覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~

琴葉悠

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え、覚醒者になったら人権ある意味無し⁈ ふざけんなー‼

私目当ての決闘?

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 レイヴンの二度目の世界多発襲撃事件から一週間後。
 カナタは復帰していた。


「どっせい!」
 巨大なハンマーで覚醒者をぶん殴り、壁にたたきつける。
 死なないように加減をしているので、犯罪行為をした覚醒者はそのまま壁から落ちて床に倒れた。

「──こんなもんかな?」

「こっちは終わった」
「ジュラスありがとう。こっちも終わった感じ」
「じゃあ、覚醒者じゃない人は警察に、覚醒者は特務部隊に引き渡しで終了かな」
「そうだな」
 カナタはハンマーを仕舞った。

 警察と、特務部隊がやってきて覚醒者と手下達を連れていった。

「さて、戻ろうか」
「そうだな」

「レインさん──終わりました──」

「あのカナタと言う子を私の元に欲しいの!!」
「お断り! 戦力が充実してるのに、こっちはじり貧なのよ本部なのに? なんでカナタちゃんをそっち所属にしなきゃいけないのさ!」

 所長室に入ると、見慣れぬ年若そうな女性とレインが口論をしていた。

「げ」
「ああ、貴方がカナタちゃんね!!」
 女性が近寄ってきた。
 カナタは少し引いた顔で女性を見る。
「私は東部ドミニオン支部の所長ロゼシア・マリアンヌ。貴方にこっちに来て貰いたいの!!」
「いや、お断りです」
 カナタは即答した。
「どうして?!」
「いや、面倒なので」
 そう言って女性──ロゼシアをスルーしてレインの方へと歩み寄る。

「いつもの用に終わらせましたー」
「お疲れ様、お給金はちゃんと入れてあるから確認してる?」
「あ、通帳記帳してねぇや」
「記帳はしないとね」

「どうして!?」
「面倒くさい。ブラック企業だったならともかく、働いた分のお金はびっくりする位くれるし、体壊したら休みくれるし、休みないよーとか言ってる割には祝祭日は仕事入れてこないし、家族に何かあったら速攻で帰宅できるし」
 カナタはロゼシアの発言にそう返した。
「わ、私の方でもできますわ!!」

「何より頼れる仲間がいるのと、ソシャゲのフレンドがリアルにいるのが有り難い」

 カナタはそうきっぱりと言い切った。




 そのカナタの言葉にジュラスは喜んでいいのか複雑な表情をしていた。
 レインは苦笑いを浮かべていた。




「──決闘です」
「はい?」
「決闘を申し込みますわ! レイン様!」
「は?」
 ロゼシアが急に言い出した言葉に、全員理解できかねると言う表情を浮かべた。
「私達が勝ったら、カナタちゃんを私の方へ、私達が負けたら貴方達の請け負っている仕事の半分を今後請負ますわ!」
「やだ、半分も請け負えないのが分かってるから」
 レインはそう言って拒否した。
 カナタはそれに安堵した。
「それでも!! いいから決闘を臆病者!!」
 その言葉にカナタがカチンと来た。
「臆病者だと? おいふざけんなよ」
 ロゼシアを見据える。

「レインさん、決闘受けてやろうぜ。うちらの腕利きでこいつら潰そうぜ」
「んー……ま、いいか、カナタちゃんが言うなら」
「それと」
「な、何ですの?」
「私も参加する、で決闘の相手はアンタだ所長さん」
「あー……」
 カナタの言葉に、レインは色々と察したようだ。
「ロゼシア」
「何ですの?!」
「何があっても恨まないでよ、忠告はしたからね」
「はい?」
 カナタの性質を理解していないロゼシアの末路を想像して、レインはそう言うことしかできなかった。




「つーわけで対抗戦を行う事になりました、カナタちゃんを向こうにやりたくない奴手を上げろーその中から選出する!」
「「……」」
 ディオンとアルビオンがすっと手を上げた。
「よし、ディオンにアルビオンね」

「私もだ!」
「ぼ、僕も!」
「僕もだよー!!」
「当然私もだ!」
 ジュラス達四人が手を上げる。
「よし、ゴウ以外三名は出てちょうだい」
「な?! なんで私は?!」
「カナタちゃんはアンタへのセクハラ発言と行為を許した訳じゃないし、それの改善が見えないから却下」
「そ、そんな……」
 ゴウは膝をついてがっくりとうなだれた。

「さて、後は……」
「俺も出るぜ」
「俺もー!」
「俺も出よう」
「マリにサリに、レン。貴方達も? 予想外だわ」
 レインは驚いたような声をあげる。
「ガチャ運EXを俺が逃がすわけがない! というか俺のガチャ運どうなってんだよマジで!!」
「マリちゃん……ま、まぁ、俺らはそういうこと。マリちゃんがまたガチャで大爆死しまくるのを見るのは嫌だからねー」
「まぁ、そう思ってくれればいい」
 サリとレンの言葉にレインは思うところがあるようだったが、尋ねることはしなかった。
「まぁ、いいわ。じゃあカナタちゃんも入れて9名での手合わせね。くれぐれも相手を殺しちゃ駄目よ」
 レインが八人にそう言うと、彼らは全員頷いた。




『と言う事になりました』
「九対九か、なんか切れが悪いなぁ」
『ならゴウ入れて十対十にする』
「それはもっとやだ」
 家の自室でゴロゴロとしているカナタにレインは通信テレパスで会話をしていた。
「とりあえず、あの所長をぶん殴って私はこういう奴だと宣戦する」
『……ちなみに、何処を?』
「顔面」
『だよねー!』
「わがまま言ってうちらを困らせるのはマジ許されざる」
『ワォ』
 カナタの言葉に、レインは口笛を吹いたようだった。
「……ところで向こうの方人材多いんでしょう? 勝てるかな?」
『あーその心配はいらんわ』
「どゆことですレインさん?」
『当日になれば分かる』
「?」
 カナタは疑問に思いながらも、当日まで、いつも通り過ごすことになった──





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