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子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~
デスゲーム壊滅遊戯
しおりを挟む「やれやれ、くだらない事に巻き込んでくれたな」
そう言いながらジュラスが帰って来た。
「ジュラスぱぱおかえりー」
「じゅらすぱぁぱおきゃえりー」
「おお、アサヒに、レイジ、ただいま」
駆け寄ってきた二人を抱きかかえて奥から二人を追ってきたカナタを見る。
「ジュラス、お帰り。どうしたん? 何かあったの?」
「ああ、デスゲームに巻き込まれた」
「デスゲーム」
「その場を一刀両断して犯人のところまで行ってとっ捕まえて突き出してきた」
「マジかー……」
「マジだ」
「ママ、ですげーむってなに」
「まぁま、なぁに?」
「しまった、いらん言葉を覚えてしまった」
「そうだな」
「……大人になったら教えるね」
「うん!」
「うん!」
二人は元気よく頷く。
「となると、ジュラス疲れてるんじゃない?」
「ああ、そのまま会議に出たりなんやかんやしてて疲れた」
「そりゃあ疲れるよ、アサヒ、レイジ。マリパパのところいって遊んで貰いなさい」
「はぁい」
「はぁい」
ジュラスが二人を下ろすと、ぱたぱたーっと走っていた。
「しかし、覚醒者をデスゲームに参加ってヤバい案件じゃない?」
「覚醒者も眠る催眠薬をばらまかれてな、どうやら向こうはEX級の覚醒者がくるのは初めてだったらしい、B級までなら能力を使えなくする手錠をしてたが、私には無意味だし、ぶちっとやって、雷で全て焼き焦がしてショートさせて建物も切り裂いて他の人達と脱出したよ」
「手口が悪質すぎるわな、反覚醒者主義の仕業?」
「いいや、普通の人もいた。反覚醒者主義なら普通の能力も何も持たない人を入れたりはしないだろう」
「それもそうだね……」
カナタはふむぅとと考え込む。
「……? そもそもそれでジュラス寝たの?」
「狸寝入りを決め込んだ」
「寝てないじゃん!」
カナタは声を上げる。
「仕方ないだろう、そんな事をする奴の顔を拝みたかったんだ」
「あーそうなの?」
「まさか、売れっ子の脚本家が犯人だとは思わなかったがな……」
「売れっ子脚本家?」
カナタの反応にジュラスが耳元でごにょごにょとしゃべる。
「え、えー⁈ 外国の凄い有名な人じゃん‼」
「ああ、俺もびっくりだった。向こうも驚いていたが、犯罪者は犯罪者だ。とっ捕まえてレインに引き渡して驚かせた」
「レインさんは?」
「『いやー‼ よくデスゲームの犯人捕まえるなんてできたね‼ 連中は逃げ足というか足跡を消すのだけは美味いからさぁ‼』と言われた」
「ふへー」
「『まぁ、それでもあたしが本部長になったときデスゲームする連中悉く捕まえて死刑にしてたけど、今時もやるやついるんだ‼』って言ってたな」
「レインさんのがすげー」
「まま、じゅらすぱぱ、おひるたべよ?」
「そうだな食べよう」
「うん、食べようね」
ジュラスは靴を脱いで上がり、食堂へとカナタと向かった。
「今日は芋のスープとパンとサラダと焼き肉だ。子どもらはスープだけな」
出されたパンの山と、肉のスライスされて味付けされた塊とキャベツ、それにサラダが置かれ、スープは各自に配膳されていた。
「いただきます」
「ましゅ!」
「……未だに二人とも固形物なしか……」
「サプリも駄目だから濾したスープしか口に入れねぇ、野菜と肉は入ってれば避けるし」
「なんでだろうな」
三人はそろって首をかしげる。
「どうした?」
ディオンとアルビオンが帰ってくる。
「ああ、二人とも、アサヒとレイジの食生活でどうして固形物無しのスープしか食べないんだろうなぁ……って」
それを聞いた二人は額を指で押さえる。
