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子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~
カナタの怒りと戸惑い~地雷を踏んだ者達と祝福を持ってきた者達~
しおりを挟む「お帰り……どったの⁈」
ある日、ジュラスとレオンとキリヒトが帰ってくると三人の服は所々赤黒く染みがついていた。
「ああ、ちょっと色々あったな」
「うん、色々あって」
「ゴウ君とケイ君が女の子達がカナタ似だから大きくなったら嫁にくれって言ったからみんな我慢できず二人をボコボコにしたんだ」
「は?」
キリヒトの言葉に、ユイナを抱いたまま、カナタはあんぐりと口を開ける。
「キリヒト、黙っていようって言っただろう⁈ 産後のカナタには悪い情報だと!」
「そうだよキリヒト‼ 何で言っちゃうの⁈ 落ち着いてからでも良かったよね⁈」
「いや、これはさっさと言うべき、だよね?」
キリヒトがチラリと見ればユイナに見せないように怒りの形相をしているカナタがいた。
「明日、本部に行って二人を締めてくる」
「それがいいよ」
「ご褒美にならない?」
「今回はならないと思うぞ」
ぼそぼそと話して居るジュラストレオン。
しかし、その言葉が耳に入らない程激怒カナタが激怒していることに二人はまだ気づいていなかった。
「マリ、サリ、レン。子ども達と留守番宜しくね」
「おう」
「任せてカナタちゃん!」
「任せろ、そして存分に怒りをぶつけてこい」
「有り難う」
カナタはディオン達と共に本部へと向かった。
「え、どうしたのカナタちゃん、凄い顔だけど……?」
「ゴウとケイを呼んでください、今すぐ」
「う、うん、分かった」
レインは戸惑いながら二人を呼び出す。
「カナタちゃーん! どうした……」
「カナタちゃん! なにか……」
振り向いたカナタを見て二人は凍り付いた。
「聞いたよ、キリヒトから。女の子は私似っぽいから、大きくなったら嫁にしたいってほざいたって」
「アンタらそんなばかな事抜かしたの⁈」
レインが驚愕の声を上げる。
「今まで以上に幻滅したわ、私の子どもを、娘をそんな風に扱う輩には娘達は渡さない、そもそも近づけさせない」
「いや、その……」
「えっと……」
「分かったらうちの子に二度とその面見せるんじゃねぇ‼」
「「は、はいぃー!」」
二人は腰を抜かして逃亡していった。
「後の事は俺達に任せて家に帰れば良い」
「でも……」
「大丈夫、殺しはしないさ」
「……うん、分かった」
ディオンとアルビオンに言われ、カナタは家のある場所へと転移した。
「さて、あの馬鹿共をいっぺん締めておくか」
ディオンが拳を鳴らす。
「そうだな、それがいい」
アルビオンも拳を鳴らす。
「一応、明日仕事任せる予定だから治せる範囲にしておいてよ?」
「わかった」
「分かってる」
そう言って二人は出て行った。
その後、ドミニオンの本部中に悲鳴が響き渡った。
「ただいまー……」
「お母さん、お帰り!」
「ママ、お帰り」
「ままー」
「あぶー」
「お帰り、カナタ」
「お帰り、カナタちゃん」
「お帰り、カナタ」
留守番組が出迎えてくれた。
「ジュラスパパも、レオンパパも、キリヒトパパもお帰り!あれ、お父さんとアルビオンパパは?」
「パパは?」
「残って軽くお仕事してくるって」
「そうなんだ」
「ままーえほんよんでー」
「いいよ」
カナタは絵本を受け取り遊戯室へと向かった。
「で、どうだったんだ?」
「ガチギレカナタに二人は逃げ出した」
「今頃、ディオンとアルビオンの二人に締められてるんじゃないかな」
「だろうね」
「帰ったぞ」
「締めてきた」
赤黒い汚れをつけたアルビオンとディオンが戻って来た。
「ずいぶん早いね」
「明日仕事があるから治せない怪我は止めてくれとレインに言われてな」
「そういや、あの二人に回す仕事増えてるもんね、男性関係だけ」
「女性がいるのは除外してるみたいだし」
「だろうな、あの二人が女性がいるのに参加したら問題が起きる」
「分かる」
そんな話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。
「誰だろう?」
「早々簡単にここにはこれないはずだが……」
ディオンが用心して開けると──
「私だ」
「私、です」
「レイドにクロ……何しに来た?」
「中々忙しくてこれなかったから、出産祝いと子ども達への玩具だ」
「よ、よかったらもらって?」
「みんなどうした……あ、レイドさんにクロさん、どうしたの!」
カナタが現れると、クロがカナタに抱きついた。
「出産おめでとう! 遅すぎるお祝いだけど貰ってほしいなぁ」
「ああ、俺もだ、出産祝いと子ども向けの玩具だ」
「わー! 有り難う! 良かったらうちの子どもと遊んでくれない?」
「い、いいの?」
「勿論」
「わー!」
「失礼する」
レイドとクロが入って行き、遊戯室に入る。
「はじめまして」
「わ~はじめまして」
そう言うと、子ども等は人見知りしたのかちょこんと頭を下げた。
「あら、人見知りしてる」
「お母さん、その人達は?」
「お母さんのお友達みたいな方々かな?」
「なら、初めまして、アサヒです、よろしくお願いします」
「はじめまちて、レイジです、よろしくおねがいします」
「ちゅむぎでしゅ」
「あぶ」
「この子が最近生まれた子でユイナって言うんですよ」
「どの子も可愛いな」
「有り難うございます」
「子育てで忙しいだろうが、無理しすぎず、夫達の手を借りるんだぞ、借りれなさそうなら私達にいってくれていい」
「有り難うございます」
「レイドのおっさん、大丈夫だぜ。何せ旦那は8人も居るんだからな」
「ならよいのだが」
「まぁ、手はいくらあってもいいからね」
その後、しばし子ども等とレイドとクロは遊び、帰って行った。
「そう言えば出産祝いのお金いくらだろう」
と、カナタが意識してもつとずっしり重かった。
中には札束の山。
「……返すべきだよね」
「貰っておけ、あの二人は受け取らん」
「心臓に悪い……」
後日、そのお金は子ども達用の通帳に貯金しておくことになった──
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