覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~

琴葉悠

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貴方達と、共に

覚醒者の能力~我が子達について、一般的な覚醒者について~

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 子ども等全員が大学を卒業し、ドミニオンで働くようになった頃──
「みんな大きくなったよね」
「そうだな」
「ヒマリは僕の手伝いをしてくれるから有り難いなぁ、人道的にどうなのかとかそういうのは手伝ってくれないけど」
「当然でしょ!」
「当たり前だろ」
 キリヒトの言葉にヒマリとレオンが突っ込む。
「レオは私の会社の跡継ぎにしても良いかもしれないな」
「父さん、私はまだまだ若輩者で未熟です」
 ジュラスの言葉に、レオがツッコミを入れる。
「アサヒ、レイジ、お前達はお前達の道を行け」
「私達の道を歩もうとするな」
「……はい、父さん」
「分かりました……父さん」
 ディオンとアルビオンの言葉に、アサヒとレイジが頷いた。
「シロウ、ガチャをぶん回す時はためらうなよ」
「父さん言うのそれ? 俺父さんみたく爆死したことないんだけど……」
「畜生ー!」
 マリは息子のシロウに諭すようにいって諭し返され、叫んだ。
「ツムギ、ああはなるなよ」
「分かってます、お父さん」
「ユイナもそういうのはほどほどにな」
「はい!」
 二人のやりとりを見て、レンがツムギ、レオンがユイナに言う。
「俺から言うことは特にないかなー?」
「父さん、それでいいの?」
「うん、あ、家事はちゃんとできるよね」
「当然!」
「ならいいよ」
 やや放任主義な様子を見せているサリは息子のカイトに向かってそう言うとにっこりと笑った。

「みんな大きくなったなぁ……」

 カナタは感慨深げに言った。
「まだまだよ、お母さん、だって私未成年だもん」
「俺もだよ、母さん」
 などと一部の子ども達が声を上げる。
「でも、私が同年代の時よりしっかりしてるし……」
「え、そうなの?」
「そうだよ?」
「カナタちゃんは俺達に対してだけは危機感が無くなったからなぁ結婚してから」
「……ねぇお父さん達、浮気とか」
「「「「「「「「誰がするか‼」」」」」」」」
「う、うん、だよね。ごめんなさい……」
 ツムギがしょぼーんとする。
「こら、あんまり強く叱らないの」
「すまん」
「すまない」
「悪かったツムギ」
「悪かったツムギ」
「ツムギちゃんごめんよ」
「ツムギすまない」
「ツムギ、ごめん」
「ツムギちゃんごめんね」
「ううん、パパ達を疑った私が悪いの……パパ達が浮気するはずないもんね、ママが一番なのに……」
「何故か一番のままなのよねー」
「「「「「「「「「当然!」」」」」」」」
「はいはい、有り難う」
「ママは浮気とか考えたことある?」
「夫八人もいるのに更に?」
「だよね……」
「流石に其処まで私はできんわ」
 カナタは否定した。
「みんな大事だしね、そんな事はしないよ」
「だよね……」
「ん? どうしたの今更? もしかしてずっと言われてた? だったらごめんね……」
 カナタはツムギを抱きしめた。
 ツムギは泣きそうな顔をする。
「パパ達の子じゃないんじゃないかって言われたの、しょっちゅう」
「よし、誰だ。そいつら。今からでも報復に行くぞ」
「ああ、そうしよう」
 レンの発言に他の夫達が賛同する。
「待ちなさいってば!」
「大丈夫、ツムギ達は正真正銘パパ達の子よ、証明書もあるし。昔見せたでしょう?」
「うん……」
「もっと早く不安を言って欲しかった」
「ごめん、ママ」
「他の皆もそう?」
「母さんに似てる子達は言われてたよ、父さんに似てる私達は言われなかったが」
「言った連中どうした?」
「締めた」
「締める前に私に報告なさい」
「いや、よくやった、アサヒ」
「レイジもだろう?」
「はい」
 カナタは自分そっくりな子と夫そっくりな子両極端に分かれてんのはなんでかなぁと頭を抱えた。




「それは分からないですね、私にも」
 ネオンに相談に来たカナタはそう苦笑されて返された。
「ただ、アサヒ君とレイジ君はお父様の素質を色濃く受け継いでますが、他の子はちょうど良くカナタさんの性質と、父親の素質を受け継いでますよ」
「道理で全員炎熱地獄インフェルノ受け継いでる訳だよ。ペドフェリアとかそう言った連中がうちの子に近づくと燃え上がるもん」
「カナタさんも相当男性、女性に近づかれて燃え上がられてると聞いてますよ?」
「男女ともに私にそう言う事しよう考えているなんて恐ろしいわ! そして我が子達にもそういうことしようとするなんて恐ろしいわ! ……燃えて大やけどしてそのまま永久監獄に行くのは当然とは言わないけど」
「そこが普通の覚醒者と違いですね、私は当然だと思ってしまいますよ」
「そうなんですか?」
「ええ」
 カナタは首をかしげる。
「そういうものなんですかね?」
「覚醒者は自分達に危害を加える者には容赦ないの。人でもいるでしょう?」
「まぁ、確かに」
「そして人を殺すのも躊躇わない」
「……」
「私でも、よ」
「それは……」
「驚いた? 人を救うのが仕事な私でも、それを邪魔する者には容赦ないのよ」
「まぁ、人の命を扱ってるならその人を守るために、ガルガルモードになる……?」
「ガルガルモードなんて可愛い言い方ですね」
 ネオンはにこりと笑った。
「臓器が足りなかったら、手術の邪魔をしてきたその方々の臓器を全ていただいたりしますよ?」
「oh……」
 ネオンが普段穏やかな分、この過激さにカナタは驚いた。
「それと、私はカナタさんと同じ炎熱地獄インフェルノのようなものを持ってます、ですので私にそういう意味で危害を加えようとした者は皆黒焦げになってそのまま死んでますね」
「え?」
「カナタさんとは其処が違うんですよ、カナタさんは一応生きては居る、私の場合は即死級それは私達の性質によるものなんです」
「……」
「性質が能力に影響するのは覚醒者にはあることです」
「そう、なんですか……」
「ええ」
「……お時間割いていただきありがとうございます」
「いいえ、お話できて良かったわ」
 カナタは頭を下げてネオンから立ち去った。




「う゛ー」
 帰宅すると、カナタはリビングのソファーにうつ伏せになった。
「カナタちゃんどったの」
 サリが声をかける。
「色々知らんかった事知って頭ぐるぐる」
「あーなるほど……」
「……そう言えば、夫達には催眠とかそういうの効くの」
「いや全く、催眠とかそういうセクハラされたら向こうが消し炭になるって聞いたよ」
「ネオンさんと同じか……」
「何か思うことあった?」
「うーん、ちょっとね」
「話してくれる?」
「レイジやアサヒ以外の子等は私の性質で大やけどで永久監獄行きなのはしってるけど、なんでレイジやアサヒはそうじゃないんだろう」
「うーん、あの二人は特別だからねぇ父親が」

「……やっぱりあの御方が原因か」

 カナタはぼそりと呟いた。
「どうしたの?」
「なんでもなーい」
「何でも無くなさそうで疲れてるカナタちゃん、ハグはいかが?」
「ハグなら良しー」
 サリに抱きついて、カナタはがくんと眠りに落ちた。
「あちゃー脳みそ使いすぎかな? なんか睡眠不足だったし」
 サリはそう言ってカナタを寝室に連れて行き、ベッドに寝かせた。
「カナタちゃん、君は幸せ?」
 眠るカナタにサリはそう尋ねたが、返事は、ない。





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