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子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~
残党狩りと親子の会話
しおりを挟む「レインさん、お仕事開けて大丈夫ですか?」
「大丈夫よー何かあったらクリスにすぐ報告するよう連絡してあるから」
「そうですか……」
カナタはちょっと大丈夫かなと思いつつ、子ども達の相手をレインと共にしていた。
「……って、話してたら連絡がちょっと失礼」
部屋の外に出るレインを覗き見することに。
「何ですって? レイヴンの残党がまだ居たの⁈」
その言葉に、カナタの血がざわついた。
我が子達を害なすかもしれない存在が今も活動していることが許せなかった。
「カナタ、出たいだろうが、俺達に任せろ」
ディオンがカナタに声をかける。
「でも……」
「まだカナタちゃんは産後だからね、無理すると何があるか分からないからねー」
サリがカナタに大人しくしているように言う。
「……分かった」
「じゃあ、僕と子ども達と留守番してよっか」
キリヒトが言う。
「そうだな、留守番してよう」
「だね」
ジュラスとレオンも言う。
「うん……」
リヴン組とカナタと子ども達以外が家から出て行き、残党狩りに向かった──
「さっさとくたばれ下郎共」
ディオンは太刀で切り捨てていく、無数の血しぶきがあがるが、ディオンは浴びもしない。
「お前達がいるだけで人々は安心できんのだ」
アルビイオンが剣で切り裂き、死体を放り投げる。
「そういうことだから、さっさと死んでね☆」
大太刀を軽々と振り回し、切り捨てていくサリ。
「わりぃが、そういうことだ、死んでくれ」
無数のビームが焼き貫通し、マリは死体を生み出す。
「今更出て来たのが運の尽きだ」
ぶちりと頭と胴体を引きちぎって、レンは投げ捨てた。
そうして、彼らは死体の山を築いていった──
「みんな、お疲れ、シャワー浴びてから帰って頂戴」
レインに言われ、ディオン達は頷いた。
「「了解」」
「血のにおい残ってるもんなぁ」
「だね」
「そうだな」
ディオン達はシャワー室へと向かっていった。
「クリス、レイヴンの残党はもう居ない?」
「そこはいいえとしか言えません、レイヴンの思想は残っていますので」
「厄介ね……」
レインは額に手をやった。
ガチャリと扉の開く音がした。
カナタは急いで玄関へ向かう。
「──」
「ただいま、カナタ」
「ただいま」
「帰って来たぞー」
「お出迎え有り難う、カナタちゃん♡」
「カナタ出迎え有り難う」
「お帰り、みんな!」
カナタはディオン達に抱きついた。
無事に帰ってきてくれたことに安心しているのだ。
「そろそろ夕食時だから、ご飯作っておいたよ、食べて!」
「お、飯だ飯!」
マリが食堂へ走って行く。
「ちょっとマリちゃん、待ってよ~!」
「ほっておけ」
マリ達が食堂に向かうのを見送ってから、カナタはディオンとアルビオンを見る。
「俺達は水だけでいい」
「本当に?」
「今までもそうだったろう」
「うん……」
カナタは少しだけ不服そうにしながら、食堂へ行った。
スープを口にするアサヒとレイジ。
カレーライスを口にする他の子ども達。
哺乳瓶からミルクを貰うレオ。
それぞれ色々あるんだなと思いながらカナタはカレーライスを口にした。
「休校? 休園?」
「ああ、レイヴンの残党の事件があるから、一週間は休みだってさ」
カナタの言葉にサリが答える。
「じゃあ、その間勉強を見ないとね……と言っても私達見る必要があるほど子ども達勉強に遅れてないものね」
「それはそうだね」
キリヒトは楽しげに言う。
「ただ、アサヒ君とレイジ君はお父さん達と話しがある見たいだからね」
「私には言えないのかなぁ」
「多分ね、頼りないからじゃなくて、メンタルやられたら怖いからだよ四人とも」
「それって頼りないじゃないの?」
「違う違う、気づかなかったことに君が君を傷つけることをしたくないんだよ」
「……」
カナタは納得がいってないようだった。
休校が終わり、学校と保育園が始まると、ディオンとアルビオンが学校へと赴いた。
そして職員達や生徒と話したらしくディオンとレイジを差別していた学生は退学させられることになった。
「差別って、そんなことされてたの⁈ どうして私にはいってくれなかったの⁈」
カナタは問いかけた。
「子ども等が言ったんだ、お母さんだけは心配させたくない、言うなら全て終わってから言ってくれとな」
「どうして……」
「カナタ、君は子育てで忙しい、俺達が手助けしててもな。だから心配かけたくなかったそうだ」
「……」
「母さん、ごめん」
「母さん、ごめんなさい」
申し訳なさそうに言うアサヒとレイジを抱きしめた。
「そんなことない、ごめんね、気遣わせて。これからはちゃんと私にも言ってね、お願い」
「うん、分かったよ」
「分かった」
そういう愛し子をカナタはぎゅっと抱きしめた。
「あーお兄ちゃん達だけずるい‼」
「ずるい」
「ずりゅい!」
レオ以外の子ども達がやって来て、むぎゅっと入って来た。
「お母さん、私達も抱きしめて?」
「もちろんよ、ぎゅー!」
「きゃー!」
「きゃー!」
「わー!」
「何か、恥ずかしいね」
「良いじゃないか、たまには」
カナタは子ども達を大切そうに抱きしめた。
夜、子ども達を寝かしつけ、カナタもレオを寝かしつけて残った夫達は会話をしていた。
「まだレイヴンの残党いるんだとよ」
「もう、人間でも構わないから殺しちまえっての」
「それができたらレインも苦労はないのだろう」
「面倒くせぇな」
「レイドのおっさんに頼むか?」
「そうだな、最初の子が自立するころ頼もう」
「そうだな」
「カナタの名前出せばいいだろうし」
「だな」
そんな会話をしていると夜も遅くなり──
「では私はカナタのいる部屋に向かう、夜泣きしてるかもしれないしな」
「パパ頑張ってね!」
「とうぜん」
ジュラスはにやりと笑ってその場を後にした──
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