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子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~
職場見学~問題児二人は相変わらず~
しおりを挟む「ふと思い立ったので職場に子ども達を連れて行こうと思う」
「おい、そのふと思い立ったの部分を説明しろよ」
カナタの言葉にマリが突っ込む。
「この子達も覚醒者でしょう? となるとドミニオン所属は避けられない」
「まぁな」
「だから、小さい頃からちょくちょく職場見学させようかなって」
「なるほど、一人で行くのか」
「できれば彼奴らがいそうだから誰かついてきて欲しい……」
彼奴らの言葉を聞いて、その場に居た男陣が反応する。
「よし、俺がいってやるよ」
「俺もー」
「俺も行こう」
と、マリ、サリ、レン。
「私も行こう」
「僕も行く」
「僕も行くよー」
と、ジュラス、レオン、キリヒト。
ディオンとアルビオンは仕事で居なかったため反応が無かった。
「ディオンとアルビオンも居たら反応したかな?」
「絶対したと思うよ、僕は」
キリヒトはニコニコと笑いながら述べた。
「そうか、まぁこれだけ居れば、多分大丈夫……と思いたい」
「そこは俺等を信用しろよ」
「いや、彼奴らのヤバさはちょっとね」
「何かあったら片方は減給処分にできるから安心してくれ」
「減給処分でどうにかなるかなぁ……?」
カナタは少し不安げだった。
「カナタちゃんー! それとアサヒ君にレイジ君にツムギちゃんでちゅかー可愛いでちゅねー」
「ちっちゃいこあつかいしないでください」
「くだちゃい」
アサヒとレイジがレインに言う。
「……本当ディオンとアルビオンそっくり」
「あの二人の幼少時期知ってるんですか」
「まぁ、色々あってね……」
カナタが問いかけると、レインは遠い目をした。
すると、どどどどど、と足音が聞こえてきた。
「あいつら耳は良いのよねぇ」
「「カナタちゅわあああああん‼」」
「げ!」
カナタは行動に悩んだ。
両足にはレイジとアサヒがしがみついている。
両手ではツムギを抱っこしている。
──頭突きで撃退できるか?──
飛びついてくる二人を見てそう判断した矢先──
げし
ケイにはマリとサリ、レンの足裏が顔面に直撃。
ゴウにはジュラス、レオン、キリヒトの足裏が顔面に直撃していた。
要するに、蹴りを喰らったのだ。
「大事な妻と子にさわんじゃねーよ」
「俺の奥さんと可愛い子どもに触んないでくれるー」
「俺の妻と子ども等に触れないで貰おうか」
「アサギリ、私の妻と子等に触るな」
「ゴウ、僕の大事な家族に触らないでくれる?」
「アサギリ君、僕の大事な奥さんと子ども等に触れるの止めてくれない、ばい菌がうつるから」
ずるっと、今度は二人は床にキスするように倒れ込んだ。
「ひ、人妻になってより魅力的になったカナタちゃんに触るのも駄目なのか……‼」
「駄目に決まってんだろ」
「より魅力が増したカナタちゃんに触れないなんてあんまりだあああああ‼」
「自業自得だ」
嘆く二人に、マリとジュラスがピリピリとしながら言う。
そして──
「あ、あんたら子どもの教育に悪いから近寄らないで」
カナタがとどめを刺すように言い放った。
「「ごふっ」」
再び倒れた二人を見てカナタは息を吐き出すが、アサヒとレイジが二人をげしげしと蹴るのを見て慌てて止めるように男性陣に言う。
「アサヒーどうしたんだ? とっくにママがトドメ刺した相手だからアサヒが蹴る必要はないぞー」
「いや、マリ。そういう問題じゃない」
「ママをこまらせるやつきらい、だからちゃんととどめさすの」
「さすのー」
「その心がけはいい、だが今はやる必要は無い」
「ツムギがおっきくなったらツムギにもひがいがいくからここでとどめさす」
アサヒがきっぱりと言うとマリが無言になる。
「アサヒ、そのときはそのときまたみんなで守ればいいだけの話よ」
ツムギをレインに抱っこさせて両手の空いたカナタがアサヒを抱きしめる。
「ほんとうにとどめささなくていいの?」
「いいのよ、こいつらもいないと仕事回らないし」
カナタは疲れたように言ってからアサヒに頬ずりする。
「でも、アサヒは思いやりがある子ねーすごいわー」
「まま、ぼくも」
ズボンの裾を引っ張るレイジを見て、レンにアサヒを渡して、カナタはレイジを抱き寄せ頬ずりする。
「レイジも思いやりがある子ねー」
「きゃっきゃ!」
レイジが満足すると、床に下ろし、レインからツムギを返してもらう。
「赤ちゃん抱くなんて久々だったわ」
「そうなんですか?」
レインの言葉に、カナタは問いかける。
「まぁ、今の仕事に就いて以来外に出てどうこうすることないからね。赤ちゃん連れてきてくれるような人はあんまり居ないし」
「そうなんですか」
「ママ、おっきくなったらぼくらはここでおしごとするの?」
「そうよ、覚醒者はみんなここに所属してお仕事するの」
「ママも?」
「ママもここに在籍はしてるわ、育児休暇中だけど緊急時には出られるようにしてるからね」
「おっきくなったらママに楽させてあげるね」
「ありがとー! アサヒ」
「ぼくも!」
「レイジもありがとー!」
カナタは二人に微笑みかけた、二人は満足げに胸を張る。
「と言うわけで簡単な職場見学お願いできます?」
「いいわよ、今暇だから私が案内するわ、できるところだけだけど」
「お願いします」
レインに案内され、カナタ達はドミニオン本部を案内された。
「結構勉強になった、知らない所とかたくさんあったから」
帰宅すると、カナタはそう呟いた。
「でも、教えてくれない場所とかあったわね、あれなんだったんだろう」
「カナタは知らなくていーんだよ」
「……分かった」
マリの言葉に不満げに納得するカナタ。
「本部に行っていたのか」
「ディオン、アルビオン」
「子ども等に職場見学させたいってカナタがな」
「……あの二人はどうした」
ディオンは眉をひそめて言う。
「あの二人なら全員で蹴って沈めたぜ」
「その後、カナタちゃんが言葉でとどめを刺して──」
「レイジとアサヒが動かなくなった二人を蹴りを行ったな」
「そうか、よくやった」
「よくやったな」
「えへへ♩」
「わーい♩」
ディオンとアルビオンが我が子を撫でる。
「ちょっとあんまり褒めないで、危険な行動するようになったら困るわ」
「……それもそうだな」
「偉いが、誰彼構わずやるんじゃないぞ」
「はい!」
「うん!」
そう言って、アサヒとレイジを二人は撫でた。
「仕事しに行ったわけじゃないけど、久々の職場は緊張したー」
子ども等を寝かしつけてから、リビングでカナタは言う。
「まぁ、そんなもんだろ」
「そう?」
「そう言えばカナタちゃんは仕事ってどうやっていたの?」
「どうやってたって……レインさんから念話が飛んできて、そこで仕事内容を言われてその場所に飛んでったけど、あと直接話してとか」
「ああ、そういう……なるほど」
「?」
「いや、気にするな」
「うん、分かった」
カナタはレンに言われて気にしないことにした。
そうした方が良いと思ったからだ。
「じゃあ、私そろそろ寝るね」
「お休みカナタ」
「お休みなさい、みんな」
カナタはリビングから居なくなった。
「レインも大変だっただろう、拷問する場所もあれば、監獄から輸送されてきた奴から情報を吐き出させる場所もあるからな、あそこには」
ディオンが言う。
「カナタは知らねぇほうがいいな、子どももカナタに性質がそっくりなら知らないほうがいい」
「だな」
残された男達はそろって頷いた──
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