旅するレストラン~六神王の巫女と紅き王の花嫁~

琴葉悠

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紅き王の花嫁

事情聴取~紅き王の言い訳と他の神王の説明~

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「ほら、紅。ちゃんと説明しなさいよ!」
「お前が余計な事をしなければ……!」
 緑さん達に責められ、紅き王は怒ってらっしゃった。
「あの、もしかしてそう言う契約が本当は嫌だったとか?」
「違う! 最初はただ放っておけなかった。鑑定の力もアイテムボックスについても何も分からぬスキルが珍しい娘を放置するのは危なっかしいと」
 紅き王は慌てて仰る。
「……青達が来る前に、他の奴らの者になるのが癪だと思い自分の妻としての契約に変えた……」
「この契約をすると何かあるんですか?」
「つまりね、この契約があるものを犯そうとすると、紅の魔法の加護でそういう連中は燃えちゃうの、オークとかも同様よ」
「Oh」
「それに合わせて私達の加護もあるから貴方に危害を加えようとすると俗に言う神罰が下るから手出しはできないでしょうねぇ」
「あの、それじゃ大丈夫なんじゃ?」
「そうでも無いわよ、ダンジョンの罠とかたまに効かないモノもあるから」
「Oh」
「毒とかは平気だけど、落とし穴とかはちょっと効かないからねぇ」
「なるほど……」
「ステータスはほとんどの人が見えないモノだからあんまり気にしないでいいわよ、鑑定もできるのは私達神王とその加護を持つ者、異世界人くらいだから」
「……じゃあ私もなるべく見ないようにします」
「え、どうして?」
 緑さんが言う。
「いや、ステータスとか見ると、なんか自分の短所とかが気になり出すので、今まで通り皆様の目を通して何かあったら報告でいいです」
「そう、ならそれで良いわ」
「あと、紅き王」
「な、なんだ?」
「ちゃんと好きになってからそういう加護をつけてください」
「好きに決まって──!」
 紅き王は其処まで発言して、顔を真っ赤にした。
 黒さんと青さんは無表情だったが、女性陣はによによしてて──
「貴様等──」
「きゃー! 暴力反対ー!」
「そんなことしてると嫌われちゃうわよー!」
「そうよそうよー!」
「五月蠅い黙れー!」
「とりあえず、ステータスは消すか」
 黒さんが画面に触って消す。
「お前達、遊んでないで黙って待てないのか」
 黒さんがたしなめるように言う。
「これが遊んでいるように見えるのか貴様には!」
 黒さんに、紅き王が噛みつく。
「見える」
「うがー!」
「あのーリヴァイアサンの解体と買い取り終わったので来てもらえますか?」
 メルトさんが呼びに来た。
「そう言えば、れすとらん、だしてないんですよね」
「ギルドマスターさんに許可とってないので……」
「おう、そういえば、れすとらんって大衆食堂があるんだよな?」
「そこの空き地使って良いですか?」
「おう」
 私は空き地に近づきすぅと息を吸い込み。
「旅するレストラン!」
 と叫ぶ。
 バーンとレストランが現れる。
「こいつがれすとらんか」
「美味しい料理がたくさんありましたよ」
「何だと⁈」
「それはそうと買い取りの金額を」
 どざっと袋を二つ渡された。
「白金貨156枚と金貨541枚です」
「うわ……」
 とんでもない額な気がして白目をむきそうになりました。
「では、私も利用させて戴きますね」
 メルトさんが入って行く。
「私達も食事にするか、疲れた」
「そうですね」
 まだ喧嘩中の紅き王達も宥めて、食事にすることに。
 ちょっと気になるので一般席をのぞいてみると──

「おい、このタイのニツケってすげぇうめぇぞ! 少し値が張るが食う価値ありだ! 魚の旨みがほろっと崩れて黒っぽい液体と相性がいい!」
「生魚食うなんてやべぇと思ったけど、この店の生魚は食える! ショウユと合わせると最高だぜ! それとニホンシュって奴もいい!」
「ああ、俺もだ!」