「どうしたの?」
「……俺達の幼少期がそうだった」
「へー不思議だねー。いくつくらいになったら食べるようになったの固形物」
「……四つくらいだな」
「そっか、それまではパパ達とママと一緒にいようねー」
「うん!」
「うん!」
「もしかして、仕事復帰も考えているのか?」
「たまーにね」
ディオンの言葉に、カナタは苦笑しながら答える。
「レイドさんに、やっぱり人殺してほしくないしね。人が死ぬのやだし」
「そうか……わかったレインに伝えておこう」
「ありがとう、その前に食事一緒に食べよう?」
「パパ、たべよう?」
「ぱぁぱ!」
「分かった」
「そうするか」
ディオンとアルビオンは席に着き、マリがスープを配膳する。
「しかし、マリ。お前料理できたのか?」
「できねーよ! だからレンとサリの二人が作っていった奴だしてる」
「えばって言うことか」
「寧ろ恥じろ」
「仕方ねぇだろう、料理へたなんだから」
「やめておけ」
ジュラスが口を挟んだ。
「ジュラス?」
「マリの料理は壊滅的だ、食った俺が死にそうになった」
「……覚醒者が料理で死ぬ」
「舌の上で床屋がダンスを踊っている幻覚も見た」
「おぅいえ」
カナタは信じられないものを見るような目でマリを見る。
「うるせぇ、俺も気にしてるんだよ! でもいっこうに良くならないんだよ!」
「……とりあえず、マリの料理は食べない方針で行こう、マリが食べられるものを作るまでは」
「それがいい」
「そうしろ」
「それでいい」
「しょげるぞ⁈」
「食える料理を作ってから言え」
ジュラスに言われてしょげるマリの頭を、カナタは撫でた。
「多分私は食べさせてもらえないだろうけど、練習頑張って」
「……おう」
「練習……レンとサリが犠牲になりそうだな」
「幼なじみだしな」
疲れたようにマリの料理の事情を知っているかと思われる四人は頷いた。
「すなやまー」
「すなやま!」
「上手上手」
休日公園での砂場でアサヒとレイジを遊ばせていた。
カナタは二人の側で二人につけているハーネスを手につけながら側で見守っていた。
「ちょっとお母さん」
「はい?」
男が何かを吹き付けようとした瞬間、男は燃え上がった。
「ぎゃあああああああああああ‼」
カナタは思わず、アサヒとレイジを抱き寄せ見ないようにさせる。
「何事だ?」
「こいつ催眠ガスの銃持っていやがる!」
レンと、マリがブスブスと黒焦げになりかけている男のもっているものを調べて調査を開始する。
「カナタ、帰るぞ。マリ、レインへの報告は任せた」
「おう」
「え、え?」
「アサヒ、レイジ、帰ろうな」
「うん……」
「うん……」
カナタは二人を抱きかかえたまま、レンに手を掴まれ家へと転移した。
「あの男、何者?」
「どうやら最近はやりのデスゲームの下っ端のようだ」
「組織でやってるの⁈」
「今レインが根こそぎ組織毎壊滅させて、主犯基頭を死刑にして他の連中は一生監獄入りにしているそうだ」
「そうなんだ……」
「しかし、相手が悪かったな」
「ん?」
「今のお前に悪意をもって接すると焼かれるんだろう? だからだ」
「あー……でも、よかった息子達に被害が無くて」
「そうだな」
「え、ディオンとアルビオンしばらく帰ってこないってどゆこと?」
「あー……デスゲームやる連中全員ムショか死刑にしちまえって話になって二人がデスゲームを行ってる奴探し出して対処するから帰ってこれないらしい」
「パパおしごと?」
「ぱぁぱしごと?」
「そうだよ、アサヒ、レイジ。だからみんなでママの事守ろうな」
「うん!」
「うん!」
「いや、子どもは私が守るから……」
カナタはなんとも言えない表情を浮かべた──
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