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新婚生活
ただいま、新婚生活満喫中
しおりを挟む私の名前はダンテ・インヴェルノ。
前世の名は高坂美鶴。
パワハラクソ上司に殺された結果、それが本来あるはずのない出来事だということでなんやかんやあってTS異世界転生しました。
転生した異世界は18禁BLゲーム「冬の愛を暁は歌う~愛の輪舞曲~」の舞台となった世界。
いやー実際あるとは思わなかったし、できるとは思わなかったですよ。
そこのゲームの攻略対象全員とくっつくハーレムハッピーエンドを一応迎えました、ゲーム的に言えば。
ですが、私の人生先が長い!!
新婚になったばっかり!!
さてどうしようと考えています。
『さっきから現実逃避して、結婚式が終わって初夜で五人にしこたま搾り取られた奴の発言とは思えないぞ、あとついさっきも搾り取られてたな』
「神様、そういうセクハラ発言やめれ」
私をTS転生させた神様に文句を言う。
神様は私が大往生するまで付き合うらしいので、私が死ぬまでお別れということはない。
『む、そうだったな。失言だったすまない』
「そういう発言はメーゼに居た時だけでもうお腹一杯なんすよ、毎晩五人の相手してるとか噂たった時はエドガルドが鬼の形相で噂元潰しにかかりましたから」
『まぁ、そういうお前は解釈違いなんだろう』
「解釈違い……まぁ、そういう性欲満載な人間じゃないですからねぇ私」
『五人の相手をすると言っても一人ずつが基本だしな』
「そうじゃないと無理無理、無理ゲー」
私はそう返す。
『意識ぶっ飛んだお前ならできるっぽいが?』
「何か全員のトラウマになってるっぽいからそれは二度とない」
『だろうな』
神様も語らぬ、ぶっとんだ私とは一体どうなっていたのだろうか。
知りたくはない。
『さて、結婚したとすればだ、勿論色々とあるだろうが前世ではある事をする者も多いだろう?』
「……新婚旅行?」
『その通り、戴冠式――基現在の王が退くまでは時間はたっぷりある、だから新婚旅行も楽しむと良い』
「へーい」
目を覚まし、自分の横隣りで寝ている大切な人達を起こさないようにベッドから下りた。
着替えて、リビングへと向かう。
「フィレンツォ、おはよう」
「おはようございます、ダンテ様」
現在私たちはインヴェルノ王家の別荘に来ている。
城で色々ありすぎたので、疲れたということで、別荘に避難している。
なので――
「ダンテ、元気にしているか」
「ごきげんようおばあ様。はい元気にしています」
私の祖母にあたる、先代の王リディア・インヴェルノが近くに住んでいるのでちょくちょくお顔を見せにいらっしゃる。
「お前は本当に素直だな、ジェラルドは我儘し放題で私の手を焼かせたものだ」
「……今の父上からは想像できませんが」
「アイツも親になったという事だ。それにアデーレがいる。彼女がいる限りジェラルドはアホな真似はせんだろう。もししたらアデーレに叱られるだろうしな」
「母上御強い……」
実際目にしたのでそういうしかなかった。
「アデーレは昔からしっかりしていたとも、しっかりしすぎていて不安だったが、杞憂だったようだ」
祖母はそう言ってロッキングチェアに腰を掛けた。
私の別荘で彼女はいつもそこに座っている。
「ところで朝食は食べたか?」
「五人が起きたら一緒にたべますよ、一人で食べると本当に食べたか疑われる時がたまにあるので」
「なんだそれは」
「私が目を離している間に食事をとることがたまにあるのですが、どうも皆さま信じないようでして……」
「……そうか、五人の相手はやはりきついか」
「おばあ様、お願いですからそういう発言はやめてください」
「そうだな、すまない」
何故こうも、私と皆の夜の性活についていってくるのか。
セクハラ発言は将来しないよう心がけよう、大事大事。
――前世でもセクハラ発言は死すべしって思ってたからね――
「ダンテ、おはよう」
「ダンテ様、おはようございます……」
「ダンテ、おはようございます……」
「ダンテ、おはよう!」
「ダンテ、おはよう。お前ちゃんと寝てるのか?」
「おはようございます。ちゃんと寝てますよ」
皆が私に挨拶をし、最後にいつものように私を心配するカルミネの言葉にいつものように返す。
「だから、普段は皆より遅く起きるじゃないですか」
「それはそうですが……」
疑いの目をする皆から目を逸らす私。
ぶっちゃけるともう無理する必要が王様になるまでないのでのんびりやっていくだけなのだから無理してはいない……つもりだ。
「……ダンテ、お前は私に似ているな」
「おばあ様に?」
「ああ、私は昔無理をしがちだった――が、伴侶にロンディネに止められてな、漸くやめる癖がついたものだ」
「そうだったのですね……ところでおばあ様の伴侶は?」
「ロンディネは人見知りでな、孫のお前にも少し会うのに怯えている。勘弁してやってくれ」
「分かりました」
「……物分かりの良さはアデーレ似か……」
祖母はそう呟くと、ふぅと息を吐きました。
どこか悲しそうな、寂しそうな吐息でした。
「ロンディネ様について知らないか、ですか?」
朝食を取り終え、祖母が帰ってから私はフィレンツォに問いかけた。
「私が知っていることはその……両性具有の御方だと」
「両性具有……稀に生まれる御方ですね」
「ええ、学生時代から姿を隠す御方で、リディア様が公務に出られる際も、布で全身を隠す御方だったと」
「……もしかして、父上と母上位か? 姿を見たのは?」
「でしょうね、それ位自分の姿を隠したがる御方だと父上達から聞いてますので」
「……」
稀という事で、きっと何かあったのだろうと、私は思った。
姿を見せる事をためらう程に、きっと何か理由があるのだろうと。
重い理由なら仕方ない、軽い理由なら――まぁ、それそれでだ。
『祖母の伴侶が姿を隠す理由が気になるか』
――そりゃ多少は――
『すぐわかるぞ、お前の性質からな』
――はい?――
『まぁ、重くはないから安心しろ』
神様の助言、一体何なんだろうと思いながら、エドガルドやエリア達といちゃつきつつその日を過ごした。
翌日、遅く目を覚ますと、皆がまた私の顔を覗き込んでいる。
――なーんで私が遅く目を覚ますとこうなのかなぁ?――
「ダンテ、おはよう……体の調子はどうだ?」
「大丈夫ですよ、おはよございます」
そう言って体を起こしため息をつく。
「そろそろ私が起きるまで顔を覗き込むのはやめません? 心臓に悪いんですが……」
「ダンテ、貴方学生時代のやらかしを忘れたとはいいませんよね?」
「すみません、私が全て悪かったです」
クレメンテに指摘されて即座に謝罪した。
正直、正直に言って、仕方なかった案件だと思うんだけども、そうじゃない案件が多すぎるので私が悪いとしか言いようがない。
「ダンテ様」
「ん? どうしたフィレンツォ」
「リディア様と、ロンディネ様が――」
「は?」
――神様、すぐ分かるとは言ってましたが、すぐすぎやしません?――
『だからすぐっていっただろう?』
――すぐすぎるわ!!――
予想外の「すぐ」に私は困惑しながら、身を整えて部屋を後にした――
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