 大盛況のご様子、VIP席に戻ると、紅き王達が待っていた。
「カズエちゃん、食べましょう?」
「はい」
 私は椅子に座る。
「おい、カズエ、お前の座る場所は我の隣だ」
「えっと……」
「独占欲丸出し~~?」
「嫉妬~~?」
 緑さんと黄さんがくすくす笑う。
「貴様等ー!」
「ここで喧嘩は御法度です!」
 私が大声で三人を止める。
「そうだな、悪かった」
 私は紅き王に引っ張られて、隣の席に座る。
「今まで隠していた分独占欲丸出しねぇ」
 白さんがくすくすと笑う。
「白……」
 紅き王が不服そうな顔をする。
「……緑が余計な事をせねばあのままでいれたものを」
「なぁに、紅はカズエちゃんに知らせないままでいたかったの?」
「自分から言うつもりだったのだ!」
 紅き王はふんとふてくされたご様子。
「まぁまぁ、皆さん食事にしましょうよ、ね? ね?」
「そうだな」
 皆さんが同意してくれたので食事にすることにした。


「今日はカレーライスにしようっと」
「そうか、では我もそうしよう」
 紅き王が仰った。
「あら、いつものステーキとビーフシチューにローストビーフじゃないのね」
「たまに違ってもいいだろう」
 緑さんが紅き王に言う。
「これで堂々とカズエちゃんとおそろいのものが食べられるんですものねー?」
「黄その口を閉じろ」
 黄さんは紅き王に睨まれてるがニコニコしている。
「け、喧嘩はしないで、ください、ね?」
「分かっている」
「分かってるわ」
「みんな、あんまり紅をからかっちゃ駄目よ」
「そうだな」
 そんな事を話していると──
「オーナー」
「何ですか?」
「緑神王の巫女と緑神王様との面会をとギルドから呼び出しが」
「緑さんと、私?」
「急ぎかしら?」
「はい、そのようで」
「じゃあ、食事は後にして行きましょうか」
「我もついて行くぞ。くだらない要件なら燃やしてくれる」
「じゃあ、そうならないように私達も行きましょうか」
 と、結局皆様ついてくることに。
 ギルドにたどりつくとエルフらしき人が居た。
 側にはギルドマスターのジンさんも。
「おお、カズエ。来てくれたか、ありがとよ」
「巫女様に緑神王……いえ六神王様方、来て下さり有り難うございます」
「それで、要件は何なのかしら?」
「それは──」
 エルフさんが話すには、エルフの里ではやり病が発生したのだと。
 ちょうどこの方は里を出ていたから病にはかからなかったが、魔法で送られた手紙には相当深刻であることが書かれていた。
「おかしいわね、エルフは薬に長けてる種族よ?」
 緑さんが首をかしげる。
「そうなんです、エルフの秘薬も効かない病なのです」
「エルフの秘薬が効かないとなると……残りはエリクサーだけになるわね」
 緑さんが困ったように言う。
「じゃあ、これからすぐ行かないと!」
「そうね、加護持ちのカズエちゃんは大丈夫だろうけど、貴方は大丈夫なの?」
「そこはすみません、案内はできないので地図を……」
 そう言ってその人は地図を渡した。
「ここね。行きましょう案内するわ」
「あ、お店しまわないと……」
「そうねぇ」
 いったんレストランをしまうべく戻ると──
「それならしまわなくても問題ありません」
 と店員さんが説明しだした。
「この距離なら問題なく店として存在し続けられます」
「じゃあ、開けたままいくね」
「はい、行ってらっしゃいませ」
 なんとか店をあけたまま行くことができた。
 紅き王の背に乗り、空を飛ぶ。
 緑さんが先行する。

 エルフの里、どんな場所なんだろう?
 排他的だと困るなぁ。
 そんな事を考えながら私は過ごしていた──





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