14 / 27
六神王と一緒~過去にさよなら~
同級生達との決別~私は『外れ』スキルです!~
しおりを挟む翌日、ギルドから呼び出された。
「何でしょうか」
「魔王の国からなんじゃが、そこで捕まった『勇者一味』についてカズエ、お前さん何かしっとるかの? 同じく呼び出された身じゃし」
その問いに私は首を振った。
「まだ情報共有されてないと思いますが、私は『外れスキル』だとお金をわずかに持たされて追い出された身です、だから何も知りません」
正直に言った。
「なるほど、となると向こうが嘘をついてることになるのぉ」
「嘘?」
「『召喚された奴の中で俺達を置いていった奴がいる、そいつがこの国に報復してくれるはずだ‼‼』とのことじゃ」
私は呆れて言葉を失った。
そんな人居ない。
居たとしても知らない。
「知りません、居たとしても追い出された私には関係無い話です」
「そうか、分かった。ではそれを国王陛下にも報告しておこう」
「お願いいたします」
私達はギルドを出た。
「ちょっとそこの君」
「はい?」
「君、ゾナール王国の異世界人召喚の儀で追い出された子だよね」
「‼」
何で知っているんだろうと驚いた。
「ああ、驚かせてごめん。私も同じく召喚されたんだが、うさんくさくて武器を貰ってすぐ城から逃亡したんだ」
「え」
「で、各地を転々としている中、召喚された『旅するレストラン』なる建物を出す少女がいると聞いて探し回ったんだ、良かったら一緒に旅をしようと思って」
「ごめんなさい、私もう一緒に旅する人達がこんなにいるので……」
「そういうことだ諦めろ」
「そうか……なら仕方ない、でも情報を交換しないか」
「それくらいなら……」
私は紅き王達のことを伏せて、情報を交換した。
相手はサイカサトルさん。サイカと名乗っているらしい。
ランクはBランクの冒険者、単独で、凄い。
魔王の国の情報を得て、関わらず一人で旅をしていたそうだ。
「魔王の国に行くつもりですか?」
「まさか、あの国は不可侵だよ。行くつもりは無い。それにゾナール王国は滅んでしまったしね」
「……」
「文句の一つや二つ言いたかったし、帰る手段を探してるけどないっぽいからこの世界を精一杯生きてるつもりさ」
「そう、ですか」
「それに、この世界に来て恋人ができてね、結婚もしているんだ」
「ふえ」
なにげに異世界満喫してない、この人。
「その恋人さんって」
「この街の鍛冶屋の娘さんさ、一人娘だったから入り婿は歓迎されたよ」
「じゃあ、この街を拠点に今は活動してるんですね」
「ああ」
「で、君のレストラン入ってみたよ。豪華なファミレスって感じだったけど、値段はお手頃、たまに来てくれると嬉しいんだが……」
「それなら、是非!」
「本当かい、有り難う」
「では」
「では、君は仲間が多いようだから大丈夫そうだけど、気をつけるんだよー!」
そう言ってサイカさんは去って行きました。
「話は終わったか」
「はい」
「あの男、嫁がいるようだな、なら良い」
「ふへぇ?」
「あらあら、カズエちゃん本当に鈍いのね」
紅き王の発言に首をかしげていると、緑さんがくすくす笑った。
「此奴はそれでいい」
「本当かしら~?」
「どうだかな~?」
緑さんと青さんが煽る、止めて、喧嘩になっちゃう。
「はいはい、喧嘩はしないの、煽らないの」
白さんがすぐに間に入って止める。
「全くもう」
私は首をかしげるばかりだった。
翌日──
「よし、じゃあレストランを開きましょう」
「うむ」
「朝ご飯ね」
そう言ってレストランの扉が開かれる。
「私はとろろご飯の生卵抜きでお願いします」
「畏まりました」
紅き王達もそれぞれ注文していく。
とろろは普通の山芋のものとは違う味わいをして出汁も美味しかった、もしかして自然薯?
そんな事を思いながら味噌汁を流し込む。
「ふぅ、今日も美味かった。ハンバーグなかなかの肉汁だったぞ」
「今日もパフェは美味しかったわ~」
「フルーツタルト、フルーツの甘く瑞々しい感じと土台もサクサクして美味しかったわ」
「今日も刺身定食は美味い、魚が新鮮だ」
等など言っている。
「そろそろベルド戻るか」
「では、ギルドに連絡をしましょう」
「そうだな」
私達はギルドへ向かう。
「おお、お前さんか! 実はな、王室がお前さんを読んでてな」
「うへぇ」
帰る予定がずれそうになった。
「一体何の用だ」
「今この国に魔王が来ている」
「え゛⁈」
「秘密裏だがな」
「……」
「そこでお前さんが本当に無関係か確かめる、念のためもう一人呼んでる」
「……」
「頼む、行ってきてくれ!」
「わかりました、行きましょう。紅き王」
「仕方あるまい」
私は店を閉め、そのまま王都へと向かった。
夕方には到着し、王宮へと向かうとすんなりはいれた。
「サイカさん?」
「やぁ、カズエちゃん、僕も呼び出されてね」
「そう、なんですか」
サイカは困ったように笑った。
王宮の一室に呼び出され、王様と──多分魔王様がいた。
「罪人共をここへ」
と言うと、縄で縛られた同級生達が姿を現した。
「お前達のいう仲間はその娘か」
「ちげーよ! 女の方なんかじゃねーよ、そっちの男だ!」
同級生だった男子はそういってサイカさんの方を見た。
「と、言っているが」
「悪いですが私はあの国のうさんくささに気づいて逃亡した身です、魔王様に刃向かうなど考えておりません」
「黒き王よ、その通りですか」
「その通りだ、この男の言葉にも、そこの男の言葉にも嘘はない」
「な、なんで助けてくれないの!」
「助けてよ!」
「助けろよおい!」
「どうせ、侵略行為で魔族の一部を殺したのだろう」
「その通りだ、故に罪人として処罰する」
「なあ和恵助けてくれよ!」
「……無理、既に手を出してるなら私にはどうにもできません、私『外れスキル』なんで」
今更ながら助けを求めてくる同級生に嫌みたっぷりにそう言う。
「という訳だ、我らは帰らせて貰うぞ」
というと近くに居たひとが耳打ちする。
「依然と同じ場所を使えるようにしたので、れすとらんを……」
あ、そっちもあるのね。
「分かりました」
私は移動し、サイカさんは帰らされる。
元同級生達は悲鳴と罵声を上げながら連れて行かれた。
どうなるかと聞いたら、犯罪奴隷扱いされるだろうとの事。
疑わず、やってしまったのだ。
同情はできない。
「旅するレストラン!」
どーんとレストランが現れると、王族の方々と魔王様とその配下が入って行く。
「だ、大丈夫なのですか?」
「黒き王が契約している巫女なのだと、大丈夫に決まっている」
不安そうな部下に魔王様が声をかけていた。
「なんと柔らかな牛の肉だ! 旨みが凝縮されている!」
「この野菜シャキシャキで新鮮ですー、どれっしんぐとやらをかけるともっと美味しくなりますー!」
と話合っていった。
王様達は前回同様和気藹々としていた──
11
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

望んでいないのに転生してしまいました。
ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。
折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。
・・と、思っていたんだけど。
そう上手くはいかないもんだね。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる