27 / 42
そして親になる
子ども達の成長~理不尽なパパ嫌期(それはしゃーないfrom神様)~
しおりを挟むディアナとアルフィオはそのままだが、デミトリオとエリアが心配だった。
「デミトリオ、どうしたんだい?」
「パパ。ママはどうしたらわらってくれるの?」
「どうしたら笑ってくれるんだろうね? 一緒に考えようか」
「うん!」
ソファーに腰掛け、向こうで必死に笑おうとするエリアと、それができず落胆する彼を慰めるカリオさんがいた。
「……」
「ダンテ、次は何があった?」
エドガルドが声をかけてきた。
「エリアがなかなか笑えないので、それをどうするべきか……」
「笑うときはあるぞ?」
「え?」
「デミトリオ、少しだけ目をつぶっていなさい、お前のパパがママを笑顔にするから」
「え゛」
「うん!」
目を閉じ、覆うデミトリオに慌てふためく私と、それを聞いてやってきたエリア。
表情は暗い。
「ダンテ様……」
「ダンテ、エリアに口づけをしてやれ」
「へ?!」
「いいから」
周囲に他の子やアルバート達がいないのを確認して、私はエリアを抱きしめて口づけをした。
そして口づけを終えるとうっとりとした表情のエリアがいた。
「エリア、貴方は頑張ってます。だから私もこれからもより貴方を愛したいと思いますよ」
と囁けば喜色満面になっていた。
「ママ、わらってるー!」
デミトリオがパタパタと駆け寄ってきた。
「ねぇ、パパ。どんなまじゅつをつかったの?」
「大きくなったら教えてあげるから、今は秘密だよ」
「教えてね! 教えてね!」
忘れてくれることを期待しつつ、多分覚えてるんだろうなぁと思った。
──うちの子、みんなあたまいいもん!──
親馬鹿と言われようと、事実なもんは仕方ない。
うちの子は頭がいいんだ、フィレンツォのお墨付きがあるしね。
『まぁ、ダンテ様ほどではありませんが』
と後付けで言われたが、あんときはエドガルドが私を強姦する事件を防ぐのに必死じゃったから訳が違うんじゃ訳が。
とは言うことなどせず、お口チャックで乗り切る。
そんなこんなで育児でわたわたしていたら六歳になった途端子ども達が──
「「「「ひとりでねれます!」」」」
とそろって言ってきた。
ので、取りあえず、一人で寝られるかお試しで自室にベッドを用意し、試してみた。
ブルーナは一回もこず。
アルフィオも同様。
ディアナも同様。
デミトリオが初日一人で寝られないと来てからは一人できちんと寝ているようだった。
フィレンツォ達の監視の結果、独り寝させても問題ないという事になった。
大体私もそのくらいの年頃に独り寝を開始していた気がする。
かくして、親離れの第一歩として、子ども等は皆一人で寝るようになった。
少しだけ寂しいが誇らしくもあった。
「で、こうなるのですね」
伴侶達──エリア、クレメンテ、アルバート、カルミネの四人とエドガルドにベッドの上で囲まれた私はそう呟いた。
「子ども達は一人で寝られるようになったのだ、なら私達と一緒にまた寝ても良いだろう」
「確かにそうですが……」
「今日は何もしないからな」
「今日は?」
「……まぁ子ども達が大きくなるまでは禁止だな」
「はははは……」
エドガルドの言葉に私は乾いた笑いを浮かべた。
とりあえず、隣で寝るのは誰かとなり、エリアとクレメンテが両隣その隣にカルミネとアルバート、端にエドガルドという風になった。
「公式的に伴侶じゃない私が隣で寝るのは問題だろう」
エドガルドはそう言って端っこに眠った。
子ども達が大きくなったら反動が来そうだなと思いながら了承した。
子ども達は勉強をするようになった。
各自教師役が付き、勉強を教えるのだが。
ブルーナが勉強を嫌がった。
「エドガルドおじさまがいい!」
と駄々をこねてエドガルドを指名。
エドガルドが教える事になった。
何かこの子将来結婚相手エドガルドがダメだと分かるとエドガルドに似た相手を探しそうだなと思った。
『案外予想できるものだな』
──マジすか──
神様に言われて、私はげんなりした表情を浮かべた。
『その子はエドガルドと結婚したいと言い出して泣くぞ、エドガルドは血縁上無理だと答えるがな』
──いつ頃──
「びぇええええ!!」
『今』
──マジかよ!──
私はブルーナの部屋へと慌てて移動した。
「ブルーナ」
「パパ、な゛ん゛でおじざまとはけっこん、できないの゛ー!」
「エドガルドは私の兄で比翼副王だ。結婚はできないんだよ、血縁的に」
「な゛ん゛でお゛じざまは、パパのおにいちゃん、なの゛ー!」
「な、何でと言われても……」
「びぇええええええ!!」
エドガルドも困り果てているようだった、クレメンテがやって来て、ブルーナを抱っこし別室へと連れて行った。
──ど、どうしよう!?──
『安心しろ、クレメンテが何とかする』
──どうやって?──
『……内緒』
──うがー!──
『まぁお前は知らん方がいいわけだ』
──ちくせう!──
しばらくすると、ブルーナはひっくひっくと嗚咽をこぼしながらクレメンテに抱きかかえられて戻ってきた。
「すまない、しばらくはブルーナの教師役は別の人に頼めないだろうか、できれば既婚者に」
「分かりましたそう手配しましょう。フィレンツォ」
「かしこまりました」
フィレンツォはそう言ってその場を立ち去った。
「パパ……」
「ど、どうしたんだい、ブルーナ」
「……パパのばか、ひとたらし」
「何処で覚えたのそんな言葉?!」
するとクレメンテは苦笑した。
「しばらくはこんな感じが続くと思うが、頑張れダンテ」
「そんなぁ……」
──実の娘にそう言われるのは堪えるよ──
クレメンテの言う通り、パパ嫌期に突入したブルーナに私はべっこべこにされるが他の子達に慰められたり、エドガルド達に慰められる等して何とか乗り切った。
ブルーナのパパ嫌期が落ち着くのには一年かかったが、これから思春期というものがある。
また、子等が全員パパ嫌期に入ったら私死んじゃうんじゃ無いかと不安があった。
『安心しろ、それはない』
と、神様のお告げがあったものの、安心できずグロッキー。
思春期とは複雑なものだから怖い物は怖いのだ。
『全く臆病だな』
──ほっといてくだせぇ──
臆病で何が悪いと思いながら、子等の成長が楽しいのに、ちょっと怖いという状況にある私であった──
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる