?」
「子ども達が妹、弟達に会いたいと言うので早めに切り上げました」
「全くお前という奴は」
「ふふ、すみません」
 エドガルドが呆れて言うので、笑みを浮かべて謝った。
 エドガルドも呆れてはいるがそれ以上にうれしさが隠せないようだった。
「公式には載せられないが、エドガルドの子が第五子ということだな」
「載せられたらいいのに……」
「私達家族だけの秘密だ、すまないな」
「はい」
「アドリア……この子もセシリオと同じ両性具有なんですね」
「ああ、そうなる」
「生まれてきた子達、皆が良い人生を歩めるといいのだがな」
「そうですね」
「エドガルド叔父様の子、お父様にそっくりねそれにしても」
「いや、大人になればどうなるか分からないぞ?」
「そうかしら?」
 ブルーナは意味深な事を言う。
 この子の言うことは結構当たるので、大人になったときがちょっと怖い。


 やがて、春になると、皆結婚して城から離れていった。


 それでもしょっちゅうのように会いに来るデミトリオとアルフィオも居れば、たまにだけど、大荷物を抱えてくるブルーナとディアナが居た。


 ディアナは伴侶が同性、かつ家を継ぐことになったので、同性が妊娠する魔術を使ったところ、ディアナの伴侶のアメリアが妊娠した。

 アルフィオも伴侶が同性で、子どもが欲しがったので同じく魔術を使ったら、伴侶のアルバーノが妊娠した。


──あらやだ、うちの子、攻め気質多過ぎ?──
『まぁ、気にするな。アルバートとカルミネの影響が強かったんだ』
──あー、あの二人攻め気質あるキャラだったもんなぁ──

 と、今更ながら前世で攻略していた頃を思い出す。


 それから十月十日くらいが経過した頃、二人の子どもが生まれた。
 孫の誕生である。

──お祖父ちゃんになってしまったねー──
『赤ん坊のお前の子はおばさん、おじさんだぞ』
──年の差あるある──

 そんな事を考えながら、大きくなった子等の相手をしていた。




 四年が過ぎると、デミトリオと、ブルーナの所も赤ん坊が生まれたと報告が来て見せて貰った。
 可愛い女の子と男の子の赤ちゃんだった。


 どんどん、お祖父ちゃんになっていくなと考えつつ、おばさんおじさんと言われることになるまだ小さな五つになった位の我が子達の事を考えるとちょっとだけ複雑だった。


──もっと早く妊娠して貰えばよかったのかな?──


 とか重いはするものの、自分たちで決めたのだからとその考えを放棄した。





「父上、母上と愛し合ったから奇跡的に生まれたのですか僕は?」
 十歳になるころ、セシリオはそう言った。
「そうだね、奇跡的に生まれたというか神様のご褒美かな」
生の苦しみクィパティ事件の事ですね」
「そうそう、エドガルドはね、ずっと悩んでいたんだ私を愛するあまり苦しむ程に」
「母上が?」
「そう」
 セシリオの頭を撫でる。
「神様に私がお祈りをしたら、その事件を解決したご褒美として一人──お前を授かることができたのだよ」
 そういうとセシリオは頷いた。
「わかりました、父上。僕は僕なりに母上を支えたいと思います」
「頼んだよ」
 セシリオは何処かエドガルドに似て育っていった。

「ダンテ陛下」
「どうしたんだいフェルモ」
 フィレンツォの息子で、今の子ども達の執事をしているフェルモが私の元に来た。
「アドリア様なのですが……」
「どうしたんだい?」
「魔力が高すぎなのにうまく制御ができないので、個別に専門の教師をつけるべきかと」
「フィレンツォ」
「かしこまりました、私が教えます」
「父上が?!」
「ここでは執事長ですよ。フェルモ」
「し、失礼しました」
「では、ダンテ様、アドリア様の個別教育へ参ります」
「ああ、宜しく頼む」



 無理もあまりしなくなった私はフィレンツォに別の仕事も命じることができるようになった。
 子どもが大きくなったこともある。
 少しずつだが、いつか来る終わりを想像することにした。

 死ぬのはまだ怖いが、いつか来る。
 その時は一人じゃないんだ、皆がいる。

 と、思うようになった。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

処理中です...