覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
72 / 73
貴方達と、共に

覚醒者の能力~我が子達について、一般的な覚醒者について~

しおりを挟む



 子ども等全員が大学を卒業し、ドミニオンで働くようになった頃──
「みんな大きくなったよね」
「そうだな」
「ヒマリは僕の手伝いをしてくれるから有り難いなぁ、人道的にどうなのかとかそういうのは手伝ってくれないけど」
「当然でしょ!」
「当たり前だろ」
 キリヒトの言葉にヒマリとレオンが突っ込む。
「レオは私の会社の跡継ぎにしても良いかもしれないな」
「父さん、私はまだまだ若輩者で未熟です」
 ジュラスの言葉に、レオがツッコミを入れる。
「アサヒ、レイジ、お前達はお前達の道を行け」
「私達の道を歩もうとするな」
「……はい、父さん」
「分かりました……父さん」
 ディオンとアルビオンの言葉に、アサヒとレイジが頷いた。
「シロウ、ガチャをぶん回す時はためらうなよ」
「父さん言うのそれ? 俺父さんみたく爆死したことないんだけど……」
「畜生ー!」
 マリは息子のシロウに諭すようにいって諭し返され、叫んだ。
「ツムギ、ああはなるなよ」
「分かってます、お父さん」
「ユイナもそういうのはほどほどにな」
「はい!」
 二人のやりとりを見て、レンがツムギ、レオンがユイナに言う。
「俺から言うことは特にないかなー?」
「父さん、それでいいの?」
「うん、あ、家事はちゃんとできるよね」
「当然!」
「ならいいよ」
 やや放任主義な様子を見せているサリは息子のカイトに向かってそう言うとにっこりと笑った。

「みんな大きくなったなぁ……」

 カナタは感慨深げに言った。
「まだまだよ、お母さん、だって私未成年だもん」
「俺もだよ、母さん」
 などと一部の子ども達が声を上げる。
「でも、私が同年代の時よりしっかりしてるし……」
「え、そうなの?」
「そうだよ?」
「カナタちゃんは俺達に対してだけは危機感が無くなったからなぁ結婚してから」
「……ねぇお父さん達、浮気とか」
「「「「「「「「誰がするか‼」」」」」」」」
「う、うん、だよね。ごめんなさい……」
 ツムギがしょぼーんとする。
「こら、あんまり強く叱らないの」
「すまん」
「すまない」
「悪かったツムギ」
「悪かったツムギ」
「ツムギちゃんごめんよ」
「ツムギすまない」
「ツムギ、ごめん」
「ツムギちゃんごめんね」
「ううん、パパ達を疑った私が悪いの……パパ達が浮気するはずないもんね、ママが一番なのに……」
「何故か一番のままなのよねー」
「「「「「「「「「当然!」」」」」」」」
「はいはい、有り難う」
「ママは浮気とか考えたことある?」
「夫八人もいるのに更に?」
「だよね……」
「流石に其処まで私はできんわ」
 カナタは否定した。
「みんな大事だしね、そんな事はしないよ」
「だよね……」
「ん? どうしたの今更? もしかしてずっと言われてた? だったらごめんね……」
 カナタはツムギを抱きしめた。
 ツムギは泣きそうな顔をする。
「パパ達の子じゃないんじゃないかって言われたの、しょっちゅう」
「よし、誰だ。そいつら。今からでも報復に行くぞ」
「ああ、そうしよう」
 レンの発言に他の夫達が賛同する。
「待ちなさいってば!」
「大丈夫、ツムギ達は正真正銘パパ達の子よ、証明書もあるし。昔見せたでしょう?」
「うん……」
「もっと早く不安を言って欲しかった」
「ごめん、ママ」
「他の皆もそう?」
「母さんに似てる子達は言われてたよ、父さんに似てる私達は言われなかったが」
「言った連中どうした?」
「締めた」
「締める前に私に報告なさい」
「いや、よくやった、アサヒ」
「レイジもだろう?」
「はい」
 カナタは自分そっくりな子と夫そっくりな子両極端に分かれてんのはなんでかなぁと頭を抱えた。




