覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~

琴葉悠

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一人に八人

日常とトラブル~いい加減にして欲しい~

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「カナタ、これ以降は俺達に任せておけ」

「カナタ、私達がどうにかするから君は戻れ」

「カナタ、これで終わりだ、後は任せて戻るぞ」

「カナタ、終わったから帰ろうか?」

「カナタちゃん、終わったねー帰ろっか?」

「カナター頼む! ガチャを回してくれ!」

「カナタちゃん、一緒におやつ食べない?」

「カナタ、良ければ新作の菓子の味見をしてくれないだろうか」




「……」
 カナタはここ最近特定の八人がよく自分と関わってくるなぁと思った。
 別段悪い気はしないし、寧ろ色々と気が楽になるからカナタはそれで良かった。

 反面、別の方向でストレスをためていた。
「カナター! 新しい恋人ができたの! 紹介したい──」
「断る!!」
 アイカが持ち込むトラブルで日常生活にストレスが発生していた。
「なんで?!」
「お前が紹介した恋人、今のところ全員私に触った直後に燃え上がって監獄行きになってるじゃ無いか!!」
 カナタの言葉にアイカは狼狽えるが、それでも言葉を発した。
「こ、今度は、違うよ!」
「じゃあどんなのだ?」
「大園高校のリーダー的存在!!」
「ぜってぇ会わねぇ」
「何で!!」  
「大園高校って不良の集まる学校じゃねぇか!! 授業中は大人しくても、それ以外じゃ悪さしてるような輩と会いたくねぇわ!!」
 カナタはそう言って、ずかずかと教室を出て行った。


 翌日──
「……アイカ」
「うん……」
「別れろ」
 顔を赤く腫らしたアイカを見てカナタはきっぱりと言った。
「だ、だってできないんだもん」
「よし、いいだろう。別れさせてやる。代わりに同じような事すんなよ!!」
「は、はぁい……」
 カナタはため息をついた。

 こんな友人でも、情はあるし、何より自分が離れたら悪化する恐れがあるので縁を切れない事が悩みだった。

「──という訳だ、二度と私の友達につきまとうな」
「ひ、ひいいいい!!」
 覚醒者だと脅して、逃げていくアイカの元彼氏を眺めてカナタはため息をついた。
「アイカ」
「は、はひ」
「次はねぇからな?」
「う、うん……」
 気弱そうに頷くアイカを見て、カナタは「またありそうだな」と頭を痛めた。




「──そんなのダチやめればいいじゃねぇか」
「それができないんですよ」
 JQのガチャを代わりに引きながらカナタはマリに言った。
「どうしてだ?」
「いや、アイカ。親から育児放棄っぽいの受けていたので……それを助けてから変ななつかれ方をされて……」
「育児放棄か」
「どうやって助けたんだ?」
「いや、親の外面が良かったので隠しカメラを家の中に設置して」
「ガキのやることじゃねぇな」
 カナタはマリに言われて苦笑した。
「確かにそうなんですけど、それを警察に持って行ったら、色々あって、両親は逮捕。タチが悪いという事で親権を一生剥奪。稼いだお金はアイカのところに行く。アイカはちょっと特殊な施設で暮らしてるんです」
「……もしかして、そのアイカって子、カナタちゃんが自分を信じてくれたからこそ、構って欲しくてトラブルを?」
「おそらく……」
 サリの言葉に、カナタはため息をついた。
「……」
「レンさん?」
「いや、何でも無い」




 レンは何か気づいたようだったが、首を振ってカナタに何か言うことは無かった。





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