51 / 73
子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~
デスゲーム壊滅遊戯
しおりを挟む「やれやれ、くだらない事に巻き込んでくれたな」
そう言いながらジュラスが帰って来た。
「ジュラスぱぱおかえりー」
「じゅらすぱぁぱおきゃえりー」
「おお、アサヒに、レイジ、ただいま」
駆け寄ってきた二人を抱きかかえて奥から二人を追ってきたカナタを見る。
「ジュラス、お帰り。どうしたん? 何かあったの?」
「ああ、デスゲームに巻き込まれた」
「デスゲーム」
「その場を一刀両断して犯人のところまで行ってとっ捕まえて突き出してきた」
「マジかー……」
「マジだ」
「ママ、ですげーむってなに」
「まぁま、なぁに?」
「しまった、いらん言葉を覚えてしまった」
「そうだな」
「……大人になったら教えるね」
「うん!」
「うん!」
二人は元気よく頷く。
「となると、ジュラス疲れてるんじゃない?」
「ああ、そのまま会議に出たりなんやかんやしてて疲れた」
「そりゃあ疲れるよ、アサヒ、レイジ。マリパパのところいって遊んで貰いなさい」
「はぁい」
「はぁい」
ジュラスが二人を下ろすと、ぱたぱたーっと走っていた。
「しかし、覚醒者をデスゲームに参加ってヤバい案件じゃない?」
「覚醒者も眠る催眠薬をばらまかれてな、どうやら向こうはEX級の覚醒者がくるのは初めてだったらしい、B級までなら能力を使えなくする手錠をしてたが、私には無意味だし、ぶちっとやって、雷で全て焼き焦がしてショートさせて建物も切り裂いて他の人達と脱出したよ」
「手口が悪質すぎるわな、反覚醒者主義の仕業?」
「いいや、普通の人もいた。反覚醒者主義なら普通の能力も何も持たない人を入れたりはしないだろう」
「それもそうだね……」
カナタはふむぅとと考え込む。
「……? そもそもそれでジュラス寝たの?」
「狸寝入りを決め込んだ」
「寝てないじゃん!」
カナタは声を上げる。
「仕方ないだろう、そんな事をする奴の顔を拝みたかったんだ」
「あーそうなの?」
「まさか、売れっ子の脚本家が犯人だとは思わなかったがな……」
「売れっ子脚本家?」
カナタの反応にジュラスが耳元でごにょごにょとしゃべる。
「え、えー⁈ 外国の凄い有名な人じゃん‼」
「ああ、俺もびっくりだった。向こうも驚いていたが、犯罪者は犯罪者だ。とっ捕まえてレインに引き渡して驚かせた」
「レインさんは?」
「『いやー‼ よくデスゲームの犯人捕まえるなんてできたね‼ 連中は逃げ足というか足跡を消すのだけは美味いからさぁ‼』と言われた」
「ふへー」
「『まぁ、それでもあたしが本部長になったときデスゲームする連中悉く捕まえて死刑にしてたけど、今時もやるやついるんだ‼』って言ってたな」
「レインさんのがすげー」
「まま、じゅらすぱぱ、おひるたべよ?」
「そうだな食べよう」
「うん、食べようね」
ジュラスは靴を脱いで上がり、食堂へとカナタと向かった。
「今日は芋のスープとパンとサラダと焼き肉だ。子どもらはスープだけな」
出されたパンの山と、肉のスライスされて味付けされた塊とキャベツ、それにサラダが置かれ、スープは各自に配膳されていた。
「いただきます」
「ましゅ!」
「……未だに二人とも固形物なしか……」
「サプリも駄目だから濾したスープしか口に入れねぇ、野菜と肉は入ってれば避けるし」
「なんでだろうな」
三人はそろって首をかしげる。
「どうした?」
ディオンとアルビオンが帰ってくる。
「ああ、二人とも、アサヒとレイジの食生活でどうして固形物無しのスープしか食べないんだろうなぁ……って」
それを聞いた二人は額を指で押さえる。
「どうしたの?」