「それは分からないですね、私にも」
 ネオンに相談に来たカナタはそう苦笑されて返された。
「ただ、アサヒ君とレイジ君はお父様の素質を色濃く受け継いでますが、他の子はちょうど良くカナタさんの性質と、父親の素質を受け継いでますよ」
「道理で全員炎熱地獄インフェルノ受け継いでる訳だよ。ペドフェリアとかそう言った連中がうちの子に近づくと燃え上がるもん」
「カナタさんも相当男性、女性に近づかれて燃え上がられてると聞いてますよ?」
「男女ともに私にそう言う事しよう考えているなんて恐ろしいわ! そして我が子達にもそういうことしようとするなんて恐ろしいわ! ……燃えて大やけどしてそのまま永久監獄に行くのは当然とは言わないけど」
「そこが普通の覚醒者と違いですね、私は当然だと思ってしまいますよ」
「そうなんですか?」
「ええ」
 カナタは首をかしげる。
「そういうものなんですかね?」
「覚醒者は自分達に危害を加える者には容赦ないの。人でもいるでしょう?」
「まぁ、確かに」
「そして人を殺すのも躊躇わない」
「……」
「私でも、よ」
「それは……」
「驚いた? 人を救うのが仕事な私でも、それを邪魔する者には容赦ないのよ」
「まぁ、人の命を扱ってるならその人を守るために、ガルガルモードになる……?」
「ガルガルモードなんて可愛い言い方ですね」
 ネオンはにこりと笑った。
「臓器が足りなかったら、手術の邪魔をしてきたその方々の臓器を全ていただいたりしますよ?」
「oh……」
 ネオンが普段穏やかな分、この過激さにカナタは驚いた。
「それと、私はカナタさんと同じ炎熱地獄インフェルノのようなものを持ってます、ですので私にそういう意味で危害を加えようとした者は皆黒焦げになってそのまま死んでますね」
「え?」
「カナタさんとは其処が違うんですよ、カナタさんは一応生きては居る、私の場合は即死級それは私達の性質によるものなんです」
「……」
「性質が能力に影響するのは覚醒者にはあることです」
「そう、なんですか……」
「ええ」
「……お時間割いていただきありがとうございます」
「いいえ、お話できて良かったわ」
 カナタは頭を下げてネオンから立ち去った。




「う゛ー」
 帰宅すると、カナタはリビングのソファーにうつ伏せになった。
「カナタちゃんどったの」
 サリが声をかける。
「色々知らんかった事知って頭ぐるぐる」
「あーなるほど……」
「……そう言えば、夫達には催眠とかそういうの効くの」
「いや全く、催眠とかそういうセクハラされたら向こうが消し炭になるって聞いたよ」
「ネオンさんと同じか……」
「何か思うことあった?」
「うーん、ちょっとね」
「話してくれる?」
「レイジやアサヒ以外の子等は私の性質で大やけどで永久監獄行きなのはしってるけど、なんでレイジやアサヒはそうじゃないんだろう」
「うーん、あの二人は特別だからねぇ父親が」

「……やっぱりあの御方が原因か」

 カナタはぼそりと呟いた。
「どうしたの?」
「なんでもなーい」
「何でも無くなさそうで疲れてるカナタちゃん、ハグはいかが?」
「ハグなら良しー」
 サリに抱きついて、カナタはがくんと眠りに落ちた。
「あちゃー脳みそ使いすぎかな? なんか睡眠不足だったし」
 サリはそう言ってカナタを寝室に連れて行き、ベッドに寝かせた。
「カナタちゃん、君は幸せ?」
 眠るカナタにサリはそう尋ねたが、返事は、ない。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

幼馴染を溺愛する旦那様の前から、消えてあげることにします

新野乃花(大舟)
恋愛
「旦那様、幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

window
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

アリエール
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

処理中です...