塔の上のお姫様

琴葉悠

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お姫様の願い

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 お姫様のお母さんは人間でした。
 それを快く思わない人と魔族によって亡き者にされました。
 それを見たお姫様は成長することを止めました。

『おとなはひきょうだ』
『おとうさまとおかあさまいがいのおとなのほとんどはきたない』

 そう思うようになりました。
 だからずっと子どものままの姿と心になってしまいました。


 そのため守り人も、お姫様の警戒を解くために、小さい姿をしています。
 本来の姿は大人なのですが、お姫様のためだけに小さくなっています。

 お姫様は知りません、知ってはいけないことですから。



 塔の上で、お姫様はずっと待ち続けています。
 死んでしまったお母さんが帰ってくる日をずっと。


 そんな日は来るわけはない、そう分かっていても、帰ってくる日を待ち続けているのです。



 王様は、そんなお姫様を守る為に、塔に幽閉しています。
 側で守る事ができない状態だからです。
 魔界は危険です、力の弱い子どものお姫様には危険です。

 ですから、塔の中の閉じ込めました。


 塔の最上階が最も安全な場所。
 誰もいけない高い場所、そこがお姫様のお部屋です。

 お姫様は今もその場所で待っています。
 お母さんとお父さんが自分を迎えに来て、また幸せに暮らせる日を──





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