「……俺達の幼少期がそうだった」
「へー不思議だねー。いくつくらいになったら食べるようになったの固形物」
「……四つくらいだな」
「そっか、それまではパパ達とママと一緒にいようねー」
「うん!」
「うん!」
「もしかして、仕事復帰も考えているのか?」
「たまーにね」
ディオンの言葉に、カナタは苦笑しながら答える。
「レイドさんに、やっぱり人殺してほしくないしね。人が死ぬのやだし」
「そうか……わかったレインに伝えておこう」
「ありがとう、その前に食事一緒に食べよう?」
「パパ、たべよう?」
「ぱぁぱ!」
「分かった」
「そうするか」
ディオンとアルビオンは席に着き、マリがスープを配膳する。
「しかし、マリ。お前料理できたのか?」
「できねーよ! だからレンとサリの二人が作っていった奴だしてる」
「えばって言うことか」
「寧ろ恥じろ」
「仕方ねぇだろう、料理へたなんだから」
「やめておけ」
ジュラスが口を挟んだ。
「ジュラス?」
「マリの料理は壊滅的だ、食った俺が死にそうになった」
「……覚醒者が料理で死ぬ」
「舌の上で床屋がダンスを踊っている幻覚も見た」
「おぅいえ」
カナタは信じられないものを見るような目でマリを見る。
「うるせぇ、俺も気にしてるんだよ! でもいっこうに良くならないんだよ!」
「……とりあえず、マリの料理は食べない方針で行こう、マリが食べられるものを作るまでは」
「それがいい」
「そうしろ」
「それでいい」
「しょげるぞ⁈」
「食える料理を作ってから言え」
ジュラスに言われてしょげるマリの頭を、カナタは撫でた。
「多分私は食べさせてもらえないだろうけど、練習頑張って」
「……おう」
「練習……レンとサリが犠牲になりそうだな」
「幼なじみだしな」
疲れたようにマリの料理の事情を知っているかと思われる四人は頷いた。
「すなやまー」
「すなやま!」
「上手上手」
休日公園での砂場でアサヒとレイジを遊ばせていた。
カナタは二人の側で二人につけているハーネスを手につけながら側で見守っていた。
「ちょっとお母さん」
「はい?」
男が何かを吹き付けようとした瞬間、男は燃え上がった。
「ぎゃあああああああああああ‼」
カナタは思わず、アサヒとレイジを抱き寄せ見ないようにさせる。
「何事だ?」
「こいつ催眠ガスの銃持っていやがる!」
レンと、マリがブスブスと黒焦げになりかけている男のもっているものを調べて調査を開始する。
「カナタ、帰るぞ。マリ、レインへの報告は任せた」
「おう」
「え、え?」
「アサヒ、レイジ、帰ろうな」
「うん……」
「うん……」
カナタは二人を抱きかかえたまま、レンに手を掴まれ家へと転移した。
「あの男、何者?」
「どうやら最近はやりのデスゲームの下っ端のようだ」
「組織でやってるの⁈」
「今レインが根こそぎ組織毎壊滅させて、主犯基頭を死刑にして他の連中は一生監獄入りにしているそうだ」
「そうなんだ……」
「しかし、相手が悪かったな」
「ん?」
「今のお前に悪意をもって接すると焼かれるんだろう? だからだ」
「あー……でも、よかった息子達に被害が無くて」
「そうだな」
「え、ディオンとアルビオンしばらく帰ってこないってどゆこと?」
「あー……デスゲームやる連中全員ムショか死刑にしちまえって話になって二人がデスゲームを行ってる奴探し出して対処するから帰ってこれないらしい」
「パパおしごと?」
「ぱぁぱしごと?」
「そうだよ、アサヒ、レイジ。だからみんなでママの事守ろうな」
「うん!」
「うん!」
「いや、子どもは私が守るから……」
カナタはなんとも言えない表情を浮かべた──
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる