覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~

琴葉悠

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貴方達と、共に

子ども等の事~ヒマリと長子三名~

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 ヒマリが産まれて六年が経ち、ヒマリは小学校に入学した。
 最初は元気に行ってたのだが、一週間後、行きたくないと言い出した。
 原因を聞こうにも口をかたくなに開かないヒマリにカナタは困り果てた。
 そこで、父である、夫のキリヒトに任せることにした。

 キリヒトは最初は理由を全く聞こうとせず、ただ遊んで上げた。
 遊んで上げるうちに、ヒマリは漸く理由を話した。

 理由は担任と女児達が一緒になってヒマリに陰口を言ったりするなどのいじめ──犯罪行為を行っている事が判明。

 学校に連絡し、女児達は転校、担任は教職員として剥奪処分と止めさせられるの二重の処分を受けた。
 いじめが無くなった学校にヒマリは戻り、笑顔を取り戻した。




「他の子達の時はいじめなんて無かったから助かった、キリヒト」
「僕らは夫婦、助け合うのが当たり前じゃないか」
「うん、そうね」
「……この際だ、言うか」
「そうだな」
 ディオン達が何か話合う。
「カナタ、実は行ってなかったが、我が子達もいじめの被害者にはなっていた」
「……はい⁈」
「子等の意見を尊重して今まで言わなかったがな」
「ど、どうやって対処したの?」
「ヒマリは気が優しいが、他は俺達の子だぞ、気が強い。教師もいじめっ子も追い込んで転校や教職を辞めさせた」
「うわぁ」
 カナタはヒマリ以外の我が子達の行動を初めて知り、驚いた。
「何で教えてくれなかったの⁈」
 思考を一時停止していたが、思考が動き出したカナタはそう問いただす。
「『えげつない方法で追い込んだのをお母さんに知られたくない』という内容しか言えん」
 ディオンの発言にカナタは頭を抱える。
「何したのうちの子達……」
「言えない」
「内緒」
 等など言うので、カナタは眉間にしわを寄せた。
「あ、子ども達には内緒だよ? 俺達言わない約束してたから」
「分かってる……」
 サリの言葉に、カナタははぁとため息をついた。




「ヒマリ、学校楽しい?」
「うん、楽しい!」
 ツムギがヒマリを抱っこして近況を聞いていた。
「本当の事言って?」
「……男の子がスカートの時めくってくる」
「良し、お姉ちゃんに任せなさい」
「ツムギ、何するつもり?」
「大丈夫大丈夫、身の程を分からせるだけだから」
「それが一番心配だよ……」
 カナタは額を抑えてはぁとため息をついた。


「お姉ちゃんありがとう!」
「いいえ、これからも困ったら私達を頼ってね」
「うん!」
「……」
 ほのぼのとした姉妹の会話を眺めていたカナタ。
 そしてヒマリが居なくなるとツムギに近づき。
「ツムギ、何したの」
「身の程を分からせただけだよ」
「だからそれが怖いんだってば」
「まぁ、お母さんは気にしないで、ね?」
「はぁ……」
 カナタは盛大にため息をついた。




「ヒマリ、学校よー」
「うん、行ってきます!」
 キリヒトに手を引かれてヒマリは学校へと向かった。
「結局あの子も飛び級になったね」
「ああ、そうだな」
 ディオンが頷いた。

 実は、ヒマリが小学校に通って二ヶ月が経過したころ、ヒマリの方から学校の勉強がつまらないと言い出して来た。
 何がつまらないかと聞くと、単純すぎてつまらない。
 そう言われ、学力テストと検査を行うと高校一年生級の頭脳を持って居るのが分かった。
 このままだと、ヒマリを担任は持て余すことになるため、飛び級で高校生になった。

 制服が可愛いと気に入ってるところが幼くて可愛らしい。
 そういう所が同級生に気に入られ、可愛がられているとか。
 給食は無く、お弁当だが、たまに学食も食べたいと言っているので食べるお金も渡してある。
 もっぱら食べるのは激辛ラーメンだそうだ。

 ヒマリは今こうして学校生活を謳歌している。
 他の我が子達も皆飛び級で、学校をあっという間に卒業し、今、ほとんどがドミニオンに所属して働いている。

「あーやっぱり心配だ」
 カナタはため息をついた。
「どうしたカナタ」
「アサヒとレイジよ、ドミニオンで危険な仕事やっているって聞いて……ツムギ達も……」
「三人なら無事に仕事をやってるよ」
「大きくなった子達はみんな仕事をやってるんだもの、心配して当然でしょ?」
「君の子だ、安心したまえ」
「私の子だから安心できないのよ」
 カナタは再び盛大に息を吐いた。




「「「ただいまー」」」
 玄関で声がした。
 カナタは急いで玄関へと向かう。
「お帰りなさい、無事だった⁈」
「無事ですよ」
「はい、無事です」
「無事よ、お母さん」
「良かったぁ~」
 カナタはその場に座りこんだ。
「「「母さん⁈」」」
 アサヒ達は、カナタに近寄る。
「大丈夫だ、少々不安だったのが安心できて、腰を抜かしただけだ」
「不安って私達の事ですか父さん」
 ディオンがカナタを抱きかかえ、寝室に連れて行こうとするとアサヒは問いかけた。
「そうだ、お前達が仕事で怪我をしないかなどカナタは心配なのだ」
「母さん、心配症だな」 
「元からだ」
 そう言ってカナタを寝室に連れて行った。




「ただいまーおかーさんはー?」
 ヒマリがキリヒトに連れられて帰って来た。
「今ちょっと寝込んでいる、そっとしてあげてくれ」
 ディオンがそう言うとヒマリはこくりと頷いた。

「ねぇ、ツムギお姉ちゃん」
「なぁに、ヒマリ」
「お仕事ってどうなの?」
「あーちょっとは大変よ、EXランクだから死なないように手加減もあるし」
「手加減は大変なの」
「そうなのー……」
「確かに死なないようにするのは大変だな」
「同感だ」
 アサヒとレイジが同意する。
「兄さん達は剣と太刀だから余計大変そうよね、私はお母さんのを受け継いでるけど」
「それは私達もだ、でも太刀の方がどうしてもしっくりくるから、相手を気絶させるときは苦労する」
「同感だ」
 アサヒの言葉にレイジがうんうんと頷く。
「ママと違ってみんなEXランクなんだね」
「そうねぇ、生まれた時からEXランクね」
「ね」
「そこも母さんの不安要素なのかもね」
「あーEXランクだから難易度高いのをやらされる、とか」
「そうそう」
「でも、大丈夫だろう。私達は母さんと父さんの子どもなんだから」
「そうね」
「だな」
「うん!」
 子ども達は笑みを浮かべて頷いた──





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