覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~

琴葉悠

文字の大きさ
上 下
63 / 73
子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~

トラブルあるけど妊活頑張る!

しおりを挟む



「レオ、よしよし」
「あぶー」
 赤ん坊のレオをカナタはあやしていた。
 珍しく、夫達は全員用事で居なかった。
 レイジとアサヒは試験期間中ということでカナタの見える範囲で勉強していた。
 すると、黒き存在が入って来た。
「あ、こんにちは」
「あ、こんにちは」
「こんにちは」
 黒き存在も挨拶を返したようだった。
「はい、勉強楽しいですよ」
「僕も」
 そう言うアサヒとレイジの頭を黒き存在は撫でる。
「いつも通りディオンとアルビオンには内緒にしておきますね」
「うん、パパ達には内緒」
「内緒だね」
 アサヒとレイジはいたずらっ子のように笑い合う。




「お帰りなさいー」
「ただいま帰った」
「戻った」
「ディオン、アルビオン、お疲れ。今日もお仕事ご苦労様、何か飲む」
「水でいい」
「私もだ」
「分かった」
 カナタはペットボトルからミネラルウォーターを出し、グラスに注いだ。
 それを二人の前に出す。
 二人が持ち上げ、くぃっと飲み干した。
「ふぅ、漸く一息つけた気分だ」
「私もだ」
「やること、たくさん?」
「まぁな」
「そっかー……私は手伝えなさそう」
「そうだなちょっと手伝えないかもな」
「だよね、何となくそう思ったんだ」
 カナタは少し寂しげに呟いた。
「君が悪い訳じゃ無い、君には君のやり方がある、それと合わないだけだ」
「私のやり方……」
「それは悪いものではない、寧ろ好ましいと思う人が多いだろう」
「……」
「だから今は子育てをしっかりしてくれ、私達も手伝うから」
「うん、有り難う」
 カナタは寂しそうに笑った。




「え、銀行に立てこもり? 覚醒者がいるからいってくれ⁈ はいはい! 言ってきます、あ面倒お願いね!」
「勿論だよ」
 数日後、久々にレインからカナタあてに連絡が来た。
 カナタは嬉々として仕事に出かけた。

「おらぁ、真面目に働いてる人達に謝れテメェ等!」

 ハンマーで覚醒者を勢いよく吹っ飛ばすと、覚醒者は壁にめり込み、そして倒れ込んだ。
 慌てて逃げ出す配下達もハンマーは吹っ飛ばした。

 死者一人出さず、終わったことに安心しながら、後の事は警察などに任せた。




「ただいまー」
「お帰り、大活躍じゃねぇか」
「仕事はやるときはやりますから」
 カナタはVサインを取り、食堂へ入っていく。
「あれ、もうお昼ご飯できてる」
「俺とレンちゃんで作ったからねー」
「サリ、レン、有り難う」
「任せろ」
「マリは何してたの?」
「子ども達の見守りだ」
「なるほど」
「おお、そうだ。ガチャ、更新来たんだ、頼む引いてくれ!」
「またなの?」
 カナタは少し呆れつつ、クリエイフォンのソーシャルゲームのガチャの10連を引いた。
「虹演出来たー! よしよし、来い来い来い来い!」
「マリ、これと料理の下手さが無ければかなり良いのに」
「それがマリだからな、諦めろ」
「うん」
「よっしゃー! 新規キャラゲットー!」
 マリははしゃいでいたが、彼の息子のシロウはどこか冷めた目でマリを見ているのに周囲は気づいていた。

──どんな子になるかな、この子──

 まだ二歳になってしばらくたったばかりの我が子の将来が初めて気になった。

「レオは0歳、シロウは二歳、ユイナは四歳、ツムギは六歳、レイジは八歳、アサヒは十歳かぁ」
「ちょうど二年ずつになってるな」
「そうだね、計画通りと言えば計画通り」
「それにしても今日のシロウのマリを見る顔見た?」
「アレは凄かったな、引いていた」
「他の子達もマリのガチャの件は引いていたけど……あれだけ早い時期に引いた顔したのレイジとアサヒ位よ?」
「そうか」
「そうだったな」
 ディオンとアルビオンは微笑む。
「何だよ、俺いじめて楽しいか⁈」
「いや、マリ。俺達は事実を述べただけだ」
 ふてくされるマリに、レンが言う。
「仕方ねぇだろう、二次元がカナタに会う前の俺の全てだったんだから」
「今はカナタちゃんの方が比重でかいけど、やっぱりガチャは引いちゃうんだよね」
「当たり前だ、神シナリオ読んだら引きたくなるだろう! あと性能」
「あー分かる分かる」
 カナタが頷く。
「よく全部マックスなのにスキル育って無くて使い物にならなかったからなぁ、出会った時のカナタのキャラ」
「それは反省してる……」
 カナタは少しむくれた。
「カナタちゃん、反省しなくていいよ」
「そうだぞ、カナタ反省しなくていい」
「そう?」
 カナタはふーんと言う顔をする。
「でもゲームって息抜きなるからついやっちゃうんだよね」
「今は息抜きがてら走るからな、昔ほどの熱量はねぇな」
「子育てもあるしね」
 そんな話を夜になるまでカナタは夫達としていた──




 そしてレオが一年と半年を経過後。
「妊活始めます、くじとかは宜しく」
 とサリとキリヒトに言ってカナタはベッドのある部屋にこもった。
 子ども達の見守りは他の夫に任せて。
 サリとキリヒトは諦めたようにくじを引いた。

 それから二ヶ月後──
「妊娠してる」
 検査薬で妊娠が発覚し、病院に向かうと──
「妊娠してますね」
「ネオン先生、いつも有り難うございます」
「いいええ」
 そう言って担当医に挨拶してからカナタは病院から戻る。




「母さん妊娠したの?」
「母さん赤ちゃんできたの?」
「ママ、赤ちゃんできたの?」
「赤ちゃんできたの?」
「赤ちゃん!」
「あかちゃ」
「できたよー、みんなまたお姉さん、お兄さんになるんだよー」
「うん、僕しっかりしたお兄ちゃんになるよ、父さんみたく」
「僕も!」
「ママみたいになる」
「あたしも」
「パパみたくなる!」
「なるー」
 それぞれ言う子ども達が可愛らしくて、愛おしくてカナタは嬉しかった──





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

幼馴染を溺愛する旦那様の前から、消えてあげることにします

新野乃花(大舟)
恋愛
「旦那様、幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

アリエール
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

結婚しましたが、愛されていません

うみか
恋愛
愛する人との結婚は最悪な結末を迎えた。 彼は私を毎日のように侮辱し、挙句の果てには不倫をして離婚を叫ぶ。 為す術なく離婚に応じた私だが、その後国王に呼び出され……

処理中です...